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第百六十二話 天から降るもの

 ベイロン=クーンの剛弓が唸り、敵軍に損害を与えたのは確かだった。

 第一龍鱗軍翼将カレギア=エステフは、狭い視界の中で慌ただしく動き始めた敵軍を見ていた。大盾を前面に展開し、ベイロンの弓に備えようとしているのだが、準備中に狙撃され、隊列が崩れた。

 カレギアは、城壁の際に立ち、剛弓を構える副将の姿に視線を移した。雄姿といっていい。まるで鬼神でも取り付いたかのような形相は、いつ見ても惚れ惚れするものだ。ベイロンは普段、優しげな風貌をしている。言葉遣いこそ粗暴ではあるが、部下や家族思いのいい男だ。そんな彼が唯一豹変するのは、弓を手にした時だ。彼は剛弓を構えたとき、神をも射殺す鬼となる。

 とはいえ、いくら彼が人並み外れた怪力の持ち主であっても、剛弓を使うと両腕に凄まじい負担がかかるようだった。一射ごとに全身全霊を込めなければならず、精神も集中しなければならない。超長距離の動く標的を射抜こうというのだ。並大抵の集中力では、掠りもしないだろう。

 矢を放つたびに、彼は大きく息を吐いた。部下の差し出した矢を手に取り、呼吸を整え、構える。目標を見定め、神経を集中させる。そして、矢を解き放つ。剛弓の矢は、凄まじい速度で空中を飛翔し、標的へと殺到し、破壊する。

 突き刺さるのではない。

 打ち砕き、破壊するのだ。

 この距離でも威力はほとんど変わらないというのだから、恐ろしい。

 カレギアは、ベイロンを見出したことこそ、自分がこのザルワーンに生まれた使命だったのではないかと思うことがある。彼を拾い上げ、育て上げたのは、カレギアなのだ。カレギアだけが、ベイロンの才能を見抜いた。彼の実力はこの戦で発揮され、ザルワーン史に刻まれるはずだ。

「はて?」

 ベイロンは、矢を放った直後、怪訝な顔をした。確かめるように目を細め、敵陣を凝視したようだったが、理解できないのか首を傾げる。

 さっきまでと違う様子に、カレギアは声を変えざるを得なかった。

「どうした?」

「いえね、敵陣から雷が昇ったように見えたんですが」

「ガンディアには武装召喚師がいる。それだろう」

「しかし、天に向けて射ちますかね?」

 ベイロンの疑問ももっともだった。

 カレギアは、前方に視線を戻して考え込んだ。隣のベイロンは既に思考を切り替えており、矢を番えていた。そこが彼の信用できる部分でもある。思考はカレギアに任せ、自分の役目を果たすことに全力を注いでいる。

 カレギアが敵の目的を推測している間にも、ベイロンの剛弓が唸りを上げた。

 ガンディアの武装召喚師。有名どころでいえば黒き矛のセツナがいる。セツナは、ログナー戦争の活躍により《獅子の尾》なる部隊の隊長に任命されたという話だが、《獅子の尾》は王立親衛隊。つまり、王に近侍していると考えるのが普通だ。こちらに来てはいないだろう。それに、黒き矛が雷を放ったという話も聞かない。

 ほかの武装召喚師についても、多少の情報はある。バルガザール家の次男ルウファがセツナともども王宮召喚師の称号を与えられているはずだ。ファリア=ベルファリアという武装召喚師もガンディア軍に所属しているという情報までは掴んでいる。

 ガンディアは、黒き矛のセツナの喧伝は頻繁にやっていたのだが、ほかの武装召喚師についての情報は極めて厳重に扱っているのだ。カレギア程度の情報網ではどうにもならないことが多い。

(問題はそこじゃない……天に向かって、か)

 カレギアは、ベイロンが剛弓を構える気配を感じながら、敵軍の思惑を考えた。考えられるのは、味方への合図だ。後退を促す合図だとすれば合点はいくのだが、敵軍が前進を諦めているようには見えない。剛弓の矢の脅威に晒されながらも、最前列に大盾が並びきっていた。指揮官が有能なのだろう。盾兵は街道にも展開しており、馬車は的にならないように進軍を止めていた。自然、歩兵との距離が生まれている。

 後退の合図ではない。だとすれば、なにがあるというのか。

 カレギアは数多の可能性を模索するが、答えは、思わぬ形でやって来た。

 轟音がカレギアたちの後方から聞こえ、震動が城壁を揺らしたのだ。

「なんだ!?」

 カレギアは背後を振り返ると、近くに控えさせていた伝令に様子を探ってくるように命じた。



 急速に接近してくる地面を前にセツナがしたことといえば、黒き矛の力を信じることだけだった。

 柄を握る両手に力を込め、少しでも恐怖を払い退ける。高層の建物の真横を落下するとき、背筋が凍ったのは、無防備な足が建物にぶつかれば軽い怪我では済まないからだ。だが、それも一瞬。次の瞬間には地面が見えている。石造りの道路。直撃の寸前、切っ先が地に触れた。衝撃。カオスブリンガーが吼えたような轟音を、セツナの聴覚が捉えていた。爆音だった。そして、凄まじい衝撃が両手から全身を貫く。視界が白く塗り潰され、なにかが空気をかき混ぜるような感覚があった。黒き矛の力が、奔流となって渦巻いたのかもしれない。

 光が消えたあとは爆煙が視界を覆っていた。地面を破壊し、土煙を巻き上げたのだ。全身を貫いた痛みは残っているが、それは同時に死んでいないという証拠でもあった。倒れてもいない。吹き飛んでもいない。地に足がつき、多少はふらついているものの、倒れずに済んでいた。そのうえ呼吸もしている。ただ、土煙を吸いすぎて、むせた。

 咳をしていると、靴音や掛け声が聞こえてきた。超感覚が複数の人間の接近を認識している。爆煙の向こう側、周囲を取り囲むように集まってきている。数人どころではない。十人、二十人と集い、こちらを警戒している。

 ここは敵拠点の真っ只中だ。爆音が響けば即座に集まってくるだろう。セツナは、地面に突き刺さったままの矛を引き抜くと、目の涙を拭った。土煙を吸い過ぎ、咳をしまくったせいで涙が出てしまったのだ。涙を目に溜めながらの登場では、格好がつかない。

「なにがあった?」

 居丈高な声が聞こえる。集まってきた兵士たちの中では上官にあたるのだろう。

「それが、我々もいま来たばかりで」

「さっさと確認しろ」

「はっ」

 高圧的な上官の命令に即答した兵士が、仲間とともに包囲を縮めてくるのがわかる。

 セツナは、哀れに想い、黒き矛を水平に薙いだ。剣圧によって立ち込めていた爆煙が吹き飛び、セツナの視界に数十名の敵兵の姿が飛び込んでくる。城塞都市バハンダールの中心付近。複雑に入り組んだ通路が交錯する地点であるらしい。足元――というよりは周囲――には、半球形の穴が生まれていた。実験のよりも遥かに巨大な穴は、半径五メートルはあるだろうか。周囲の建物の壁も抉れており、カオスブリンガーの力が矛を中心に球形に拡散したことがわかる。セツナはその半球状の穴の中心に立ち、穴を覗きこむ兵士たちを見上げる格好になっていた。

 兵士たちが軽装なのは、城内で戦う心配がないからに違いなかった。敵軍は、湿原を突破する前に壊滅するものだと踏んでいるのだ。だから鎧は必要ない。ただ、帯剣してはいるようだった。不測の事態に備えて、というよりも心構えのようなものかもしれない。

「なんだ!?」

「ひとがいる……?」

 兵士たちは、爆煙が突如吹き飛ばされたことにも驚いたようだが、その中に人間がいたことにも驚愕していた。腰を抜かしているものもいたようだが、多くの場合、呆気に取られて反応もままならないようだった。ひとは、理解し難い事態に直面すると、思考停止してしまうものだ。

 セツナは、黒き矛を構え直すと、兵士たちに聞こえるように叫んだ。

「黒き矛のセツナ、上空より参上!」

 瞬間、兵士たちが夢から覚めたように跳ね、一斉に後退りした。

 そして、空からの敵襲という予想外の事態に、ちょっとした混乱が起きた。

 エインの思惑は、少しは当たったのだ。



 ルウファは、セツナを投下後、バハンダールの東側を進軍中の本隊に向かった。当初の予定ではグラード隊と合流することになっていたため、先に本隊にセツナの考えを伝え、グラード隊に戻ってから休息しようと思ったのだ。最初の予定よりも早く投下したため、疲労はそれほどでもないのだが、ここから再びグラード隊の位置まで飛ばなければならないのだ。少しばかり休ませてもらっても、罰は当たらないだろう。

 本隊の隊列は、グラード隊の倍の人数だったが、グラード隊よりも余程整然としていた。右眼将軍の指揮下という手前もあるのかもしれない。飛翔将軍アスタル=ラナディースといえば、ログナー軍人にとってもっとも尊敬すべき人物であり、信奉しているものもいるほどだという。そんな女神の前でだらしない真似はできない、というのが人情だろう。

 ルウファはログナー軍人をばかにするつもりもない。ルウファだって同じだ。レオンガンドを前にすれば、同じようになるだろう。必然のように思えるし、当然のことなのだと思ってもいる。だれであれ、そういう対象を持っているものだと思っていたのだが、必ずしもそうではないらしいことが最近わかってきた。それはすごく可哀想なことだと思うのだが、余計なお世話というものなのだろう。

「でんれーい!」

 などといいながら、ルウファが真っ先に目をつけたのは、馬の上で悠然と寝転んでいたドルカ=フォームだ。彼の騎乗する馬は並外れた巨躯を誇っており、その背にドルカが寝ても余裕があるほどだった。馬力もありそうだ。もっとも、この湿原ではその馬力を活かすことはできないだろうが。

 よく寝転んだまま馬を操れるものだ、と思いきや、部下に手綱を引かせていた。副官のニナだ。彼女が馬に乗っていないのは、ドルカの馬を引くためだけだとは思えないのだが、それだけかもしれないという可能性も捨てきれなかった。ニナの鉄面皮に不満は見えない。

 上空からゆっくりと近づいていくと、ドルカが上体を起こした。

「おや、天使かと思ったら男だった。なんてこった」

「それは失礼」

「ま、別にいいんだが、天使といえばファリアちゃんは元気?」

「泥まみれでしたけどね」

「泥まみれの天使か……悪くないな」

「軍団長?」

 なにを想像したのか、不気味ににやけるドルカをニナが一瞥する。冷ややかな眼光は、いつにもまして険しい。ここが戦場だからかもしれない。ルウファはそのときになって、周囲の兵士たちの視線を感じた。翼を羽ばたかせながら低空を浮遊している人間を見るのは、めずらしくて当然だろう。ルウファだって見たことがない。自分が空を飛ぶ様だって、想像上のものでしかない。空に鏡はないのだ。

「あ、泥まみれの天使はここにもいたか」

 ドルカはいったが、ニナが泥にまみれているのは足元だけだ。上半身も、纏った甲冑も綺麗なものだった。

「軍団長みずから泥まみれになります?」

「……冗談だよ」

 ニナの言葉の刺の鋭さに、ドルカは観念したようだった。しかし、すぐに意識を切り替えて尋ねてくる。

「で、《獅子の尾》副長殿がなぜここに? あれ、隊長、投下しちゃったの? 早すぎない?」

 ルウファは、早口でまくしたててきたドルカに、どこから説明するべきものかと迷いながら、とりあえず、セツナが城壁の弓兵を一掃するということを伝えることにした。

 


「敵襲! 敵襲!」

 南側城壁上に飛んできた叫び声に、カレギアは怪訝な顔をした。ベイロンも困惑気味な表情だったが、彼はすぐに思考を切り替え、剛弓を構える。

 カレギアは、敵軍はベイロンに任せると、兵士の到着を待った。さきほど走らせた伝令よりも、市街にいた兵士のほうが情報が早いのは当然のことだろう。兵士は、城壁上のカレギアの元まで駆け寄ってくると、まずは呼吸を整えることから始めた。表情は強張り、幾分か血の気も引いている。

「焦らずともよい。精確に伝えよ」

「はっ……」

 兵士は、カレギアの配慮に多少安堵したようだった。顔色に疲労が見える。急いできたのだろう。

 轟音は市街から聞こえた。市街地から城壁までの距離を走って来たのだとしたら相当な健脚だが、恐らく途中までは馬に乗ってきたに違いない。でなければ、カレギアは伝令隊に組み込むべきこの兵士を見逃していたということになる。それはカレギアの自負が許さない。

「バハンダール中央大交差路に敵が出現。敵は黒き矛のセツナを名乗り、状況の確認に赴いた部隊との戦闘を開始しました」

 兵士の報告は、どれをとっても現実味のない話だった。中央大交差路といえばバハンダール市街の中心部といっても過言ではない場所だ。そこに敵が出現することなど、通常では考えられないことだ。城壁を飛び越えてきたならば、城壁上の兵士たちが目撃し、伝令を走らせるはずだし、なにより城壁に到達する前に存在を確認できるのだ。そもそも、兵士は「出現」といっている。

「どこから侵入してきた」

「空から降ってきたとしか言い様がございません」

「空中から……」

 カレギアの脳裏に、ついさきほどベイロンが見た天に昇る雷のことが過った。自軍に向けてのなんらかの合図だと思っていたそれが、空中への合図だった可能性がある。城壁をも震撼させた轟音は、その後だった。どういう方法なのか上空に待機していた仲間に降下の合図を送ったのだろう。そして、バハンダールに降ってきた。

 その敵が、黒き矛のセツナだと、いう。カレギアは背筋に冷たいものが過るのを認めた。意識が急激に冷えていく。さっきまでの圧勝の予感が消え失せ、胸がざわめいた。

「黒き矛のセツナだというのは、間違いないのか」

 カレギアは、兵士に問い詰める声が微かに震えていたことに気づいた。セツナ・ゼノン=カミヤ。ガンディアの王宮召喚師であり、《獅子の尾》隊長。レオンガンド王の切り札であるはずの彼が、なぜ、こんなところにいるのか。

「はっ、間違いなく黒い矛を手にしておりました」

 無論、漆黒の矛などいくらでも偽装できるが、状況が、その敵をセツナの偽物だと断定することを避けさせた。こちらが視認できないほどの高さから落下してきたのだ。そのまま戦闘に入ったということは、五体が無事ということにほかならない。ただの人間ではないということは確かであり、武装召喚師である可能性が高い。そして、ガンディアがセツナの偽物を用意する必要はない。

「伝令隊、ここへ」

 カレギアが告げると、近場にいた伝令たちが報告の兵士を囲むように集まった。

「全部隊に通達。バハンダール内部に侵入者あり。侵入者はセツナ・ゼノン=カミヤである可能性が高く、少数での戦闘は避けよ。なるべく多くの部隊と連携し、市街の地形を活用するのだ。敵は黒き矛とはいえ、バハンダールの市街について詳しくはないはずだ。とにかく正面からの衝突は避け、敵の体力を削ることに専念せよ」

 伝令兵はカレギアの命令を一言一句違えぬよう、手帳に文字として残すと、カレギアに一礼して各地に走っていった。まさに風のような素早さで、残された兵士が困惑するほどだった。

 カレギアは、ベイロンを一瞥した。彼にも兵士の報告は聞こえていただろうが、カレギアの判断にすべてを委ねているのだろう――ベイロンは、南側の湿原を睨み、矢を番えては剛弓を唸らせていた。

 黒き矛のセツナといえば、数多の戦果が喧伝されている。バルサー平原でガンディア軍に勝利をもたらしたのが最初。圧倒的な力は、平原に展開したログナー軍の意気を挫くほどのものであり、千人以上が彼の手にかかって落命したという。ガンディアの喧伝であり、話半分としても、恐ろしいことに変わりはない。つぎに、ガンディアのログナー侵攻の際には、ガンディア軍の勝利を決定づける活躍をしたということだ。

 戦局を覆すほどの力を持った武装召喚師――それがセツナ・ゼノン=カミヤに対する一般的な認識であり、当然、カレギアもそう認識している。彼が独自に集めた情報も、大体そのようなものだ。一見、ただの少年としか見えないというのだが、外見はこの際関係ないだろう。見目麗しい女将軍に容易く蹴散らされることだってあるのだ。外見と実力は必ずしも一致しない。

 それは、いい。

 問題は、黒き矛のセツナの対処法だ。

 どうやって、それほどの敵を倒すのか。一騎当千の強者。第一龍鱗軍は、バハンダールを任されて以来、実戦から遠のいている。内乱の鎮圧にこそ動員されたものの、兵力のすべてを供出してきたわけではない。全員が全員、実戦に慣れているわけではないのだ。訓練だけは毎日欠かしていないが、バハンダールの特性上、弓兵の育成に力を注いできたということもある。白兵は、多少疎かになっていたかもしれない。

(倒す必要はない)

 カレギアは腕を組んだ。伝令に命じた通りだ。倒すのではなく、疲弊させる。黒き矛とて人間なのだ。疲労は蓄積するものであり、負担を打ち消すことはできない。精神が肉体の疲労を欺瞞し続けても、そういつまでも持つものではない。時間をかけて掻き回し、体力を奪っていけば勝機は見えるだろう。

 ここバハンダールは、第一龍鱗軍の庭だ。ほとんどの兵士は、複雑に入り組んだ市街の地形を把握することから始める。市街戦を想定しないわけではないのだ。敵が多大な犠牲を払ってでも城門に取り付き、突破してくる可能性を考慮しないわけがなかった。

 市民の避難は当然完了している。バハンダールの地下壕に隠れている限り、市民に被害が及ぶことはあるまい。

 それは、市内の建物を如何に使おうが構わないということだ。

(だが……)

 カレギアは右眼の眼帯に手を触れた。心を落ち着かせようとするときの、彼の癖のようなものだった。不安は残る。その不安は、ここで報告を待っているだけでは取り除けないだろう。この第一龍鱗軍において、彼が信頼しているのはベイロンであり、それ以外にはいなかった。伝令も部隊長も彼がよりすぐった人材ではあるのだが、何分、実戦経験が足りなさすぎるのだ。

 信頼とは、経験に裏打ちされてはじめて効力を発揮するものだ。

「ベイロン」

「はい」

「ここは任せる。やはり俺が直接指揮を取ったほうがいいだろう」

 ここからでは命令の伝達までの時間差がありすぎる。伝令隊がどれだけ俊足であっても、城壁と市街を行き来するのには時間もかかるし、体力の消耗も激しい。

 ベイロンは汗の滲んできた頭を撫でると、力強く笑ってきた。

「翼将殿の指揮ならば、皆も安心しましょう。ここはお任せあれ」

「頼んだ」

 カレギアは、後方に待機させていた兵士を供回りとして、市街に向かった。

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