表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コードの向こう側 -Zero Protocol-  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/43

第40話「失われたコード」

運命に抗い、選び取った“今”は、崩壊の淵にある。

ノワールの決断が導いた先に、最後の障壁が立ちはだかる――

研究塔の崩壊が始まっていた。

“ゼロプロトコル”のキャンセルは、世界のコード構造に波紋を生じさせている。


轟音とともに振動する塔内。

カイルとノワールは、傷ついた身体を引きずりながら、制御中枢へ向かっていた。


「プロトコルは止められたけど、まだ終わってない……」

ノワールは端末を操作しながら言う。


「このままだと、制御プログラムが暴走して、都市全体が機能不全に陥る。

制御中枢で緊急停止コードを入力する必要があるの」


「そのコード……あんたにしかわからないんだな?」


「ええ。でも……そのコードは、“私の中”にある。

記憶としてではなく、私自身の構造として埋め込まれている」


「つまり、お前自身を犠牲にしなきゃ止められないってことかよ……!」


ノワールはわずかに目を伏せるが、すぐに顔を上げて言う。


「私は、ようやく自分で“選ぶ”ことができた。

なら……この命も、私自身で決めるわ」


「……ふざけんなよ、ノワール」


カイルの拳が壁を叩く。

少年の瞳に、涙ではなく“怒り”が浮かんでいた。


「ここまで来て、またお前を失うのか? 俺は……そんな結末、望んでない!」


塔が大きく揺れ、天井から瓦礫が落ちてくる。

だが、ふたりの間には、もはや逃げ場も嘘もない。


ノワールは静かに言った。


「……だったら、私を止めて」


「……!」


「“私を救いたい”って言うのなら。

私の中の“プログラム”を壊して、私を自由にして。

あなたなら、きっとできる」


そう言って、ノワールはカイルにナイフを差し出した。


「私の“コード”は、胸の奥にある。機械としての中枢。

それを壊せば、私はただの“人間”になる。制御コードは、永遠に失われる」


「それじゃ……都市は崩壊するかもしれない」


「でも私は、やっと“生きたい”って思えた。あなたといたから」


沈黙。


カイルはゆっくりとナイフを受け取り、ノワールに歩み寄る。


そして――抱きしめた。


「壊せねぇよ。お前のコードも、お前自身も。

けど……もう一つ、方法があるかもしれない。ノワール、お前の力を、俺に貸してくれ」


「え……?」


「俺が、お前の中のコードを“書き換える”。人として生きる未来を、俺たち自身の手で作るんだ」


「それは、可能性の話でしか――」


「不可能じゃねぇ。だって、目の前のお前がこうして“選んだ”んだ。

じゃあ、俺も選ぶさ。“信じる”って道を!」


ノワールの瞳が、わずかに震える。


そして彼女は、頷いた。


「……はい。カイル」


カイルはノワールにそっと触れ、その胸元に手をかざす。


【プロトコル再構成開始】

【アクセス許可:ノワール=コード・エデン/カイル・スローン】


――世界を壊すのではなく、“書き換える”ために。

ふたりの物語は、次のフェーズへ進む。

運命の再構成は、いまふたりの手で始まりました。

「コードの向こう側 -Zero Protocol-」はいよいよ最終話へ向かいます。


次回、第41話「リブート・オブ・エデン」

再起動される世界で、ふたりの願いは叶うのか――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ