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第千四十九話 約束

「おまえがいるから……なんだってんだよ!」

 シーラの叫びは、もっともだった。

 セツナひとりいて、どうなるものでもない。

 彼女の望みは、セツナひとりで埋め合わせられるものではないのだ。彼女の願い、彼女の望みは、純粋だ。純粋に、家族との平穏な日々に帰りたいというだけのものだった。それが失われたといっているのだ。セツナがいるからといって、なにができるというのか。

 セツナは、それがわかっていても、歩みを止めるわけにはいかなかった。彼女との距離を少しずつ埋めていく。

 シーラは、動かない。動けないのかもしれない。彼女がこの異空間の中心から動けば、この世界そのものが崩れ去るのかもしれない。いまでさえ、異世界に異様な音が響いている。まるで、世界が壊れるような音だ。

「俺は、おまえを護る」

「俺は、守られたいわけじゃない……!」

 シーラが即座に叫んできた。彼女は叫び続けている。セツナが彼女の目の前に現れてからというものずっと、叫び続けている。叫び声出なかったとしても、それは叫びなのだ。心の叫び。魂の絶叫。慟哭。

「殺されたいんだよ! 死にたいんだ……!」

 慟哭が、世界を揺らしている。白い世界。シーラの九尾が生み出した世界。シーラの感情の起伏に合わせて揺れるのも、当然なのかもしれなかった。

「約束しただろ。どんなことがあったとしても、護るって」

 約束が、セツナを突き動かしている。一度交わした約束を簡単に破れるような人間に育った覚えもなければ、約束を反故にする理由もない。

「なんでだよ……なんでっ!」

「約束は護る男だぜ、俺はさ」

「なんでそこまで言い切れるんだよ! 俺のことなんて、護る価値なんてないだろ!」

「価値があるかどうかは、俺が決める」

 セツナは、一方的に言い切った。

「それにおまえは俺のものだ」

「なっ……」

「そういったじゃないか。全部終わったら、俺のものになるってな。ま、そもそも、黒獣隊のシーラは俺の部下で、部下の命は俺のものなんだけどさ」

 にやりと、唖然とする彼女の顔を見た。

「だから、連れ戻す」

「はっ……」

 シーラは、突き放すように笑った。笑って、斧槍の切っ先をこちらに向けてきた。ハートオブビースト。とてつもなく強力な召喚武装。これほどの現象を起こすだけの力を秘めているとは、だれも想像だにしていなかったに違いない。

「おまえがどれだけカッコをつけたってな、俺を護る道理なんざねえのさ」

 シーラが地を蹴った。世界が揺れる。激しく揺れる。世界の中心が動いたのだ。世界が激しく震えるのも当然だった。球体の内側のような世界の各所に隙間が生まれ、外光が入り込んできたかと思うと、すぐさま修復された。九尾によって構築された球状の世界はいくらでも修正が効くらしい。

「俺は、なにもかも破壊したんだぞ!」

 シーラとの距離が瞬く間になくなり、間合いに入った瞬間、彼女の斧槍が振り下ろされた。猛然たる斬撃。喰らえば即死。だが、食らうはずがない。彼女の望みを考えれば、当然のことだ。

 セツナは、視界を真っ二つに切り裂いたハートオブビーストの軌跡を見つめながら、うなずいた。

「そうだな」

「世界中を敵に回すつもりか!?」

 彼女は、空を切った斧槍を旋回させると、さらに踏み込んできた。空振りしようのない間合い。繰り出してくるのは、突きだ。顔面を狙った突き。切っ先が目の前で逸れた。左へ流れる。痛み。斧刃が、頬を浅く裂いた。殺せなくとも、傷つけることならできる。傷めつけることなら、できる。シーラの目は、暗にそういっていた。早くしないと、もっと傷つくことになるぞ、とも。

 ラグナの防壁がなかったところを見ると、致命傷にはなりえないと判断したのか、魔力が枯渇したのかのどちらかだろう。後者ならば、しばらくは彼に頼れないということだ。

「敵に回るのはごく一部だけさ」

 セツナはいって、両腕を広げてみせた。シーラがぎょっとして、わずかに飛び退く。追う。

「なにをいってるんだ?」

 疑問符を浮かべる彼女に接近し、抱きしめた。虚を突くには、普段絶対にしないような行動を取るしかない。囁く。

「シーラ、おまえは優しいな」

「はあ!?」

 シーラが素っ頓狂な声を上げたのは、セツナの言葉と行動、どちらに対してなのだろう。両方かもしれない。どのみち、虚をつくことはできたらしい。シーラが全身を強張らせるのが、わかった。

「おまえは、王宮も王都も破壊し、戦場も蹂躙した。それもこれも俺に殺されるため。そうだよな?」

「ああ、そうだよ……」

「でも、おまえは、それが自分のためだということがわかっていた。自分のため。おまえは、自分のためになにかをするということを極端に嫌う」

 逆に、だれかのためならば、泥水を啜る覚悟だってあるのが、シーラという女性だった。並大抵のことではない。並大抵の人間では、ない。

「……それが王たるものの務めだから」

 シーラがぼそりといった。

「そう教わったから」

 彼女は、幼少から十代半ばに至るまで、王子として育てられている。王子、王位継承者として育てられた彼女は、アバードの次期国王として相応しい人物になるための教育を受けたということだ。自己よりも他者を優先するという考えは、国や民のことを優先するという考えに繋がる。それこそ、シーラの考えそのものだ。自分がどれだけ疲れ果てようとも、国のため、民のためならばいくらでも戦える。それがシーラだった。彼女が国民から支持を得、シーラ派が国を二分するほどの勢力になった最大の要因でもある。国のため、民のための行動が、結果として国を引き裂き、民を苦しめたのだから皮肉な話だが、だれが悪いという話でもない。

「だから、だれも殺せなかった」

「え……?」

 シーラが顔をあげる。

「気づいていなかったんだろうとは想ってたよ」

「なんの話だ?」

「おまえは、王宮や王都を破壊したにも関わらず、だれひとりとして殺しちゃいないんだ」

「そんな……そんなこと、あるわけがない!」

 シーラが愕然と叫んだ。叫びながら、セツナから離れる。世界が揺れた。一瞬、外光が入り込む。瞬間的なことだ。すぐに修復され、世界は再び閉ざされる。

 実際、あるわけがなかった。

 あれだけの大規模な破壊を起こしておきながら、死者がひとりとして出ないなど、通常、ありうることではない。考えられることでもなかった。たとえ、白狐の九尾や足に巻き込まれなかったとしても、直撃を受けなかったとしても、倒壊した建物や瓦礫に押し潰されたりはするはずで、死者がでないことなどありえない。奇跡が起こったとしても、死者が皆無ということな、あるはずもない。

 だが、現実問題として、王宮と王都、そしてこの戦場に九尾の狐が原因で死んだものはいない。黒き矛で強化されたセツナの感知範囲に死者がいなかったのだから、まず間違いない。戦場には数多の死者がいる。しかし、それら死者は、九尾の狐に蹂躙され、死んだわけではない。それまでの戦闘で死んだものたちであり、九尾の狐の攻撃を受けて死んだものはひとりとしていなかった。あれだけの猛威を振るいながら死者一人でないというのは不思議な気がしたが、シーラの性格を考えれば、当然という気もしないではなかった。

 シーラは、自分のためにだれかが犠牲になることを極端に嫌う。

 その極致が、九尾の狐による行動なのだろう。

 シーラは、セツナに自分への殺意を抱かせたかった。殺す以外の選択肢はないと思わせたかった。そうしなければ、セツナに守られ続けることになる。セツナとラグナが守り続けることになる。それでは、死ねない。だから、暴虐の限りを尽くそうとした。そうすることで、セツナがシーラを殺さざるを得なくするつもりだった。

 しかし、シーラは、それさえも個人的な願いだと判断した。

 個人的な願いに多くの他人を、しかも愛するべきアバード国民を巻き込むことなどできない。それこそ、これまでの自分をすべて否定することになる。自分が命をかけてやってきたことに泥をかけるようなものだ。そんなこと、誇り高いシーラができるはずもない。

 だから、殺せなかった。

 だれひとりとして、殺せなかったのだ。

 倒壊した建造物や瓦礫の下敷きになったひとたちが軽傷で済んだのも、九尾の狐の力が護ったからだ。破壊と守護を同時にやっていた、ということだ。

 あのとき、セツナが九尾の狐だけに意識を向けていたのなら気づかなかったかもしれない。気づかなければ、シーラを殺そうとしたかもしれない。それ以外に選択肢がなければ、そうするほかない。たとえだれかに呪われたとしても、恨まれたとしても、殺したことだろう。そうしなければならないのならば、そうする。だが、殺す必要がないのなら、殺す理由がないのなら、できるだけ殺したくはない。それがセツナの考え方だった。

 これまで、飽きるほど殺してきたのだ。

 シーラがいうように、数えきれないほどの命を奪ってきた。

 だからこそ、救える命は最大限救いたいと想っている。

 偽善なのかもしれない。

 だとしても、構わない。

「それがあったんだよ」

「嘘だ……!」

 シーラが即座に叫んできた。彼女には信じられないことに違いない。それは、わかる。あれだけの巨大獣となって暴れまわったのだ。死者が出ないはずがない。だれだってそう想う。セツナだって、そう思いかけた。シーラが自棄になってすべてを破壊し、殺戮を行ったのではないかとさえ、想ってしまった。実際には、彼女は破壊を行っただけであり、ひとを殺してなどいなかった。少なくとも、九尾の狐が原因で死んだものはいない。

 だから、セツナは、シーラを優しく見つめる。

「嘘じゃない。本当なんだ。シーラ、おまえはだれひとり殺していないんだよ」

「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……!」

「なんで、嘘だと想う?」

「あれだけのことをして、死者がいないわけがない」

「殺した記憶はあるか?」

「え……」

「九尾の狐がおまえ自身だったなら、ひとを踏み潰したことだって覚えているはずだ」

「俺は……」

 シーラは、自分の手を見下ろした。その手にはハートオブビーストが握られているだけだ。ハートオブビーストは、当然、血に染まってなどいない。派手な装飾の施された斧槍にしか見えない。

「殺しちゃいないのさ。だれひとりな。だから、おまえを連れ戻したって、なんの問題もない」

「問題ない? そんなわけないだろ……」

 シーラは首を横に振った。髪を振り乱して、頭を抱えるようにした。そして、こちらを見つめてくる。暗い瞳。虚ろで、なんの感情もなかったはずの目に、なにかしらの感情が宿り始めているように見えた。殺していないという事実が衝撃的すぎたのかもしれない。

「いったじゃないか。もう、疲れたんだ。死にたいんだ……」

 シーラは、確かに疲れきっていた。追いつめられ、苦しみ抜き、失意と絶望のどん底に突き落とされたのだ。疲れもするだろう。嘆きもするだろう。死にたくもなるだろう。そんな精神状態でハートオブビーストの力を解き放ち、暴れ回ったのだ。あれだけの力を動かすのにどれほどの代価が必要なのか、想像もつかない。

 彼女は、自棄になって召喚武装の力を使ったために、余計に精神的に追いつめられてしまっているのだ。

「俺がだれも殺さなかったのだとしても、そんなことは、関係ないんだ。俺は死にたいんだよ」

「それで、俺が来るのを待っていたのか?」

「……うん」

「なんで、俺なんだ?」

「おまえじゃなきゃ、だめだ」

「どうして?」

 セツナは、静かに問うた。彼女の答えを焦る必要はなかった。彼女がみずから納得できる答えを導き出すまで待つつもりだった。もちろん、その答えとは、いまの問いに対する答えではない。この生き死にに関する問題の答えだ。

「……どうしてだろうな」

 シーラが、怪訝な顔をした。それから考えこむようにいってくる。

「改めて考えると、よくわからないな……」

「そうか……ま、そういうこともあるか」

「でも、おまえじゃなきゃ駄目だってことは、わかる。おまえになら殺されてもいい。おまえになら、すべてを預けられる。任せられる……から、さ」

 彼女がおそるおそる紡ぐ言葉を聴き終えてから、セツナは彼女の目を見つめた。

「それなら、俺にすべてを任せろよ」

「任せてるだろ。殺してくれって」

「だからさ、なんでそうなるんだよ。俺は、おまえを殺さないぞ」

「なんでだよ!」

「約束したっていっただろ」

「そんな約束、忘れちまったよ」

 シーラが目を逸らしたのは、本当は忘れてなどいないからなのではないか。

 ふと、そんなことを想う。勝手な思い込みだ。勘違いかもしれない。それでも、セツナは構わなかった。シーラがどう思っていようと、知ったことではないのだ。

「おまえが忘れても、俺が覚えている。俺が覚えている限り、俺が約束を守り続ける限り、有効なんだよ」

「勝手な……!」

「勝手なのはシーラもだろ」

「でも……!」

「死にたいのはわかるさ。なにもかも失ったんだ。死にたくもなるだろう。俺だって、そんなことはあった。でも、俺はいま生きているし、生きていて良かったって思ってる。生きていたから、みんなと逢えたし、シーラとも知り合えたんだ」

「俺とも……」

「死ねば、救われる」

 断言ではないにせよ、告げる。

 シーラの肩が微かに震えた。巻き付いていた髪がわずかに解ける。

「確かにそうだな。少なくとも、いま、心を苦しめている物事から開放される。なにもかも消えてなくなるんだから、そうなる。それを救いと呼ぶのなら、呼べばいい。でも、俺はそんな方法でおまえを救うことなんてできない」

「生きろっていうのか」

「ああ」

「夢も希望もないっていうのに?」

 シーラの問いは、切実だ。夢も希望もない。彼女にとっては、その通りなのだ。だから彼女は死のうとした。すべてを断ち切り、自分の命をも終わらせようとした。王宮に戻り、両親や弟と仲睦まじく暮らすことが彼女の夢であり、希望だったのだ。それは、完全に失われてしまった。

 夢も、希望もない。

 あるのは失意と絶望だけ。

 苦しいだけの人生。

 死にたくなるのもわからなくはない。

 だけれども、セツナは、わざと突き放すようにいった。

「わりいな」

「なんだよ、その言い方」

「生きてりゃいいことあるなんて断言できねえからさ。俺はたまたまこうして楽しい人生を送っていられるけど、だれもがそうとは限らないだろ? もっと辛いことだってあるかもしれない」

「これ以上辛いことなんて、あるのかな」

 シーラが、うめくようにいった。これ以上。王宮への帰還を許されず、派閥争いに巻き込まれた挙句国を捨てざるを得なくなり、さらに国に戻ると数多の思惑に絡め取られて失意の底に落ち、母と父を目の前で失う。それ以上のことなど、そうあるものでは、あるまい。

「そんなことがあったら、それこそ、すぐに死んじゃいそうだ」

「ないのなら、生きてみないか?」

 セツナは、シーラの表情の変化を見つめながら、提案した。

「これより先は、楽しいことばかりかもしれないだろ?」

「だとしても、もう笑えねえよ」

「笑わなくてもいいさ。側に居てくれれば」

 側に居てくれるのなら、それでいい。

 特に理由はないが、それならば、安心できる。少なくとも、見守ることができる。セツナはその程度の意味でいったのだが、彼女はなぜか狼狽えたようだった。

「っ……!?」

「ん?」

「いま、なんていったんだ?」

「笑わなくてもいいって」

「その後だよ!」

「なんかいったか? 俺」

「てめえ! ひとがその気になり始めたら、なんだよそれ!」

 シーラが鼻先を突きつけてくるかのような勢いで怒鳴ってきた。その態度、表情、言葉が、いつものシーラを想起させて、セツナは、笑みを浮かべた。

「ん……その気になってくれたのか」

「い、いや、違う……俺は……帰れない」

 彼女は急にしおらしくなって、セツナから離れようとした。が、セツナは彼女の手首を掴み、引っ張った。

「帰るんだ」

「嫌だよ」

「無理にでも連れて帰る」

「なんでだよ、なんでそこまで……」

「何度もいうさ。約束、しただろう」

「……うん」

「なんでもひとりで背負い込むことはないさ。俺がいる。ううん、俺だけじゃない。ウェリスとか、クロナとか、おまえの部下たちだっているし、ファリアとかさ、《獅子の尾》の皆だっている。ひとりじゃないんだ。だから、なんとかなるさ」

「……うん」

「帰ろう」

 セツナがいうと、シーラは一瞬、びくりとした。それから、おずおずとした様子で聞いてくる。

「いいのかな……?」

「なにが?」

「生きていて、いいのかな」

「いいに決まってんだろ」

 セツナは、即答してみせた。力強く、優しく、言い切る。それは持論だ。セツナ自身の勝手な想いだ。他人には他人の考えがあるだろう。全く別の、相容れない考え方だってあるだろうし、そういう考えがあること自体は否定しない。それは、それだ。セツナは、そう想っているというだけのことなのだ。そして、いまこの場では、セツナの気持ちこそ、考え方こそが重要に違いない。

 だから、言葉を続ける。

「生きていちゃいけない命なんてないさ。少なくとも、俺はそう想うよ」

「……うん」

 シーラは、静かにうなずいた。うなずいて、それから、ゆっくりと顔を上げる。青い瞳。虚ろではない。そこには確かに意思があり、光が宿っている。

「俺、セツナを信じるよ」

「信じてくれていいぜ。こう見えても信頼を裏切らない男だからな」

 セツナが胸を張って告げると、シーラが苦笑を浮かべた。苦笑いではあったものの、久々の笑顔を見ることができて、セツナは心底ほっとした。彼女が苦笑いでも笑った顔を見せるのは、随分久しぶりだった。

 そして、その久しぶりの笑顔が、ただ、嬉しかった。

 白の世界が、揺れ始めた。

 揺れは次第に激しくなっているようだった。止まらない。止める必要がないのだ。シーラが、九つの尾によって創りだした世界を、みずからの意思で崩壊させているというだけのことだ。九つの尾。彼女の白髪と同じ真っ白で綺麗な毛並みが、この広くも狭い世界を作り上げていた。彼女が望み、尾を動かすだけで、壊れていく。

 複雑に絡み合ったはずのものがあっさりと解けてしまうように、簡単に。

 赤く燃える空が見えた。

 九つの尾が作り出していた異空間が完全に崩壊したとき、シーラもまた、九尾の狐から解き放たれていた。狐の耳も、九つの尾も消え、体に巻き付いていた髪も、完全に解けた。

 夕日に染まった空の下、セツナは、シーラを現実に連れ戻すことに成功した。



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