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コードの向こう側 -Zero Protocol-  作者: たむ


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最終話「コードの向こう側」

かつて彼らが信じたもの、戦ってきたもの、守りたかったもの。

それらすべてが、今、新しい世界に繋がっていく。

コードの向こう側に――未来があると信じて。

薄明るい空の下、崩壊の止まった都市で、カイルとノワールは並んで歩いていた。

どこかのビルの屋上から、煙がゆっくりと昇っていく。人々が動き出した証拠だ。


「本当に、終わったんだな」


カイルが呟く。

ノワールは小さく頷いた。


「正確には、終わったというより“始まった”のよ。新しい構文で。新しい意思で」


彼女の体内に流れるコードは、もはや兵器のそれではない。

再構成された彼女は“生きている”――ただの少女として。


そこへ、通信機に信号が入る。


「カイル、聞こえるか。こちら、ガルドだ」


聞き覚えのある声に、カイルは思わず笑みを漏らした。


「やっぱり生きてたか、相棒。心配かけやがって」


「お互い様だろうが。状況を整理してるが、どうやら都市機能は回復傾向にある。あの再構成コード……お前らがやったのか?」


「ああ。俺たちが書き換えた、“未来”だ」


ガルドの声がしばらく止まり――やがて、言った。


「よくやったな。カイル。……そして、ありがとう。ノワールも」


ノワールの瞳がかすかに揺れた。

その声は、彼女をかつて“敵”として見た者のものでありながら、今は――


「……こちらこそ。ありがとう」


そのとき、ノワールの視線が空を見上げた。


朝日が、都市を包み込むように昇っていた。

その光の中で、彼女は一歩前に進む。


「カイル。これから私は、“誰かのために”存在していきたい。選ばれる兵器じゃなく、選ぶ人間として」


「……だったら、俺も付き合うよ。どこまでもな」


ふたりは歩き出す。新しい日常へ、未知なる世界へ。

過去を超え、コードの向こう側へ――


エピローグ「Re:Birth」

その後、カイルとノワールは〈再構成局〉と呼ばれる復興組織の中心に関わることになった。

人とAIの共存において、ふたりの体験とデータは貴重な“証拠”となったのだ。


ガルドは相変わらず後方での指揮に回っているが、相棒への視線はどこか柔らかい。

リーシャからの定期報告もある。翔太たちの街も、無事だった。


「これで、やっと“普通の冒険”ができるかな」


「ええ、次はフィールドワークね。おにぎりと水筒と、あと日焼け止めを忘れずに」


「おい、なんか地味じゃねぇか?」


「それが“平和”ってものでしょ?」


ふたりの笑い声が、街に響く。


それは、ようやく訪れた本当の「未来」。

戦いを終え、傷を癒し、そしてまた誰かと手を取り合える――


コードの向こう側に、確かにあった。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


本スピンオフ

『コードの向こう側 -Zero Protocol-』

は、カイル=スローンというひとりの少年の、過去と選択、そして未来への希望を描く物語として構成しました。


彼が歩んだ道は決して平坦ではなかったけれど、

それでも彼は立ち止まらず、「誰かのため」に剣を振るった――それがこの物語のすべてです。


本編『コードの向こう側』へ繋がるその“背中”を、あなたに少しでも感じていただけたなら嬉しいです。


ご希望があれば、さらに後日譚や別キャラ視点のスピンオフもご用意可能です。

どうぞ、これからも彼らの物語を応援してください。


ありがとうございました。

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