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第百七十七話 混戦

「どうなっている?」

「突撃将軍による奇襲が半ば成功し、敵陣に多少の動揺があった模様。こちらは全軍渡河、敵陣に攻め寄せており、挟撃の形にはなりました。形成は不明。有利とも言い切れませんな」

 ゼフィル=マルディーンから説明を受けながら、レオンガンドは兜を被った。甲冑は仮眠中も身につけたままだったが、兜だけは脱いでいたのだ。

 仮眠中の彼の元に報告が入ったのはつい先程だ。いつの間にかナージュの膝の上で寝てしまっていたのだが、彼女はむしろ嬉しそうに笑っていた。彼女の励ましに見送られて、レオンガンドは戦場に戻ってきたのだ。馬車を出た瞬間、アーリアの苦笑が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。

 満天の星空の下、戦場の熱気が逆巻いている。前方、川向うから届く喚声の数々は、命を賭した兵士たちの叫びであり、魂の絶叫なのだ。剣が閃き、槍が踊る。矢が飛び交い、馬が躍る。双翼陣中央後方の本陣からは、戦場の全景を拝むことはできない。ただ、月光に煌めく無数の鎧の躍動が、レオンガンドが戦場にいるという事実を教えてくれている。

「半ば?」

 レオンガンドが気にかかったのは、その一点だった。騎兵隊による奇襲の成功に、半ばもなにもないはずだ。

「伝令によれば、敵軍に察知され、迎え撃たれたようです。しかし、敵軍の詰めが甘かったおかげで、生存者による敵陣への攻撃が成功、混戦となったとのことです」

「将軍は無事なのか?」

「そのようです」

「そうか……」

 レオンガンドが安堵したのは、同盟国から援軍として差し出されたとはいえ、将軍に重傷を負わせることや、戦死させるなど、あってはならないからだ。信用問題にも関わる。いま、三国同盟に亀裂が入るのは頂けない。ザルワーンさえ手に入ればどうとでもなることかもしれないが、いまはまだ、ミオンに頼らざるをえないのだ。ミオンから提供された千五百が、この中央軍の要といってもいい。ガンディアの千五百の兵よりも、ミオンの千五百の兵のほうが何倍も精強なのは、わかりきったことなのだ。

 右翼に展開するガンディア軍第一方面軍の様子が気になったが、軍団長マーシェス=デイドロは気骨のある人物であり、さほど心配する必要はない。弱兵とはいえ、バルサー平原、ログナーと、大きな戦いを潜り抜けてきたのだ。そう簡単に崩れるはずはないと期待したいところだが。

 左翼のルシオン勢は心配無用だろう。とっくに敵陣に辿り着いて、戦闘行動に移っているはずだ。ハルベルクといい、リノンクレアといい、数多の戦いを経験している。こんな戦いでは怖気づくこともないだろう・実戦慣れした指揮官の下、白聖騎士隊とルシオンの精兵たちは真価を発揮するに違いない。

 中央は、心配する必要がない。むしろ、心配など、失礼に当たるだろう。マイラムで口説き落とした無敵の傭兵団《白き盾》が、中央最前列に布陣し、展開しているのだ。クオン=カミヤのシールドオブメサイアが機能すれば、敵の攻撃など意味はなくなる。前列二段目には《蒼き風》が続き、ガンディア方面軍第五軍団、レマニフラの黒忌隊と白祈隊が後列に並ぶ。大将軍アルガザードは現在、第五軍団とともにあるのが、後方からでもよく見えた。大将旗が、掲げられている。

 レオンガンドは、四友のうち、ゼフィルとバレットを連れ、さらにはアーリアの庇護下にある。《獅子の牙》と《獅子の爪》も、彼の周囲に展開していた。鉄壁とは言い難いにせよ、強固な防壁となるだろう。

 四友のうち、残るふたり、スレイン=ストールとケリウス=マグナートは、白祈隊の五十名とともにナージュの護衛についてもらっていた。四友は戦功を重ねる必要がない立ち位置にあり、それを理解しているからこそ、不平も不満も口にしなかった。

 ミオンの援軍とはギルバート=ハーディ麾下の騎兵隊そのものであり、彼の部隊は敵の後背を衝くために離れ、そしていままさに、敵陣で荒れ狂っている。

 戦場は混沌としており、本陣からは指示を送るもなにもなかった。そもそも、大将軍に任せており、大将軍は戦場で直々に下知を飛ばすだろう。

 レオンガンドが本陣に出てきたのは、戦後、総大将である人間が、戦闘中に馬車で将来の妃とともに過ごしていたなどといわれては、面目が立たないからだ。采配を大将軍に委任している以上、どこでなにしていようと構わないはずなのだが、人間というものは、そういうくだらないことこそ気を使わなければならない生き物なのだ。

 


 ギルバート=ハーディは、奇襲が完全には失敗しなかったことにほっとしながらも、敵軍に察知された事実には驚きを隠せなかった。

 彼がその事実に気づいたのは、敵軍本陣に到達する寸前だった。

 号令とともに発射された数多の矢をかわすのは、人馬一体の彼でも至難の業だった。後続の騎兵たちが、避けることもままならぬまま矢を浴びたのは無理からぬことだったのだ。それだけの数の矢が、一斉に放たれた。

 ギルバートですら、危うかった。

 敵軍は、こちらの奇襲にかなり早い段階で気づき、迎撃の用意を整えていたのだろう。しかし、弓兵の数が足りなかった。ギルバートの騎兵隊は、一度の斉射で全滅するほどの少人数ではないのだ。千五百。数百の矢では、殺しきることなど不可能な人数による奇襲攻撃。

 ギルバートが敵陣に到達し、馬上刀を振り回していると、生き残った千名以上の騎兵が敵陣に雪崩れ込んできた。奇襲は、成功したも同じだった。迎撃による被害は大きく、死者も多数出たようだったが、それでも敵陣を混乱に陥れ、膠着状態から自軍が有利な展開へと持ち込めたのは大きい。

 アルガザードの采配が当たったことになる。

(兵は死ぬものだ)

 馬上、敵陣を駆け回りながら、彼は敵に迎え撃たれ、死んでいった部下たちのことを思った。奇襲に完全に成功していたとしても、死者は間違いなく出ただろう。騎兵など、脆いものだ。圧倒的な突破力と引き換えに防御力を捨てているようなものなのだ。敵陣に突っ込み、半数も無事なら御の字だ。

 だから、普段ならば使わない戦術なのだ。

 この戦いは、なんとしても勝たなくてはならない。

 レオンガンド王の演説に、無関係なはずの彼の魂も燃えていた。



 盾が機能している限り、敵軍の攻撃はなにひとつ怖くなかった。

 渡河の最中であれ、向こう岸に辿り着いた直後であれ、殺到する矢のことごとくは見えざる壁に阻まれて地に落ち、襲い掛かってくる敵兵の剣も槍も、かすり傷ひとつ付けられない。

 唖然とする敵があまりに哀れだったが、彼らは即座に気づくのだ。団長が手にした純白の盾が、淡く発光しているという事実に。そして叫ぶ。《白き盾》だ、と。

《白き盾》は無敵の軍団。

《白き盾》は不敗の傭兵。

《白き盾》には手を出すな。

《白き盾》には攻撃が通用しない。

《白き盾》は無視し、別の敵を当たれ。

 口々に囁かれ、叫ばれるのは《白き盾》に対する正当な評価ではあっただろう。

 無敵の盾を擁する不敗の傭兵団。被害を負うことがないために、決して負けることのない集団。

 哀れなのは対峙する敵だろう。

《白き盾》団員たちには、剣も槍も斧も矢も通らないにも関わらず、彼らの武器は敵に届き、殺傷をいとわない。一方的な殺戮。理不尽極まりない暴力。圧倒的な勝利だけが、《白き盾》の眼前に輝いている。

 その光の中にあって、イリスは、敵中央部隊が、猛然と突っ込んでくるのをみた。玉砕覚悟とでもいうのか、ひとつの力の塊となって突撃してくる敵部隊だったが、《白き盾》はまったく動じなかった。

 布陣を崩さず、後列への侵攻を防ぐために、敵部隊を受け止める。どれだけの決意をもって望もうと、どれだけ死力を尽くそうと、シールドオブメサイアの守護を破ることはできない。特に、《白き盾》のみに展開した守護領域は、まさに無敵といってよかった。

 そして無敵の防壁の後方から弧を描いて飛んでいった大量の矢が、敵部隊へと吸い込まれていく。鏃が月光を反射し、流星群のようだった。敵部隊後列から数多の悲鳴があがる。前列が動揺した。瞬間、イリスの剣が閃く。眼前の敵兵四人の首が宙を舞った。

 左で、爆発が起こる。マナのスターダストだろう。味方を巻き込むほどの爆発も、敵だけを殺戮したに違いない。シールドオブメサイアのおかげだ。

 右からは、ウォルドの挑発的な掛け声が聞こえてくる。ブラックファントムによる幻影的な戦い方は、イリスにも真似のできないことだ。

 グラハムは、クオンの側で戦っているようだ。名ばかりの騎士団長ではないらしい。

 クオンは、中列にあって、シールドオブメサイアの守護領域の維持に集中している。強大な力を行使しているのだ。わずかな気の弛みも許されない。

 団員たちは、後方の部隊を守る壁となることを意識しながらも、それぞれに戦功を求めてもいた。彼らの、戦場の熱狂とはまったく無縁の冷静さは、無敵の盾に護られている安心感と、クオンへの信頼に違いなかった。

 イリスは、そんな中で戦うのが、嫌いではない。存分に力を振るうことができたし、そのたびに聞こえる仲間たちの歓声や声援が、彼女に生きる実感を与えてくれていた。

「中央右側、突破されました!」

 報告は、突然だった。

「敵騎馬隊、我々の頭上を飛び越え、本陣に向かっています!」

 その瞬間、陣形が崩れた。無敵の盾に綻びが生まれた。といっても、《白き盾》は無敵で在り続けるのだが、動揺が生んだ陣形の綻びを敵軍が見逃すはずもなかった。敵兵が濁流のように押し寄せ、わずかな綻びを決定的なものにしていく。

 イリスは、目の前の敵兵を斬殺すると、右後方を見た。敵騎馬隊は、《蒼き風》の迎撃をも凌ぎ、大将軍の本陣へと殺到している。

「散開し、各個に味方を護れ!」

 そんな中で響いたクオンの号令は、いつだって惚れ惚れするものだった。



「だらっしゃあっ!」

 意味のよくわからない気合いとともに、豪快に振り上げられた大型の戦槌が、シグルドに迫っていた敵兵三人をまとめて打ち上げる。まさに剛打というに相応しい一撃に、敵兵は悲鳴をあげる間もなく昏倒したようだった。

 振り上げた隙を狙って放たれた矢は、《白き盾》の団員がシグルドの前に立つことで防がれる。複数の矢は、名も知らぬ団員の体に触れて、弾かれ、地に落ちた。

 団員は即座に弓兵に飛びかかり、剣で殴り付けようとしたが、弓兵は弓を捨て、抜刀して応戦する。剣がぶつかり合い、敵の剣にだけ火花が散る。

 意思を持ち、機動する盾。

 ルクスは、《蒼き風》の布陣に混じり、団員たちへの攻撃さえも身を呈して受け止める《白き盾》に、ある種の凄まじさを感じた。最前列で盾となるだけではない。戦況に応じて、無限に変化しながら防壁を展開することに、躊躇がないのだ。だれかが、みずからの体を盾とすることになんの恐れもない。絶対的な信頼が、シールドオブメサイア――引いては、クオン=カミヤにあるのだろう。

「どおよ! 新調したガンディールの威力!」

《白き盾》の援護などお構いなしに雄叫びを上げ、再び戦槌を振り回しては雑兵を薙ぎ倒すシグルドの姿に、ルクスは半眼になりかけた。

「おこぼれじゃなかったんすか」

「こんな状況では仕方がないでしょう」

 いつの間にか背後にいたジンに諭されて、ルクスは嘆息した。副長の言葉はもっともなのだ。現状、おこぼれに預かるというのは難しくなっていた。

 敵騎馬隊の強行突破により《白き盾》の陣形が崩れ、敵の中央部隊が《蒼き風》の辺りまで雪崩れ込んできたのだ。渡河直後のことだった。防壁で押し込むことが無理だと判断した《白き盾》は陣形を解き、現在の機動する盾へと変質した。《蒼き風》は《白き盾》団員の盾を利用することで被害を減らしながら、川の半ば辺りまで進んでいた敵兵に追い縋り、戦闘を開始したのだ。

「だらっしゃあっ!」

 シグルドが、ガンディールと名付けたらしい戦槌を敵兵に叩きつけた。敵兵は盾でもってその一撃を受け止めたはいいが、それも束の間、シグルドの爆発的な筋肉に押し負け、吹き飛ばされていた。

「ガンディール?」

「獅子の尾、ですよ」

 ジンに解説されて、ルクスは、ガンドが古い言葉で獅子を指すということを思い出した。ガンディアと《蒼き風》が契約を結んだとき、背後の物知りに教わったのだ。ガンディアは獅子の神、ガンディオンは獅子の神の都、だとかいう話だった。

 シグルドが戦槌にガンディールと名付けたのは、槌に彫られた獅子の横顔と、柄頭から伸びた帯が尾のように見えるからなのかもしれないのだが、ルクスには少々納得のできない話ではある。

「なにゆえ……」

「気に入ったのかもしれませんね、《獅子の尾》隊長のことが」

「ふうん……」

 興味なさげに相槌を打ったルクスだったが、胸中には軽い嫉妬が生まれていた。《獅子の尾》隊長といえば、彼の弟子になった人物なのだ。弟子に団長の心を奪われるなど、許せることではない。

 飛来した矢をグレイブストーンの一閃で切り落とすと、遅れて視界に入ってきた《白き盾》団員の背中に飛びかかり、足場として踏みつけて再度跳躍する。シールドオブメサイアの庇護の下、団員に痛みは生じないはずだ。

 中空に躍りあがったルクスは、前方の敵小隊が弓に矢をつがえるのを目撃した。着地とともに殺到し、五人の敵兵を血祭りにあげる。

 血の雨の中でシグルドを見やると、こちらを見ている彼の歯が月光に輝いていた。笑っている。

 ルクスは、それだけで満足感を覚えた。



「敵騎馬隊、前列を突破し、本陣に向かってきます!」

 伝令の報告を聞くまでもなく、馬上からは川を超えてくる騎馬兵の一団がよく見えた。《白き盾》の防壁を突破し、《蒼き風》の防衛網を切り抜けたのは、五十名ほどだろう。決死の突撃に違いない。死を覚悟した兵士ほど恐ろしいものはなかった。

「《白き盾》はなにをしていた!」

「慌てるな。そういうこともある」

 怒声を張り上げる副将ガナン=デックスをいつものように制すると、アルガザードは右を見た。もうひとりの副将ジル=バラムが、アルガザードの意を汲んだかのように動き出している。アルガザードが手ずから育て上げた女武将は、アルガザードの呼吸を心得ている。

 第五軍団五百名のうち、百名がジルの麾下に入っていた。その百名が、ジルの指示通りに迎撃陣形を取る。騎馬隊には長槍によって構築した防壁が効果的だ。身を地に伏せた上で無数の槍を並べ、突進してきた馬を串刺しにするのだ。

 ガナンが麾下の百名(こちらも第五軍団から割譲されたものだ)を長槍防壁陣の後背に配置させた。皆、弓を構えている。槍と弓の二段構え。ふたりの呼吸もよくあっている。

 第五軍団の残り三百名は、軍団長ケイト=エリグリッサの指示により、槍の布陣の左右を固めたようだ。彼女が大盾兵を前列に並べ終えた頃、死兵と化した敵騎馬隊の姿が、アルガザードの視界に入ってきた。甲冑が月光にきらめき、彼らの最期を彩るようだった。

「射て!」

 ガナンが叫び、百人の弓兵が矢を放つ。敵騎馬隊の半数が倒れた。だが、まだ残っている。殺到。馬蹄の轟きが、アルガザードの耳朶に染み入る。馬が嘶いた。長槍の切っ先が、前列の馬たちに突き刺さったのだろう。数頭が倒れた。後列の騎馬兵たちが馬首を巡らせる。左と右へ。だが、大盾兵が進路を阻む。ケイトが号令した。矢が放たれ、騎馬兵たちに襲いかかる。悲鳴。長槍陣の兵士がひとり、斬り殺された。

 転倒した馬から投げ出された敵兵が、巨大な馬上刀を振り上げながらこちらへと向かってくる。絶叫が聞こえる。だが、長槍陣は生きている。地に伏せた兵士たちの無数の槍が、その兵士の喉を、腹を、腕を、足を貫き、絶命させるに至る。

 あとは、掃討するだけだった。生き残った敵兵をつぎつぎと殺していく。激しい抵抗もあったものの、味方で死んだのは長槍兵のひとりだけだった。

 アルガザードは、死兵の恐ろしさを改めて実感したものの、あまりの呆気なさにむしろ気を引き締めた。足元に手を差し出す。武器持ちの部下がアルガザードの掌中になにかを触れさせる。握る。冷ややかな感触とずっしりとした重量。彼の体格に合わせた特注の長柄戦斧だ。その長大な戦斧の柄を握り締めると、左手で手綱を操り、馬首を廻らせた。

 敵騎馬隊の決死の特攻。その目的は大将首にほかならない。大将旗を掲げたアルガザードに向かってきたのがその証明だ。大将さえ殺せば指揮系統は乱れ、勝利に近づくと考えるのは必然なのだ。

 ならば、あの程度の攻撃で済むはずがない。

(陽動……!)

 アルガザードの視界、左と右から駆けてくる騎兵がいた。月光を恐れてのことか、外套を目深に被り、一心不乱に向かってくる。その馬の出せる最高速度だろうか。地面を踏み砕くような足取りで迫ってくる。それぞれの手に、得物がきらめく。

 アルガザードは、左手で腰の剣を抜くと即座に投げ放ち、すぐさま手綱を操って右側の敵に対応した。悲鳴、転倒、馬の嘶き。命中したのは間違いないが、彼は確認もせずに長柄戦斧を両手で握った。振りかぶる。敵はもはや止まれない。馬上刀だろう。長大な刀身が月下の月のように輝いていた。迫る。

「ふんっ!」

 息吹きとともに振り下ろした一閃は、馬上刀ごと敵兵を断ち切っていた。断末魔さえ残させない。生き残ったのは二頭の軍馬であり、彼らは兵士たちに取り押さえられた。

 今度こそ安堵の息を吐くと、アルガザードは敵陣に向き直った。

 そのとき、前方から咆哮が聞こえた。

 見ると、月の光の中、無数の軍馬や兵士が空高く打ち上げられていた。

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