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第百九十九話 戦端一閃

「門が開いたか」

 左眼将軍デイオン=ホークロウは、物見からの報告に静かに唸った。

 彼の周囲には、北進軍の幹部たちが集まっている。副将扱いのエリウス=ログナーに、ログナー方面軍第二軍団長レノ=ギルバース、ガンディア方面軍第二軍団長シギル=クロッター、同第三軍団長ロック=フォックス。軍団長以下の面々は、離れたところで下命を待っているか、布陣しているかのどちらかだ。デイオンが号令すれば、すぐにでも動き出すだろう。

 そのときを、いまかいまかと待っている。

 マルウェール南部の丘の上からは、城塞都市の様子がよく見えた。目を凝らせば、開門しているかどうかもわかるほどの距離だ。が、いまから全軍で突っ込んでいっても、入り込む前に閉じられるという可能性もなくはない。もっとも、籠城の構えを見せていた敵軍が、わざわざそんな周りくどい手を使うとも思えない。

「カイン=ヴィーヴルの策が成ったということですね」

「おそらくは、そういうことでしょう。それ以外に開門する理由がない」

 エリウスの意見を肯定しながら、デイオンは、本当にそうか? と思考を巡らせた。見落としはないか、間違いはないかと慎重に検討を重ねる。カインを疑うわけではない。彼はレオンガンドの信任を得た武装召喚師だ。彼の四友もカイン=ヴィーヴルについて知っており、その存在を認めているのだ。レオンガンドひとりが採用を強行したことなど、ほとんどない。バルサー要塞奪還戦における、セツナ=カミヤの参戦くらいのものだ。そういう点では大いに信用に値するし、だからこそ、デイオンも仮面の男の策に任せたのだ。

 そして、彼の策は当たったのか、閉じていた門が開かれた。敵兵が打って出てくるような気配もない。まるで、客人の到来を待ちかねているかのように開け放たれている。

「どうなされますか?」

「行くしかありますまい」

 デイオンは、全軍にマルウェールへの接近を命じた。


 丘の上の陣からマルウェールまでの距離は短いとはいえ、門前まで辿り着くのに少しばかり時間がかかった。陣を引き払い、隊列を組み直さなければならなかったし、なにより、マルウェールの敵軍が突然襲いかかってこないとは限らないのだ。油断はできない。

 慎重にならざるを得ないのも、当然の話しだ。

 被害を最小に抑えること。

 それだけがデイオンの念頭にある。

 華々しい勝利は必要ない。犠牲を極限まで減らしたい。ただそれだけなのだ。ただそれだけのために、彼は厳重に警戒し、物見を重視した。

「門の周囲に敵兵の姿は見えません。内部で待ち受けている可能性は少ないかと」

「やはり、カインの策とやらは成功したのか」

 馬上、デイオンは、仮面の男の目を思い浮かべた。

 仮面に穿たれた穴に覗くカインの目は、見ているだけで寒気がするほどのおぞましさを秘めていた。これが人間の持つ目なのかと、デイオンは何度も思い、そのたびに彼の正体について考察した。が、思い当たるふしなどあるはずもない。彼に武装召喚師の知り合いなどはいないのだ。顔見知り程度ならいないではないが、それらは《大陸召喚師協会》の人間であり、《協会》の人間ならばわざわざ仮面をかぶる必要もなかった。ファリア=ベルファリアですら、堂々と雇われている。では、なにものなのか。考えれば考えるほど深みにはまる気がして、彼はそこで思索を打ち切ったものだ。

 策の内容については知らされてはいない。ただ、上手く行けば無血開城も可能だろうということであり、そのためにはウルの助力が必要だということだった。ウルといえば、レオンガンドの寵愛を受けた人物である。彼女がなにものなのかは、デイオンも知っている。ガンディアに巣食っていた外法機関に囚われていた哀れな女性であり、被害者だ。彼女はレオンガンドとナーレスによって救い出されて以来、王宮に住み着いている。なにをしているのかは知らないが、ガンディアにとって重要な人物だということはなんとなく理解していた。でなければ、此度のザルワーン侵攻に従軍させたりはしないだろう。まさかカインともども北進軍に同行するとは思わなかったが。

 ともかく、カインはウルをガンディアの要人と見立てた。北進軍に潜伏したザルワーン人にでも扮したのだろうか。仮面の男だ。正体を偽ることくらい容易い。北進軍陣地を抜けだした彼を騎馬隊に追わせたのだが、デイオンはそのとき、騎馬隊に下手な演技をさせるよりも本気で追わせたほうがいいのではないかと考えた。カインにはいわなかったが、騎馬隊には、カインがザルワーンに通じていたのが発覚したと伝えていた。距離が距離だ。騎馬隊が追いつく前にカインはマルウェールに到着するだろうと考え、実際その通りになった。騎馬隊の弓は掠りもしなかったようだ。

 そして、カインはウルとともにマルウェールへの侵入を果たしたのだ。

 門前に先頭集団が辿り着く。敵軍による出迎えはない。さらに二番手、三番手が門を潜り、市内へと入っていく。矢の雨が降り注ぐこともなければ、喚声とともに敵軍が突っ込んでくるようなこともない。それからデイオンも門を通過し、マルウェールの市街を拝んだ。

 デイオンは、閑散とした市街の様子を一瞥すると、全軍が門を潜り、手筈通りに整列するのを待った。

「ん……?」

 待っているうちに、前方から二頭の馬が走ってきた。一頭は、カインとウルを乗せた馬だ。もう一頭には、三色の軍服を纏った男が乗っている。マルウェールの翼将だろう。

 カインは、デイオンの近くまで来ると馬を降りた。ウルの下馬を手伝ってから、こちらに仮面を向けてくる。

「左眼将軍閣下。お早いお着きですな。いまからお迎えに上がろうと思っていたのですが」

「待っていればよかったのか」

 デイオンが驚いたのは、カインが予想外にこちらのことを気遣ってくれていることがわかったからだ。慎重に慎重を期すのならば、そのほうがよかったのは間違いない。カインたちが出迎えてくれたのなら、安心してマルウェールに乗り込むことができたのだ。

「まあ、迎えに行く手間が省けたのでよしとしましょう」

 カインは、仮面の奥で笑ったようだ。

 デイオンは馬を降りると、兵士に手綱を任せ、カインが伴ってきた男に目を向けた。

「そちらは?」

「第五龍鱗軍翼将ハーレン=ケノック殿です。我々の説得に応じ、降伏をご決断なされました」

「降伏? 我々に降伏するというのか」

 開門するということは、それ以外に考えようもなかったのだが、実際に言葉として聞いてみると、デイオンは唖然とするよりほかなかった。どのような策を弄したのだろう。翼将を説得するには、まず、翼将と言葉をかわす機会がなければならないのだが、ガンディア軍から逃げてきた疑わしいものが、おいそれと翼将に会えるものなのだろうか。疑問は頻出するが、目の前の現実は否定できるものでもない。

 ハーレン=ケノックと紹介された男が馬から降りた。デイオンは、即座に兵士に目配せし、馬の手綱を預かるように仕向ける。

「我々第五龍鱗軍の戦力では、そちらの軍勢には敵わないと判断しました。抵抗し、兵士の命を損ずるよりも、ガンディアに降り、兵士たちの身の安全を約束して頂くほうが良いのではないかと」

 彼は、デイオンの目を見据えていた。その瞳に濁りはなく、意思も強い。声も澱みなく、はっきりとしていた。彼が強い決意をもって降伏の道を選んだことがよくわかる。カインとウルの説得に応じたというのは事実なのだろう。しかし、腑に落ちないこともある。

 確かに、三千人の北進軍と千人の第五龍鱗軍が直接ぶつかり合えば、第五龍鱗軍に勝ち目はない。しかし、マルウェールという城塞都市に篭もれば、その限りではない。籠城戦は、援軍を期待して行うものであり、マルウェールへの援軍は期待できたはずだ。スルークの軍勢を駆り出すもよし、ファブルネイア砦やリバイエン砦から援軍を寄越してもらうという可能性もあったはずだ。籠城すれば勝てる見込があると判断するのが普通なのだ。

 無論、デイオンは籠城されても、こちらが勝つという算段があったわけだが。

「ふむ……」

「納得できませんか?」

「いや……わかった。我々は降伏を受け入れよう。無論、市民にも兵にも危害は加えない。それがガンディアの方針だ」

 デイオンが告げると、ハーレンはほっとしたような表情を見せた。

 思考を巡らせたところで、答えが出るはずもなかった。カインがなにかをしたのは間違いないし、そのおかげで難なくマルウェールを制圧できたのだ。だれひとり血を流すことなく、だ。上出来どころの騒ぎではない。このままなにも起こらなければ、カインの戦功は大いに讃えられてしかるべきだろう。彼のおかげで、北進軍は一兵も損ずることなく、マルウェールを手に入れることができたのだ。

「では、込み入った話はこちらで」

「ああ」

 ハーレンに促されて歩き出したデイオンは、ひとり、胸を撫で下ろしていた。ようやく人心地がつくといった感覚がある。北進軍を任されて以来、心が休まる時がなかったのだ。失態を犯してはいけない。兵士を損じてはいけない。大勝はいらないが、大敗などあってはならない。左眼将軍の名を汚してはならない。常に緊張の連続だった。

 その緊張から、少しずつ解放されていくのを実感する。もちろん、油断はしないのだが。

 マルウェールの市街の中心に向かって歩いて行く。馬に乗る必要もない距離だろう。デイオンは、ハーレンと談笑しながら町並みを眺めていた。人気がないは、市民が避難していることもあるだろうが、第五龍鱗軍の兵士たちの姿が見えないからというのもあるのだろう。降伏するのだ。市内で待機している必要もない。

 とはいえ、だれひとり見当たらないのは不自然でもある。

 違和感。

 マルウェールの市街に横たわるのは静寂というよりも沈黙に近い。身を潜め、息を殺し、好機が訪れるのを待っているかのような、そんな感覚。錯覚であればいいのだが、デイオンの経験からくる勘が警告してくる。

(これは……)

 デイオンは、右に並んで歩くカインを見た。彼は、こちらの視線に静かに頷くと、なにごとかを囁き始める。雑談中のハーレンの耳には届かないほどの小声だ。デイオンにも、彼がなにをいっているのかはわからなかったし、カインの隣を歩くウルにも理解できないようだった。つぎに左を見遣る。ハーレンの左後方を歩いているのは、第二軍団長シギル=クロッターだ。細身の剃髪の男は、デイオンの視線だけで理解してくれたのか、そっと後方に消えた。軍団長たちと連携を取るためだ。

 デイオンは周囲に変化はないか注意しながらも、ハーレンとの雑談を続けていた。

「そういえば、ケノック殿が翼将に就任されてどれくらいになられるのですか?」

「いや、はは、まだ半年が経過したくらいで、翼将としては駆け出し同然ですよ」

(半年……)

 気恥ずかしそうに笑う中年の翼将を横目に見ながら、彼は引っ掛かりを覚えた。翼将(つまり、ガンディアにおける軍団長)に就任して半年というのは、部下となる兵士たちの心を掴むには短すぎる期間であろう。信頼関係というのは一年、二年と時間をかけて醸成されていくものであり、上司と部下の関係になった瞬間に生まれるようなものではない。デイオンがログナー人との意思疎通に苦労しているように、彼も部下との交流に苦労しているのではないか。デイオンにはエリウス=ログナーという切り札があり、彼がいる限り、ログナー人はデイオンの命令に逆らうことはありえないのだが、ハーレンの場合はどうだろう。

 彼が降伏を決断したとして、部下たちは、半年前に就任してきた翼将の身勝手な決定に全面的に従うものだろうか。無論、独断ではないとは思うのだ。でなければ、これほどあっさりと市街に入ることはできなかったはずだ。相談し、説得し、命令したのだ。その結果、市街には兵士ひとり見当たらないという状況になっている。

 本来、独断であっても、兵士たちは彼の決断に従うより他はない。それが軍隊というものだからだ。指揮官の命令は絶対であり、間違っていたとしても、覆すことなどできない。戦えといわれれば戦い、死ねといわれれば死ぬしかない。

 が、降伏となれば話は別だ。

 敵に降るということは、国を見放すということにほかならない。国を見捨て、国を裏切るという行為に等しい。寝返るのとは違うにせよ、状況によっては同じだけの効果があるだろう。そして、現状、ガンディアが押しているという情報があるわけでもない。だというにも関わらず、無条件で降伏しようなどと、到底考えられるような話ではないだろう。

 背後の部隊が、整然と動き出しているのがわかる。

 ハーレンは、デイオンの機嫌を損ねたくないのか、とにかく饒舌だった。マルウェール市民のどうでもいい話から、翼将に就任して以来災難続きだという話、前任の翼将エイス=カザーンのおかげで人心を掌握できたという話など、取り留めもなかった。

「前任の翼将ですか」

「ええ。エイス殿は老齢でありながら、長きに渡って翼将を務められてきた御仁。わたしが翼将として振る舞えるのも、すべてエイス殿のおかげのようなものです」

「なるほど。その御仁にはケノック殿も頭が上がらぬと」

「え、ええ、まあ」

 ハーレンは、自分の力量不足を恥じるように頭を撫でた。実力さえあれば、前任者の手助けなど必要なかったのだとでもいわんばかりだが、実際その通りなのかもしれない。実績と能力があれば、ひとはついてくるものだ。そして、信頼が築かれていく。

 デイオンは、ハーレンの発言に自分の不安が的中する未来を見た。前任者に依った軍の統率。それはあまりに脆く、あまりに危うい。それでも時間をかけさえすれば、彼が前任者に取って代わり、軍を完全に掌握できたのだろうが、たかが半年ではそれも不可能に近い。

 前方に塔が見えてきた。ハーレンがいうには通称・司令塔と呼ばれる建物で、マルウェールの中心から城壁内の全域を見渡すことができるのだという。上層に物見を配しておけば、市内のどこでなにが起こってもすぐに把握できるというわけだ。

「はて?」

 ハーレンが困惑したようにつぶやいたのは、司令塔を中心として多数の兵士が布陣していたからだ。武装した兵士たちは、ただ突っ立っているわけではなく、前面に盾兵を配置し、槍兵、弓兵を並べていた。いつでも戦闘に突入できるという様子ではあるものの、武器を構えているわけではない。しかし、彼らの敵意に満ちた視線は、一触即発という言葉が相応しい。

 悪い予感ほど的中するものだ。

 デイオンは、カインを一瞥した。彼は武装召喚術の呪文を唱え終えている。ウルは、彼の背後に隠れていた。

「これはどういうことですか?」

 デイオンがハーレンに問う間に、北進軍の部隊が展開を始めている。第五龍鱗軍とデイオンの間に盾兵による陣列を構築し、その後ろに槍兵が続く。弓兵がデイオンたちの目の前に整列し、デイオンたちは兵士の群れの隙間にいるような状態になっていく。

「いや、わたしはこんな命令を下した覚えはないんですが……」

「ハーレン=ケノック翼将!」

 前方からの大声に目をやると、塔の入口の前に老人が立っていた。白髪にたっぷりと蓄えられた顎鬚が特徴的な老人で、甲冑を纏い、剣を帯びていた。周囲には屈強な兵士たちが控えている。まるでその老人こそが軍の指揮官であるかのようだ。

 デイオンは、彼がエイス=カザーンなのだろうと確信をもって認識した。

「エイス殿! これはどういうことですか!」

 ハーレンがガンディアの兵士を押し退けて、老人の元へ向かう。やはり老人がエイス=カザーンだったのだと確認する一方、ハーレンの不用心さにデイオンは眉を顰めた。この状況で飛び出していくなど、正気とは思えない。が、彼としては、仲間の元へ向かっているだけなのだ。

「なに、降伏の前の一仕事ですよ。我々は戦い、負けたのだという記録を残しておくべきです」

「なるほど……そういうわけですか」

 エイスの発言にハーレンが納得する様に、デイオンは危機感を抱いた。エイスの発言の意図は、交戦したという記録さえ残しておけば、降伏に対しての言い訳が立つということだろう。無論、そんなことで面目が立つとは思えない。エイスが司令塔の周囲に陣を敷いた言い訳に過ぎないのだ。だが、ハーレンは、エイスの言葉を全面的に受け入れてしまっているようだった。

 こちらの陣を抜けだしたハーレンは、ふらふらとした足取りでエイスの元に向かう。エイスも彼の元に歩み寄っていた。長い眉の下の目が、異様に輝いている。

「やはり第五龍鱗軍は未だエイス殿のもののようですな。わたしの命令を無視するとは」

「なに、翼将に任命されて二十年、ずっとマルウェールにいたものでしてね。皆が子供の頃から、世話をしてきました。皆、わたしの子供であり、孫のようなもの。血は流させたくない」

 ふたりの会話は、デイオンの耳にもよく聞こえた。ハーレンの自分を卑下するような言動もそうだが、エイスの言葉も、第五龍鱗軍のいびつな構造を物語っている。ハーレンは部下のひとりとして支配できておらず、兵士は、エイスの一言で動く。この異様な状況は、親任の翼将と前任の翼将の影響力の差が生み出したものだ。そして、新任の翼将は無条件降伏を望み、前任者はそれを望んでいないのがわかる。

 デイオンは、相応の被害を覚悟した。もはや流血は避けられない。

「わたしもですよ、エイス殿。だからこそ、ガンディアに降伏するのです」

「わかっております、ハーレン=ケノック翼将殿。あなたの考えも間違いではない。ですが、我々は、ザルワーン人なのです」

「はい?」

 それが、ハーレンの最後の言葉となった。

 デイオンの位置からは、老人がどのように動いたのかわからなかった。神業といっていい。彼は、ハーレンが疑問符を上げたときには抜刀し、ハーレンの首を切り飛ばしていた。翼将の頭部が、嘘のように宙を舞い、血を振り撒いた。

 ハーレンの死体が地に崩れ落ちたとき、剣を振り抜いた老将の姿がデイオンの網膜に焼きついた。

「エイス様が逆賊ハーレン=ケノックを討ち取ったぞ!」

「おおおおおおおおお!」

 第五龍鱗軍の士気が激しく高まったのは、新任の翼将の死がきっかけというのは、皮肉というべきか。

 盾兵が押し出してくる。弓兵が弓を構え、矢を番え始める。喚声が轟く。閑散とした市街は、一気に戦場へと様相を変えてしまう。呪文が聞こえた。

「武装召喚」

 カイン=ヴィーヴルが、ガンディア軍の前方に躍り出た。手に光が収束し、手斧が具現する。彼の召喚武装なのだろう。彼は、殺到する敵兵に目もくれず、手斧で地面を殴りつけた。さらに一撃。つぎの瞬間、強烈な震動がデイオンたちをも襲った。

 そして、カインの眼前の地面が隆起し、通路を完全に封鎖する巨大な防壁が築き上げられた。

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