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第百六十四話 死線

「敵、市街地を南方に向けて進行中とのこと!」

「こちらに向かってくるか」

 翼将カレギア=エステフは、伝令からの報告を聞き、眼帯に手を触れた。闇に閉ざされた視界にこそ、見えざるものが見えてくる。漆黒の闇に、バハンダールの全体図が浮かぶ。四方を分厚い城壁に囲われた城塞都市。複雑に入り組んだ市街地は、市民の生活のことなど考えてもいない。敵が侵入してきた際、市街の複雑さを利用して迎撃するためだといわれているが、それもどうなのだろう。中心に近いほど高層建築物が多く、城壁に近づくほど建物は低くなっている。

 南と北を貫く大きな通路はそのまま街道に繋がっているが、市街の各地から伸びた無数の通路によってくもの巣状になっており、初めて訪れたものは迷うこと請け合いだ。いや、住み慣れたものでも迷子になるのが、このバハンダールの困ったところだった。カレギアも油断をすると現在地を見失うことがあった。

 カレギアの現在地は、南側城門前だ。伝令隊と騎馬隊を従え、さらに供回りとして五十人の精鋭を連れている。ここを一応の指揮所とした彼は、各地にいる白兵部隊に指示を送り、直接戦闘は行わず、侵入者を追い込むようにと言い含めていた。

「相手は黒き矛だ。無理に戦うことはない。体力を消耗させ、疲弊させるんだ」

 カレギアが、引き連れていた兵士たちに何度もいった言葉をもう一度口にした。まるで自分に言い聞かせているようだ、と彼は苦笑した。黒き矛のセツナ。まさか自分の部隊が戦うことになるとは思っても見なかった。彼は王の近衛として、王がいるのであろう本隊と行動をともにしているものだと思い込んでいたのだ。だが、実際は違った。セツナは本隊とは別の部隊に所属し、このバハンダールを攻めこんできた。

 なるほど、理解できる采配だ。

 バハンダールといえば不落の城塞都市。そこにガンディアの最高戦力をあてがうというのは理に適っているように思える。バハンダールは容易には落ちず、落とそうとしても被害を出すばかりだというのが、ザルワーンの敗戦でよく知れ渡っている。レオンガンドも知っているはずだ。その上で、バハンダールは制圧しなければならないと考えている。

 バハンダールを無視したままザルワーンで戦線を維持し続けるのは、難しい。バハンダールの軍勢がログナー・レコンダールに押し寄せたらどうなるか。ザルワーンに軍を展開し、手薄となったレコンダールは簡単に制圧されかねない。放置はできない。が、かといってかつてザルワーンが取ったような長期攻囲は不可能に近い。

 ならば、とレオンガンドは考えたのかどうか。

 黒き矛を投入し、難攻不落を打破しようというのだろうか。

 幾度も戦局を変えてきた黒き矛の戦績に、バハンダールの陥落が刻まれるのか。

(させんよ)

 カレギアは、伝令と騎馬兵を用い、周囲の部隊を南側城壁前に集めることにした。彼は、バハンダール市街での戦い方は心得ているつもりだった。

 とはいえ、敵はまっすぐ南下しているという。複雑に入り組んだ通路を利用しての戦法は不可能に等しい。しかし、各地に配した部隊が無駄になったわけではない。通路に誘い込み、各部隊との連携を取ればいい。敵はひとり。相手は人間。怪物ではない。体力は無尽蔵ではなく、いつか尽き果てるものだ。そのときまで引っ掻き回せば、こちらにも正気は見えてくる。

 そして、城壁上に弓兵がいる限り、湿原の敵軍は多大な犠牲を覚悟しなければ、丘に辿り着くこともできない。嘆きのバハンダールとはよくいったものだ。丘に到達する頃には、嘆くことしかできないほどの兵力になっている。

「勝機は我らにある。だが、敵は黒き矛だ。恐れよ。怯えよ。怯懦きょうだこそが勝利への道だ。無謀な勇など、我らには不要」

 カレギアは、集まってきた部隊を城門付近に伏せさせた。特に弓兵への指示を忘れない。バハンダールを預かって以来、第一龍鱗軍がもっとも特訓してきたのは、弓の扱いだ。城壁上に展開した弓兵以外の兵士たちも、弓の扱いには長じている。おそらくは一線級の腕前揃いではあるのだが、如何せん、実戦慣れしていない。そこだけが気になるところではあったが、実力そのものは疑いようがない。

 一直線に南下するセツナの目的は、城門だろう。黒き矛は、ナグラシアの門を力ずくで突破したという話もある。ナグラシアのあの分厚い門を破壊したとなると、バハンダールの城門とてたやすくこじ開けられるだろう。そして、それは黒き矛がここまで到達すれば避けようがない事態かもしれない。ならば、とカレギアは考える。

「城門を開けよ」

「城門を……ですか?」

「そうだ。黒き矛の出鼻を挫く」

 湿原から北進中の敵部隊が丘に到達するまでまだまだ時間的猶予がある。門を開けても、敵軍の矢が飛んでくるわけでも、敵兵が突入してくるわけでもない。開門していても問題はない。むしろ、今後のことを考えた場合、城門を破壊されるのはまずい。黒き矛の目的が門を破壊し、突入口を作ることなら、最初から開けてあげればいい。そうすれば、セツナは門を壊そうともしないだろう。そしてつぎの目的地へ向かうか、カレギアたちと戦うか。カレギアたちと戦ってくれるのなら申し分ない。市街へ誘導し。味方との連携を以って黒き矛の体力を削ることに専念すればいい。閉門するのは、セツナが移動してからのことだ。

 セツナにつぎの目的地があるとすれば、間違いなく東門であろう。東側から迫り来る部隊のための突破口を開こうとするかも知れず、その場合も伝令に先回りさせて門を開けておけばいい。そうすれば、敵の目的を見失わせ、体力だけを奪うことになる。

 しかい、まともにやり合えば勝ち目は薄いのも、わかりきったことだ。

 城門を破壊する威力を持つ矛に真正面から立ち向かうなど、愚の骨頂にほかならない。

 後方の城門がゆっくりと開いていく重々しい音を聞きながら、カレギアは腰に帯びた曲刀の柄に触れた。いざとなれば抜くしかないが、将が剣を抜くなど負けに等しい。

 前方、彼の狭い視界には、石畳の通路が伸びている。遥か北門まで蛇行しながら伸びるそれは、市街中の無数の通路と繋がり、無数の建物とともにこのバハンダールの迷路を作り出す元凶であった。

「敵、接近!」

 前方から兵士の叫び声が聞こえた。



「合図、届きましたよ」

 ファリアの隣に降り立ったルウファが、開口一番にいってきたことといえばそれだった。彼は泥中に着地すると、翼をマントに戻したのち、元の世界に送還した。純白のマントは光に包まれ、消失する。幻想的な光景だったが、この状況で見惚れるものもいない。

 最前列に展開した大盾隊の真後ろに、彼女たちは隠れている。盾の影だ。どれほどの射手であっても、盾の向こう側の目標を射抜くことはできないようだ。もっとも、矢の威力は凄まじく、盾兵ごと吹き飛ばすことが多々あった。隊列が崩れると、つぎの矢で犠牲者が出た。しかし、矢の間隔も次第に長くなってきている。こちらの被害が大きくならないうちに通常弓の射程範囲に到達できるかもしれない。

「そうみたいね。君が戻ってくるのが遅いから、少し心配したけど」

 ファリアは、ルウファがグラードの元に現れたとき、ほっとしたものだった。最大出力の雷光は、バハンダール上空に向けて撃ってはみたが、セツナとルウファが気づくかどうかは賭けにならざるを得なかった。最初から合図を決めておくべきだったのだと、いまさらのように反省したのだが、それこそ、エインが考えるべきことだったのではないかと思わないでもない。

 エイン=ラジャールは、セツナを活躍させられる策に酔っているのではないか。頭脳明晰な軍団長であり、アスタル将軍にも評価されているとはいえ、やはり十六歳の少年に過ぎない。セツナと同じで、幼さから脱却しきれていないのだ。もっとも、彼はセツナよりはよほど冷徹で、酷薄であるようだったが。

「真っ先に本隊に報せにいっていたんですよ。どうせこっちに戻ってくるんでね」

「そのほうが効率的ではあるわね」

 ファリアが彼の考えを肯定すると、ルウファは笑みをこぼしたが、その表情には陰りが見えた。疲労が隠しきれていない。隠す必要はないのだが、多くの兵士がいる手前、そういうところを見せたくないのかもしれない。彼はガンディアの名門バルガザール家の人間であり、家名を汚したくないという想いが強いようだ。その想いは、彼の愛国心の強さにも起因しているようではあるが。

「随分疲れているみたいだけど」

「隊長投下後は全速力でしたからね。疲れもしますよ」

 ルウファは、やはり疲れを表情には出さず、小さく息を吐いた。

 さっきは遅いとはいったものの、本隊に飛んでいき、セツナの方針を伝えてからこちらに戻ってきたというのを考えると、むしろ早過ぎるといっても過言ではない。帰路はセツナを抱えていなかったということもあるのだろうが、シルフィードフェザーが真価を発揮すれば、かなりの速度で飛行できるということなのだろう。その分精神的疲労も大きいに違いないが。

「そうよね。お疲れ様」

 ファリアは、素直に彼を労った。

「動きがあるまでは後ろで休んでいる?」

「そうさせてもらいますよ。グラード軍団長にも了解取っていますんでね」

「抜け目ないのね」

「へへ」

 ルウファは笑って後方に下がった。街道上の馬車は、前列から大分離れてはいるが、ほかに休憩できるような場所もなかった。荷台でゆっくりと休んでもらえばいい。

 湿原を進軍中、敵の矢の脅威に晒されているだけで大きな変化はない。負傷者は時間とともに増えているが、一度に放たれる矢は一本に過ぎないのだ。死者さえでなければ、どうということはない。そのうえ、グラード以下、ログナー軍人は死をも恐れていない。

 もっとも、ファリアは、一方的になぶられるというのはかくも恐ろしいものかと身を以て思い知っていた。セツナを敵に回すと、こんな感じなのかもしれない。理不尽で圧倒的な暴力が、慎重に湿原を進む部隊に襲いかかってきている。轟音と悲鳴。盾兵が吹き飛ばされ、泥中に転倒する。大盾が一枚、剥がされる。だが、その隙を縫ってくるわけではない。盾と盾の間隙は即座に埋められ、盾兵が持ち直すまでの時間を稼ぐ。だが、左端の兵士が撃ち殺される。

 初撃で陣形を崩し、二撃目を的確に叩き込む。敵弓使いの常套手段であり、これで何度もやられているのだが、こちらとしては対処のしようがない。近づけば近づくほど、矢の威力も精度も上がっていくのだ。現状ですら大盾で防ぐのが精一杯だというのに、矢の威力が上がればどうなるのだろう。

 もっとも、一撃目と二撃目の間隔は、最初の頃よりもかなり長く感じられた。敵にも疲労が溜まりつつあるのだ。疲労が蓄積しきった頃にはこの脅威は失われる。が、通常の弓が雨のような矢を振らせてくるのは間違いなく、それへの対処も怠ってはならない。

 ファリアは、立ち止まると、オーロラストームを掲げた。構え、精神を集中させる。最大射程の雷撃ならば、バハンダール上空に届くことがわかっている。城壁上にだって到達するだろう。ただし、命中はしないだろうし、当たっても軽く痺れる程度だ。

 それでも、牽制にはなる。



 南側城壁までは一直線だった。

 通路は蛇行こそしていたものの、セツナが迷うようなものではなかった。ただまっすぐ駆け抜け、鉢合わせした敵兵を蹴散らし、騎馬兵の追撃も振り返って迎え撃った。黒き矛の一閃は馬体を薙ぎ倒し、騎馬兵を一瞬にして無力化した。

 目的は城壁上の弓兵。

 セツナはとどめを刺さず、進路に向き直って侵攻を再開した。

 そして、城壁が視界に飛び込んでくる。まだ、遠い。しかし、目的地は見えた。目的地だけではない。城門前に展開した部隊も目に入ってきた。鏃のような隊形を組み、前面に盾兵を配置している。盾兵の背後には槍がきらめき、弓兵はそこかしこに配置されているのが殺気でわかる。通路の両側に立ち並ぶ建物の影や屋上から、無数の殺気がセツナに降り注いでいた。

 驚いたのは、城門が開かれていたことだ。グラード隊が丘に迫ってきたとき、打って出るつもりだったのかもしれない。が、だとしても門を開くには早すぎるだろう。

 セツナは、敵の早計に笑みをこぼした。

 城壁上への階段は、大抵、城壁の内側にあるものだ。辿っていけば見つかるだろう。その点、不安はなかった。前方に密集した敵も、物の数ではない。三百人くらいだろうか。後方から追いかけてきている連中を含めれば、もう少し増えるだろうが。城壁上にどれだけの兵力を割いたのかは知らないが、黒き矛を止めるにはあまりに少なすぎる。

 自負が、セツナを加速させた。地を蹴り一足飛びに盾兵まで到達する。矢が、頭上を通り過ぎていった。盾を構えた兵士が引きつったような声を発する。目が、恐怖に澱んだ。

「遅い!」

 矛を左から右に振り抜く。鏃陣の先頭の盾兵三人を薙ぎ倒し、さらに進む。兵士たちが動揺する。黒き矛の実態を目の当たりにしたが故の恐怖だろうか。黒き矛の噂は、誇張などではなく、事実なのだという現実が、目の前に現れたのだ。

 セツナは、そんな彼らの戦意を挫くためにはどうすればいいかを考えた。彼らを殺戮するのもいいが、時間が惜しい。とにかく、素早く城壁に登らなくてはならない。城壁に上がり、弓兵の殺戮からはじめなければならないのだ。

(軍団を制御するのは指揮官……)

 指揮官を殺せば、末端の兵士たちはほとんど無力化できるはずだ。とはいえ、小隊の隊長程度では意味がない。このバハンダールの守将がいい。が、どこにいるのかはわからない。城壁上の安全な場所にいそうなものだが。

「なにをしている! 盾兵前へ! 押し包め!」

 鋭い一喝にセツナの周囲の兵士が一斉に動き出した。眼の色が変わった。恐怖が、一瞬だけ薄れる。兵士にしてみれば、その一瞬の後押しでよかったのだろう。盾を前面に掲げ、前方と左右から突っ込んでくる。猛然たる突進には、跳躍で対処する。飛び越え、兜を踏み、さらに飛ぶ。前へ。

 セツナは、兵士たちの戦意を復活させたその声こそ、守将なのではないかと推測した。一部隊長如きの怒声で兵士の動きが見違えるようになるとは、到底考えられない。

 声は、奥から聞こえた。城門の手前。最初からそこに陣取っていたとは考えにくいが、セツナが余計なことを考える必要はない。盾兵を足場にしながら前進する。周囲から殺気。盾兵の頭上に飛び出たのを好機と捉えたか、弓兵が一斉に矢を放ってきたようだった。地上からも、無数の槍が伸びてくる。

 セツナは前方にひとりの男を見ていた。雑多な兵士たちとは明らかに違う、威風堂々とした男だ。右眼には眼帯をしており、手には刀身が湾曲した剣が握られている。左眼が、セツナを見据えていた。射抜くような視線には、純然たる敵意だけがあった。

 彼がバハンダールの守将なのだ。

 セツナは、それを理解したとき、兵士の肩を踏みつけ、一層高く跳躍していた。矢が足元を通過する。が、すべてをかわし切ることはできなかったらしく、金属音が聞こえた。鎧にかすったのだろう。地上から伸びた槍は目標を見失い、虚空をさまよう。セツナは、それを見届けることもなく敵の陣形を飛び越えており、隻眼の武将の前に着地した。背後から一斉に槍が殺到してくるが、振り向き様の矛の一振りでほとんどの槍を打ち砕き、切り飛ばした。穂先が中空に舞い、破片が視界に踊る。向き直る。銀光。武将の曲刀が眼前に迫っていた。地に沈む。斬撃は空を切った。武将の膝が顔面めがけて飛んでくるが、柄で受け止め、押し退ける。後方からの殺気には、武将に突っ込むことでやり過ごす。いくつもの得物が空を裂く音を、セツナの聴覚が捉えた。

「我が名はカレギア=エステフ!」

 将は、セツナの肩からの突進を曲刀の腹で受け止めていた。隻眼が、こちらの心の奥底まで見抜くように鋭い。凄まじい気迫だった。

 セツナは、将の意気に当てられて、後退した。周囲の兵士は、陣形を変容させつつある。鏃のような陣形ではなく、敵を中心とした円周を描く包囲陣形。盾兵と槍兵が一組になっており、弓兵が遠方で矢を番えている。これなら、思う存分弓射できるというわけだ。

 もっとも、セツナの目の前には敵軍の将が立っており、流れ矢が将に当たらないという保証はない。本来ならば、敵将は円陣の外にいるべきなのだろう。

「ザルワーン第一龍鱗軍が翼将として、貴様を倒す!」

 隻眼の将は、左手をこちらに突き出して半身に構え、右手の曲刀を水平にして切っ先をこちらに向けた。彼の戦闘態勢なのだろう。剣先から感じる強烈な殺気は、ザルワーン侵攻以来最上のものだ。

 セツナは、カレギアと名乗った男の気迫には、気迫を以って応えるべきだと思った。

「ガンディア王立親衛隊《獅子の尾》隊長セツナ・ゼノン=カミヤ!」

 名乗り、黒き矛を構える。両手から伝わる冷ややかな感触は、いつだってセツナの意識を冷静にさせてくれる。戦場の熱気にやられそうなとき、黒き矛の冷気を感じ取ることができれば、立処に思考は明瞭となった。いまだってそうだ。目の前の武将の心意気に応じている場合ではない、と冷静に告げる自分を感じている。作戦の完遂のために、優先すべきはこの男との勝負ではない。

 勝負ではなく、殺戮。

 彼を殺し、状況を変えるのだ。

「よくぞ名乗った!」

 カレギアは、叫んだものの、即座に後退しようとしたようだった。後方に円陣がある。その向こう側は安全地帯ではあっただろう。彼は、勝負を仕掛けてきたのではない。セツナを挑発しようとしたのかもしれない。そうすることで、少しでも時間を稼ごうとしたのか、よくはわからない。

 しかしセツナは、そんなことお構いなしにカレギアの懐に滑り込み、黒き矛の穂先で将の腹を貫いていた。

 カレギアの血反吐を浴びたセツナの脳裏には、城壁のことしかなかった。

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