第六十話 国境を越えて
アザークからログナーに至る道は、なにもひとつではない。しかし、ワーラムからログナーへと向かうのなら、ワール街道に沿って進むのがもっとも近く、比較的安全な旅路が約束された。
ワール街道のような人々の往来が激しい街道は、街道沿いの街や村が雇った傭兵や自警団が旅人を狙う野盗が出ないか、街道の様子を監視しているからだ。それだけではない。傭兵や自警団は、街道の周辺に皇魔の巣が有るのか調査し、発見次第その巣を潰したり、あるいは手に負えなければ国に報告することも仕事のひとつであり、それにより旅の安全は飛躍的に向上した。
大きな街道ほど、人々は安心して旅を満喫することができるのだ。
ワール街道も、安全を約束された街道だった。
「……そうか?」
セツナは、だれとはなしにつぶやいて首を傾げた。街道に刻まれた空疎な約束など、出立の日の夜から破られ続けている。一日目の夜は皇魔の群れに襲われ、二日目の夜は野盗の集団に襲われた。安全で快適な旅路なんて絵空事に過ぎないのではないかと想いながら、彼は、ゆっくりと伸びをした。
王都を発って三日目の朝。
空を覆う膨大な量の雲が、朝の始まりを告げるべき日の光さえこの大地から遠ざけていた。陽光の暖かさの代わりに降り注ぐのは痛いほどの冷気であり、セツナは、その寒さの中で肩を寄せ合って朝食にがっついている野盗集団を一瞥すると、頭を振った。なにかがおかしい。なにかが間違っている。そんな気がしてならなかった。
セツナたちがいるのは、ワーラムより北へ走るワール街道の先、国境に聳えるクラムとアレムというふたつの山のうち、クラム山の麓だった。昨夜の間にここまで辿り着けたのは、野盗たちが懸命に走り抜いたからに他ならない。わずか三頭あまりの馬を二十八人の野盗たちが入れ替わり立ち代わり使い回さざるを得ないのは、むしろ馬たちが可哀想に見えた。そんな中、ただひとりリューグと名乗った青年だけが、顔色ひとつ変えず――汗は大量に流していたが――仲間たちにくだらない冗談を飛ばしては顰蹙を買っていた。
山麓に到着したのは、ちょうど《銅の鍵》の連中が疲れ果てた頃合だった。セツナたち三人と御者だけを乗せた馬車が立ち止まると、野盗たちは不平不満を口にする元気もないといった有様でその場にへたり込むと、そのまま寝入ってしまったのだった。それはやはりリューグも同じだった。涼しい顔をしていても疲れは蓄積するものなのだろう。
馬車を止めた場所は、街道から少し離れた地点である。さすがに街道のど真ん中で一夜を過ごすというわけにはいかない。天高く聳えるクラム山の麓には鬱蒼たる樹海が広がっており、セツナたちはその樹海の入り口とでも言うべき場所で数時間ばかりの休息を取った。
セツナが目覚めたのは、つい三十分ほど前のことだ。なにやら空腹を刺激する匂いに鼻腔をくすぐられたからだった。匂いに釣られるように馬車から出ると、視界に飛び込んできたのは、御者のオリスン=バナックが大きな鍋でスープを煮込んでいる様子であり、カップとスプーンを手にした野盗たちが文句ひとつ言わず行儀よく並ぶという不思議な光景だった。
その列の中にラクサスとランカインの姿を発見したとき、セツナは思わず噴き出しかけたが、それは自分も並ばなくてはならないという厳然たる現実の証明であり、その事実に気づいたとき、彼は肩を落とすしかなかった。そしてセツナは、朝食を待つ列の最後尾に並ぶと、なぜか給仕の真似事をしていたリューグからスプーンとスープ皿を渡されたのだった。
「どうしたんだい? ウェディ。なにやら浮かない顔をしているね」
「……これだけの量の食器、だれが用意したんだ?」
セツナは、御者特製スープの完成を今か今かと待ち構える野盗たちの顔に愛嬌を見出してしまったことに戸惑いながら、リューグに問いかけた。鍋は、いい。バルガザール家の屋敷を出る前に積んだものだ。最初から、旅の合間にスープでも作る予定だったのだろう。しかし、そのとき用意した食器は、人数分となんらかの理由で紛失したときのための予備を含めた数だけだった。
「国家機密に関わる質問には答えられません!」
「なにが国家機密なんだよ」
「わた~くしに関することすべ~てが」
「あんたのことじゃねえよ。この食器とかの話」
「ああ。それなら、ほとんどが我々の私物なんですねえ」
「マジで?」
「大マジ。野盗なんていう因果な商売をやっていますと、ほら、どこでなにが起きるかわからないでしょう? そういうときのために、食器の類はいつも持ち歩いているんですわ。不信に感じなかったかね? お馬様に括りつけた荷袋の大きさ。異常だろう?」
彼はどうにも芝居がかった口調でしゃべらないと気がすまないらしい上、身振り手振りも馬鹿馬鹿しいほどに大袈裟だったが、それはともかく、話してくれた内容は納得できる範囲のものではあった。もっとも、食器を優先的に持ち運ぶような野盗の話など聞いたこともないが。
(それをいったら、野盗なんて見たのは初めてだけどさ)
常識など通用しない世界だ。この世界の野盗は、食器と行動をともにしているものなのかもしれない。食器とともに生き、食器とともに死ぬ。それもまたひとつの生き方なのかもしれない。そこまで考えて、彼は、リューグに眼を向けた。
「いやそれはないだろ」
「うちらにはうちらのやり方があるってことですが、なにか?」
「いや……いいや」
「ふふん。うちらの崇高な使命がわかったんなら、オリスン先生の特製スープの完成を心待ちにしているんだな!」
「使命ってなんだよ? それになんであんたが偉そうなんだ……?」
セツナがリューグを相手にしていても徒労を覚えるだけだという真理を覚えた頃、オリスンの手作りスープが完成し、列に並んだ男たちは待ってましたとばかりに喝采を上げたのだった。朝食はそのスープとパンの切れ端だけである。昨日のうちに買い込んだ食糧を今朝の段階ですべて消費するなどということにならないために、小さなパンをさらに小さく切り分けざるを得なかったが、樹海で取れたきのこなどの具がたくさん入ったスープは予想以上に量が多く、パンが一切れでも十分に満足できるだけの朝食にはなっていた。
ラクサスがオリスン=バナックにその手際とスープの出来を褒め称えると、彼は感謝の言葉を述べたのみだった。みずからの腕を誇るでもなく、恥じ入るでもなく。いつものように彼が愛してやまない馬の元へと戻っていったのだった。
朝食を済ませ、しばらくの休憩の後、一行は予定通り国境を目指しての移動を再開した。
ワール街道は、ガンディア、アザーク、ログナーという三つの国の領土を跨ぐように聳え立つクラム山と、その対を成すアレム山の間を通っている。道幅は平原よりも極端に狭くなっているが、それは仕方のないことだ。ふたつの山の麓に広がる樹海を切り拓くだけでも相当な労力が必要だったのだろうし、道幅を広げるために山を削ることまではできなかったのかもしれない。
そして、その狭い道の途中で国境を越えることになる。
盗賊の話によると、ログナー軍の検問所はログナー領に入るなり待ち構えているわけではなく、山間の道を通り抜けた先、街道を塞ぐような形で存在しているという。かつては街道を遮ってはいても、通行人への検問も簡単なものであり、出入国は半ば自由に誓ったのだが、アスタル=ラナディースによる謀叛が起きる直前から検問が強化され、それに伴い人数も大幅に増員されたらしい。
アスタル=ラナディースが事を起こす前に手配したのだろう。内乱の情報が流出することを防ぎ、隣国の介入を阻止するためだ。そう考えると、現在検問所に詰めている兵士の多くがアスタル=ラナディースの息がかかっていると見るべきであり、《銅の鍵》頭領ダグネの手引きでも無事に通過できるのかわからなかった。
「連中、信用できるんですか?」
「できない」
「ええっ?」
ラクサスのにべもない一言にセツナが素っ頓狂な声をあげると、ラクサスこそ驚いたような顔でこちらを見てきた。当然だとでも言いたげなまなざしには、普段のラクサスからは考えられないような冷酷な一面が覗いた気がした。
「できるわけがないだろう。彼らはただの野盗だ。悪党外道以外のなにものでもない。己の命のためならなんだってするという類の連中さ。そういったものたちの生存本能の前では、信用などという言葉ほど虚しいものはない。しかし逆を言えば、こちらが上に立ってさえいれば、懸命になって働くということでもある」
「まあ、そこには反論しませんが。検問を越えた後はどうされるのです?」
「予定通りレコンダールに向かう」
「レコンダールは、グレイ=バルゼルグ率いる三千の大部隊によって占拠されているようですが?」
レコンダールは、ログナーの西部に位置する大都市である。ザルワーンとの国境からも近く、ランカインの言うようにザルワーンから派遣された総数三千に及ぶ大軍が駐屯しているという。ダグネの情報を信じるならばの話だが、こんなところに虚偽の情報を混ぜることはないだろう。そんなことをすれば後にその事実が露呈したときどういう報復をされるのかわかったものではない、ということくらいは考えるだろう。昨夜の記憶はまだまだ新鮮に違いないのだ。
「だからこそ行くのさ。恐らく、我々の探し出すべき諜報員はレコンダールにはいないだろう。だが、ザルワーンの部隊の真意は探っておかなくてはならない。これはガンディアにとっても看過できない事態だ」
「真意って……なんです? 昨日の話じゃ、ザルワーンの目的はラナディース一派の撲滅じゃなかったんですか?」
「騎士殿は、それを確かめる必要があるといっているのだよ。ザルワーンがラナディースとエリウスを叩き潰し、アーレスに王位を継がせるつもりなのか。それとも、アーレスに嘆願されたため、仕方なく兵を派遣したのか。あるいはガンディア攻略さえ視界に捉えた上での派兵なのか。それによって我々の取るべき行動も変わってくる」
「……例えば?」
セツナは、いつにも増してしたり顔で講釈を垂れてくるランカインには冷ややかな半眼を浮かべるのみだった。考えの足らない自分のことを棚に上げているわけではない。セツンは自分の頭の弱さを十分に認識していたが、だからといってランカインのような男に敬意を払えるわけがなかった。もちろん、その頑なな考え方が良くないことも理解してはいる。理性と感情は別物なのだ。
もっとも、ランカインはこちらの感情など気に留めてもいないのだろうが。
「君が悪鬼の如く活躍する場面が出てくるかもしれないということだよ。矛がなければなにもできないニーウェ君」
「ぐぐぐ……」
どれだけ嫌味ったらしい言い方であろうとも、厳然たる事実の前では沈黙せざるを得ない。睨みつけるなど以ての外であり、セツナは、己が無力さを噛み締めながら頭上を仰いだのだった。馬車の天井を見上げたところで、そこに救いの神など見出せるはずもない。
セツナは、ランカインには口では勝てないことを認識するとともに自分の浅はかさに泣きたくなった。だからといって、ランカインに対する感情をどうすることもできない。カランを焼き尽くした猛火の記憶は、彼の頭の中で色褪せずに渦巻いている。
「さて、おしゃべりはここまでだ。後は彼らに任せよう」
ラクサスの一言で、作戦会議――というほどのものではないが――は一先ず終了の運びとなった。
やがて、一台の幌馬車と三頭の馬、二十人以上の男からなる集団は、山間を通り抜けると街道を塞ぐ検問所に到達したが、その少し前から一行の様相は変化していた。先頭がセツナたちを乗せた幌馬車から馬上のダグネになり、その後ろを馬車とそれを取り囲む一団が続き、二頭の馬が殿を勤めている。言うなれば、幌馬車そのものが野盗集団《銅の鍵》の戦利品であり、ログナーで売り捌くための移送中という体であった。
当然、検問所ではログナーの兵士たちによる厳重な荷物検査が待ち構えていたが、しかし検査が実行に移されることはなかった。ダグネと検査に当たった兵士が、検問とは名ばかりの雑談を交わしただけである。
「どこの連中かと思ったら、おまえたちか」
馬車の中から聞いている限り、兵士は随分と気さくに話しかけていた。ダグネとは顔馴染みなのだろう。でなければ、ダグネも意気揚々と検問所を通過しようなどとはしないだろうが。
対するダグネも気楽なものである。
「へへ。いつものように頼みますぜ」
「いまはやめておいた方がいいと思うぞ? なんせ荒れてるからなぁ」
「そうはいっても、商品を入荷した以上、とっとと売り捌きたくなるのが人情というもんでございやしょう?」
「商品……ねえ。今回はいつにも増して大物じゃないか」
そう言ったのは、別の兵士のようだった。どうやらダグネたちが昵懇にしているのは、検問所の兵士のひとりやふたりではないらしい。
「特に馬がいいでしょう? 高値で売れましょうなあ」
「景気のいい話じゃないか」
「で、いくらだ?」
「売り上げの一割ってので、どうでしょう?」
「一割か……まあいいだろう。おまえたちのおかげでこっちも助かっている。だが、気をつけておけよ? ログナーはいま、いつ戦争が始まってもおかしくない状況だからな。おまえたちが戦争に巻き込まれて命を落としでもしたら、こっちの商売も上がったりだ」
兵士のひとりが口にした商売という言葉が、セツナの心に引っかかった。兵士たちは、自分たちがなにをしているのか自覚しているのだろうか。自分たちの懐を潤すために職務を放棄し、外道に身を落としているという事実に気づいているのだろうか。セツナは、彼らを軽蔑したが、かといって彼らのような人間がいなければこの方法は取れなかったのも事実であり、その事実がセツナの心を多少なりとも苦しめていた。
潔癖、というわけではない。しかし、野盗どもと通じているような輩よりは、己の職務に真摯に向き合う人間のほうがセツナの好みであった。そして、自分はそうありたいと想っている。
「へへっ、心に留めておきやす」
「ほら、さっさと行け。マイラムから来た連中が起きないうちにな」
「へい!」
そうして、セツナたちはログナーの検問所を通過することに成功した。拍子抜けするぐらいあっさりと突破できたことに、馬車の中のだれもが口を閉ざしていた。問題はなにひとつ起きなかった。それは喜ぶべきことだろう。ダグネの言うとおり、馬車の中でじっとしているだけでよかったのだ。
これ以上にはないくらいに完璧な結果といえるのではないか。
馬車の中に満ちた沈黙は、その事実へのなんともいえない感情が原因だったのかもしれない。
「どうです? 旦那方。うちらのやり方も捨てたもんじゃないでしょう?」
ダグネが馬車の中に声をかけてきたのは、検問所を通過してしばらくした後のことだった。検問突破に成功した後、すぐにでも話しかけたくてたまらなかったに違いないのが、その声の調子でわかった。しかし、検問所の近くで声をかけるのは憚られたのだろう。
ラクサスが、外からの大声に嘆息したのがセツナにもわかった。しかし、彼の返事は、そのうんざりしたような反応とはまったく別のものである。
優しげな声音だった。
「そうだな。ここまで上手くいったのも、すべておまえたちのおかげだ。ありがとう」
「そんな感謝されるようなことはしてませんよ!」
「そうそう、お頭に感謝したってなんの特にもならないっすよ。感謝するなら俺にしてくださいな」
「リューグ! てめえはなんでいつだってそうなんだ! す、すみません。こいつ、馬鹿なんで」
「お頭に言われたかないやい」
「てめえ、本気で殴るぞ」
「お頭の拳に当たるのは本物の馬鹿だけですわ」
「こ、こいつ……!」
「お、お頭、やめましょう。リューグの相手をするだけ無駄ですよ」
「わかってる。こんな奴に構ったって仕方がねえってことくらいわかってるんだ! だが、それでも俺は……!」
怒り心頭という言葉以外見当たらない様子のダグネには、セツナも心の底から同情せざるを得なかった。ダグネという男は嫌いなタイプではあるが、リューグという存在感の前ではその印象も霞むだけだ。そして、ダグネの言いたいことも十分に理解できるのだ。リューグに構ったところで意味がないことはわかってはいても、なにかやり返さないと気が済まないのだ。
それは、リューグという男が持つ天性の才能の為せる業なのかもしれない。
「騒々しい連中だ」
「あんたが言うなよ、あんたが」
「俺のどこが騒々しいというのかね?」
「いんや、別に」
セツナはランカインから目を逸らしながら、昨夜の戦いの最中に彼が発した哄笑を思い出していた。寒気がするほどの狂気を帯びた高笑い。ランカインこそ、ラクサスが言っていた「戦うことでしか魂の充足を得られない人種」という奴なのかもしれない。
だからといって、彼のことが理解できるわけでもない。
セツナは、その場に仰向けに転がると、馬車の揺れるままに身を任せた。馬の足音と車輪の奏でる旋律は、いつの間にか彼にとって心地の良い音色になっていた。
国境を越え、検問所を通過したとはいえ、レコンダールまでにはかなりの距離があった。到着までに一眠りくらいしても構わないだろう。セツナには、他にするようなことも見当たらなかった。剣を握ったところで振り回せるわけもなく、ただ闇雲に振り回したところで剣術の腕が向上するはずもない。土台、無理な話なのだ。素人同然のセツナが剣を握ること自体が間違っている。
もちろん、ラクサスだってわかっていたはずだ。セツナがレオンガンドたちに言った話は聞いているのだ。それは、セツナが戦いとは無縁の世界から召喚された一般人であり、武装召喚師としての技術も不完全なら、戦闘技術に関してはまったくの素人に等しいというものである。セツナの武装召喚術など、ただ「武装召喚」と叫んでいるに過ぎない。呪文の詠唱もなければ、術式の構築もない。歪な力だ。
その力を使わなければ、セツナの実力など普通の学生に毛が生えた程度のものといわざるを得ない。
(無茶苦茶なんだよなあ……)
それは剣を渡される前からわかっていたことだ。
最初からなのだ。
レオンガンドに力を貸してほしいと頼まれたときから、無茶苦茶だったのだ。バルサー要塞を奪還するための大事な戦いである。負けられない戦いだったはずなのだ。そこにどこの馬の骨とも知れない、ましてやただの子供にしか見えないセツナを加えようなどと、普通の感覚では考えられないことだろう。ランカインを倒したとはいえ。
そして、この度の任務である。
ログナーにいるであろう諜報員に接触を図り、できればガンディアにともに帰還を果たす――漠然としたものだ。諜報員の名前さえも教えてもらえないのはどういうことなのだろう。あの場で明言することが憚られたのか、それとも、教えなくてもいいと判断されたのか。
どちらにせよ、そんな少ない情報の中からどうやって探し出して連絡を取れと言うのだろうか。
(無茶苦茶なんだよ、結局)
結論が出た頃、緩やかな眠気がセツナの意識を包み込んでいった。