第二百六十九話 遠い暗雲
レオンガンド率いる中央軍がゼオルを発ったのは、九月二十一日の朝だった。ゼオルを制圧して四日も経っていない。もう少し兵を休ませるべきだという声もあるにはあったが、ヴリディア砦に辿り着いても即座に攻撃するわけではない。各軍と歩調を合わせる必要がある以上、兵を休ませる時間はたっぷりとあるのだ。
ヴリディア砦を目指す中央軍の戦力は、ナグラシア出発当初より大きく減少しているといってもいい。
ロンギ川での戦いは、中央軍の勝利に終わったものの、結果的には多大な出血を強いられたのだ。大将軍アルガザード率いる本隊や《白き盾》こそ無傷だったが、ほかの部隊からは死傷者が大量に出ている。
特に損害を被ったのは、ギルバート=ハーディ率いるミオン騎兵隊だろう。五百名以上の戦死者を出している。騎兵による本陣への奇襲特攻はそれほど危険だということだ。そして、その危険を考慮しても試す価値があったのだろう。ミオン騎兵隊の奇襲は、敵本陣に痛撃を叩き込み、そこから中央軍有利のまま戦闘は推移した。
つぎに被害を出していたのはガンディア軍第一軍団であり、こちらは単純に兵士の質で負けたようだった。話しによれば、第一軍団が相手にしたのは翼将ゴードン=フェネックが率いる部隊であるらしく、彼の部下たちはその叱咤激励に応えたということだった。指揮官としては、そこそこ有能なのかもしれない。
その第一軍団の五百人とゴードンら投降兵はゼオルに残してきている。守将にマーシェス=デイドロを任命し、その補佐としてケリウス=マグナートをつけてあった。投降兵に関しては、ゴードンに任せておけば問題はないだろう。彼に、投降兵を使って、人員の少なくなったゼオルを制圧するというようなだいそれたことができるとは考えにくい。彼は、ナグラシアの妻の安否だけを心配しており、それについては既に手配済みだった。明日にでもゼオルに到着するだろう。ゴードンの心を獲っておくのは、現状、有益に違いなかった。
ルシオンからの援軍は、さすが尚武の国というだけあって、少ない被害で多大な戦果を挙げていた。ミオン騎兵隊とルシオン軍の活躍が大勢を決めたといってもいい。ミオン騎兵隊が本陣をかき回し、ルシオン軍が敵陣右翼を壊乱させたことが、敵軍大将の突出を招いたのだ。
ジナーヴィ=ワイバーンの本陣特攻は、《蒼き風》に被害をもたらしたものの、本陣に至ることはなかった。《白き盾》と《蒼き風》が、ジナーヴィとフェイを止めてくれたおかげだった。
特に、クオン=カミヤがいなければ、ジナーヴィによる本陣特攻は成功していたかもしれず、そう考えるとぞっとしないものがある。
中央軍に《白き盾》を配したのは、中央突破がもっとも熾烈だろうという憶測からであり、そういう意味ではレオンガンドの読み通りといえなくもない。
バハンダール攻略のために、西進軍にセツナを配したのも良かった。若き軍団長エイン=ラジャールの奇抜な作戦には度肝を抜かれたが、バハンダール攻略における黒き矛の運用方法としては、これ以上の妙案はなかったのではないか。無論、セツナを上空から投下するためには、空を飛ぶ手段が必要であり、おいそれと実行できるものではないが。
あとは北進軍からマルウェール制圧の報告を待つのみだ。北進軍にはカイン=ヴィーヴルとウルがいる。カインは武装召喚師としては有能だったし、ウルの異能も戦闘に使えなくはない。ザルワーンがマルウェールに大軍を手配しているようなことさえなければ、大敗を喫するようなことはない。
「順調すぎて怖いといったところですか」
不意に話しかけられて、彼は思索を打ち切らざるを得なかった。が、悪い気分ではない。声をかけてきたのが、ハルベルク・レウス=ルシオンだったということもあったが、ここのところ同じことばかりを考えていて、飽き始めていたからだ。だれかに止めてほしかったのかもしれない。
「そうだな。それもあるかもしれない」
振り返るとハルベルクはリノンクレアを伴ってきていた。彼女は、レオンガンドと顔を合わせるなり、恭しく頭を下げてくる。
「おはようございます、レオンガンド陛下。ご機嫌はいかがですか?」
兄に対しても口さがないリノンクレアは、ルシオンの王子の妻として振る舞うとき、まったく別の人格でも芽生えたのではないかと想うほどに大人しくなる。利発で美しい王子妃というのが、ルシオンにおける彼女の一般的な認識であるらしく、剣を以って先陣を切る獅子姫というガンディア国民の認識とは大きく乖離していた。
もっとも、戦場の彼女を知る白聖騎士隊の隊員たちや兵士たちには、獅子姫の呼び名こそリノンクレアに相応しいと思っているようだ。
「これはリノンクレア殿下ではありませんか。おはようございます。あいにくの天気で、機嫌もよくはありませんよ」
レオンガンドは、頭上に広がる空を見た。どこからか流れてきた雲が、青空を覆いつつある。昨夜辺りから雲が目立ち始めており、長い間続いていた快晴の日々が終わりそうだった。その天候の変化も、一部の連中が中央軍の出発を渋っていた理由だ。行軍中、雨に遭いたくはない。だれだってそうだろう。雨はなにもかもを濡らしてしまう。戦意さえも蝕んでいく。が、ザルワーンの首都を目前にしたいま、雨に打たれただけ萎えるような士気では、どのみちやっていけるはずもない。それに、一度降りだした雨がいつ止むのかなど、神ならぬレオンガンドらにわかるはずもないのだ。雨が上がるのを待っている間に勝機を逸する可能性のほうが高い。ザルワーンにあとどれだけの戦力が残っているのかは不明だが、それでもガンディア軍と戦えるだけの余力は残っていると見ておくべきだろう。用心に越したことはない。
そんな中央軍はいま、ちょうどお昼ということもあって行軍を停止し、休憩に入っていた。ゆったりとした行軍ということもあり、各部隊で炊き出しを行っている。特に《蒼き風》の傭兵たちが作る料理が美味いという評判であり、レオンガンドも彼らの元に足を運びたくてうずうずしていた。しかし、彼の食事は、ナージュ・ジール=レマニフラとその三人の侍女が用意してくれており、彼女たちの元へ向かうのが正しい選択だということは火を見るより明らかだった。
ハルベルクとリノンクレアが訪れたのは、レオンガンドがちょうどナージュの馬車に向かおうとしていたときだった。供回りなどはいない。いないが、問題はない。アーリアが隠れているに違いなかった。
「雨がお嫌いでしたね、義兄上は」
「あら? お嫌いでしたか? 雨の中ではしゃぐ幼少期の陛下の姿が思い出されるのですが」
「そのせいで風邪を引いて怒られたんだよ。父上にね」
レオンガンドは、ハルベルクにもわかるように説明しながら、王子妃らしく優雅な微笑を湛えている妹を睨みつけてやりたくなった。古い話だ。まさか、彼女がそんな昔の話を持ち出してくるとは思わなかったのだ。リノンクレアは内心、してやったりとでも思っているのかもしれない。そう考えると、妹の秘密のひとつやふたつ、ハルベルクに耳打ちしてもいいのかもしれない。
ハルベルクの穏やかな表情を見ていると、そんな考えも立ち消えてしまうのだが。
「それから雨嫌いに?」
「それだけではないが、概ねそんなところだと思ってくれていいよ」
ハルベルクの言葉を肯定しながら、レオンガンドは雲の流れを見ていた。今日中に降り出すだろうか。だとすれば、どこか雨宿りのできそうな場所を探しておくべきだろう。もちろん、そういう手配はレオンガンドがするようなことではない。アルガザード大将軍以下の人間によって命令されているに違いなかった。
レオンガンドはなにも心配する必要はない。
「ところで、ご夫妻揃ってわたしになにか用事かな?」
彼は、改めてふたりを見た。ルシオンの王子夫妻は、いかにも武門の家の王子と妃という出で立ちだった。甲冑こそ身につけてはいないのだが、戦闘用の服装であり、腰には得物を帯びている。リノンクレアもハルベルクも、剣の腕ではレオンガンドの遙か上を行く。剣だけではない。槍術も弓術も馬術も、レオンガンドはふたりには敵わなかった。あまりに勝てないので、いつからかふたりと組手をすることもなくなっていた。子供の頃の話だ。いまさら、あの頃のように競い合うことはない。
「ナージュ様に呼ばれましたので、義兄上と一緒に行こうかと思い立った次第で」
「そういうことだったのか」
ハルベルクの説明で納得がいった。
ナージュは、どうやらレオンガンド以外にも何名かを招いて、昼食会でも開いてくれるつもりらしい。いずれガンディアの王妃となる女性だということは、中央軍中に知れ渡っている。だれも彼女の頼みを断ることはできまい。もっとも、レマニフラの姫君が主催する昼食会を断るようなものもいるとは思えないが。
「近い将来、義姉上となられるお方が、どのような食事会を開いてくださるのか、楽しみです」
いつになくにこにこと微笑むリノンクレアの様子に、レオンガンドは少しばかり安堵していた。彼女は、ナージュを気に入ってくれているらしいのだ。長年、レオンガンドのことばかり気にかけてきたであろう彼女が気に入らないと断じたとき、どうしようかと思っていたものだ。無論、レオンガンドは、どんなことがあろうと、ナージュとの婚約を前提としたレマニフラとの同盟を蹴るつもりはない。たとえ、リノンクレアがナージュのことを嫌い、その結果、レオンガンドとの中が険悪になったとしても、それはしかたのないことだと割り切るしかなかったのだ。
幸い、ふたりの仲は良好のようだ。リノンクレアがナージュの元を訪れることもあれば、その逆もあり、ふたりの交流は、ガンディアとルシオン、さらにはルシオンとレマニフラ、ガンディアとレマニフラの関係をさらに友好的なものにしていくだろう。
さらにいえば、ナージュはアーリアとまで仲が良いという有り様だった。彼女はいったいなにものなのかと考えることもある。
南から来た世間知らずの姫君は、いつの間にか、レオンガンドにとって重要な人物になっていた。
「我々以外に呼ばれている方はおられるのでしょうか?」
「大将軍は呼んでいるだろう。ナージュは、アルガザードのような人物が好ましいそうだ」
ハルベルクの疑問に答えながら、レオンガンドはナージュの馬車に向かって歩き出した。
ナージュの馬車に到着すると、既に大勢の招待客が料理を囲んでいた。中央軍の主要人物といっても過言ではない面々だった。ということは、代わり映えのしない人選だということもいえるわけだが、ほかに選択肢もなかったに違いない。ここに一部隊長を加えても、恐縮させてしまうだけだろう。もしくは、緊張のあまり気絶させてしまうかもしれない。
「わたしたちが最後のようですね」
「みんな早いなあ」
リノンクレアとハルベルクの笑い声に、レオンガンドも苦笑を漏らした。
平原に作られた即席の食事会場。食卓はもちろん、椅子も用意されている。各馬車からかき集めてきたに違いなく、その労力は計り知れない。が、ナージュたちだけで作り上げたわけでもあるまい。彼女には、黒忌隊と白祈隊というレマニフラから連れてきた兵隊がいるのだ。常に黒衣か白衣を纏う彼らを利用しない手はないだろう。
食卓はひとつではなく、招待客は所属する団体や組織ごとに振り分けられているようだった。例えば、大将軍アルガザードの食卓には副将のジル=バラムとガナン=デックスが憮然とした顔を並べており、そこに《獅子の牙》と《獅子の爪》の隊長が加えられていた。王立親衛隊の隊長ふたりが大将軍と同じ食卓なのは、ナージュなりの考えがあってのことだろう。ラクサスがアルガザードと相席しているのを見るのは微笑ましくもあった。もっとも、ふたりは目線を合わせようともしていないが。
別の食卓に視線を向けようとすると、食卓の間を駆け抜ける三人の侍女の姿が目に止まった。サリシャ、トリシュ、ミルフェの三人が、なにやら忙しなく動き回っている。酒を注いだり、食器を片付けたりと、本来ならば給仕係がするようなことを楽しそうにやっているのだ。
「あ、ルシオンの王子様と王子妃様はこちらです!」
三人娘の中で唯一白い肌の少女に手を引かれ、ハルベルクとリノンクレアがレオンガンドの元から離れていった。
「陛下は、あちらへ」
長身の侍女が指し示した方向には、ほかと比べて小さな食卓があった。が、ふたりで食事を摂るというのであれば十分過ぎる大きさだといえる。そう、ふたりだけの食卓なのだ。
ナージュ・ジール=レマニフラが待っている。
レオンガンドは、微苦笑を漏らすと、侍女の言葉に素直に従うように歩き出した。その間も、視線は周囲を観察している。《白き盾》の食卓に顔を並べるのはクオン、マナ、ウォルド、イリス、グラハムの五名だったが、いつの間にかイリスの背後にアーリアが立っていた。彼女は、イリスに寄りかかり、半ば嫌がられているようにも見えた。しかし、イリスも満更ではなさそうに笑みを浮かべていて、その様子は仲睦まじい姉妹そのものだった。クオンを始め、《白き盾》の面々は、イリスとアーリアの戯れに驚きを隠せないようだが。
(驚きたいのはこっちだよ)
レオンガンドの記憶の中のイリスは、ガンディア王家への憎悪を剥き出しにした少女でしかない。マイラムで襲撃された時は驚いたものの、それ以来、彼女から敵意をぶつけられたことはなかった。アーリアが手を回したということは知っているが、どのような手段を講じたのかまでは聞いていない。聞いても、教えてくれはしないだろう。レオンガンドもそれでいいと考えている。イリスが攻撃してこないのなら、それでいいのだ。いま、《白き盾》という最重要戦力を手放すようなことはできない。イリスが、そのきっかけとなるようなことさえ起こさなければ、なんの問題もなかった。
《蒼き風》の食卓には、団長シグルド=フォリアーに副長ジン=クレール、それに“剣鬼”こと突撃隊長ルクス=ヴェインの姿もあった。満身創痍の上、立つこともままならなかったはずのルクスは、軍医や周囲の制止を振りきり、ヴリディア砦への行軍についてきていた。もちろん、団長も副長も大いに反対したらしいのだが、彼はレオンガンドに直訴するという手段に打って出たのだ。
レオンガンドとしても、彼にはゆっくり療養してもらいたかったが、彼が、同行を認めなければセツナの師を降りる、などと言い出しかねない空気を纏っていたため、仕方なく認めたのだ。包帯だらけの彼の姿は、いつ見ても痛々しいことこの上ないのだが、空元気を振り回すルクスにはだれもなにもいえないようだった。シグルドやジンでさえ諦め顔だ。とはいえ、シグルドは彼を積極的に使うつもりはないはずだ。また、ジナーヴィのときのような無茶をさせて、再起不能に陥ったりしたら目も当てられない。《蒼き風》は“剣鬼”で保っているとはよくいわれていることだ。シグルドはその評判をむしろ喜んでいるような節があるのだが。
ルシオン王子夫妻の食卓には、ミオンの突撃将軍ギルバート=ハーディが所在なげに座っている。その隣にはガンディア方面軍第五軍団長ケイト=エリグリッサが困惑気味に腰掛けており、ハルベルクとリノンクレアもこれには苦笑を浮かべるしかないだろう。もっとも、ギルバートの手前、柔和な笑みを湛えているに違いない。ハルベルクとリノンクレアもふたりだけの席にしてあげればいいのに、と思ったが、そうなるとギルバート将軍はケイト軍団長とふたりきりになってしまうという結論に行き着く。互いによく知らないであろうふたりの席の気まずさを考えると、四人の食卓のほうがまだましなのかもしれなかった。
そして、レオンガンドはナージュが待つ席に到着した。ナージュは、食卓の横に立っている。立ったまま、レオンガンドを待ち続けていたのだろう。いつも通り、白い装束に褐色の肌が際立っている。佇まいも優雅だった。挙措動作、どれをとっても流れるように美しい。
「お待ちしておりましたわ、レオンガンド陛下」
ナージュが満面の笑みで、隣の席を促してくる。
「どうやらわたしが最後に着いたようで。おまたせして申し訳ない」
レオンガンドは、謝ると、彼女に示された席に回り込んだ。ほかの食卓がよく見える場所に、ふたりの席はある。特等席といっても過言ではないだろう。
「いえ、いいのです。陛下には陛下の務めがございましょうし。その代わりといってはなんですが、皆様には、食事を始めて頂いておりますわ」
「料理は出来上がりが一番美味しいものです。わたしのために待ってもらうよりも、そのほうがありがたい」
レオンガンドは、心からの笑みを返した。
ナージュが、この食事会の主催者なのだ。彼女の判断に口を挟む権利は、レオンガンドにはない。レオンガンドもまた、招待客でしかないのだ。この食事会の席上では、レオンガンドも《蒼き風》の傭兵や《白き盾》の傭兵と同列といってもいいのではないか。即席で作り上げられた食事会場は、ナージュを主とする世界であり、現実とは乖離した空間といってもよかった。
ナージュを女神とするならば、三人の侍女はさながら神の使いであろう。彼女らほど甲斐甲斐しく働き回る神の使いなど聞いたこともないが、そういう神の使いがいても構わないはずだった。
「突然こんなことをして、迷惑でしたでしょうか?」
不意に問いかけてきたナージュの顔を見ると、彼女は、少しばかり不安そうな目をしていた。意気揚々と開催し、皆を呼びつけたはいいが、不興を買ってはいないだろうか――そんな彼女の想いが手に取るようにわかった。
「いや、迷惑だなんてとんでもない。むしろ、嬉しく思いますよ」
「本当ですか?」
「ええ。ここから先、決戦に向かって突き進むだけです。こうやって、ゆったりと食事を取ることはできないかもしれない」
できないだろう。中央軍は一路ヴリディア砦に向かっている。到着と同時に攻撃を開始するわけではないにせよ、敵拠点を目前にしている以上、予断を許さない状態が続くに違いないのだ。いつ、敵軍の攻撃があるかもわからない。ザルワーンからの攻撃があれば反撃するしかなく、悠長に食事をしている暇はないのだ。
「陛下がそういってくださるのなら、準備をした甲斐があったというものですわ」
にっこりと微笑んだ姫君の顔は、得も言われぬ美しさがあった。
「ありがとう、ナージュ姫。あなたにはいつも救われる」
レオンガンドは、木製の容器に注がれた果実酒を口に含んだ。芳醇な果実の味わいが口の中に広がり、鼻孔をくすぐる。ゼオルで取り寄せたものかもしれない。彼女は、ゼオル滞在中に侍女や黒忌隊を引き連れて、市街を駆け回っていたようなのだ。この食事会のために色々と買い集めていたとしても不思議ではなかった。
レオンガンドの食卓に、つぎつぎと料理が運ばれてくる。めずらしく魚料理が並んでいるのは、ゼオル近辺にはロンギ川が流れているからだ。ナージュの手料理もあるのだろうか。そんなことを考えながら、食事会のひとときを大いに満喫したレオンガンドだった。