表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コードの向こう側 -Zero Protocol-  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/43

第31話「黒き標識(ブラックマーカー)」

カイルとリゼは、消息を絶った冒険者レオ・ウィンスレットの手記を発見し、ギルドの裏に潜む“何か”の存在を確信する。

深層へ進む中、二人は新たな痕跡と、ある「証人」との邂逅を果たす――。

「空気が……重いな」


地下迷宮のさらに深い層――湿った石壁には、見慣れない記号が描かれていた。

黒いインクで塗りつぶされたような、円と直線の組み合わせ。まるで“何か”を封印するような図形だった。


「これ……あの手記にあった“マーカー”と同じものじゃない?」


リゼが手記の挿絵を照らし合わせる。確かに同じ記号が、そこにも記されていた。


「“ブラックマーカー”。ギルド内でも存在を禁じられた印……らしいな」


「つまり、それを使ってる連中が、レオを“消した”可能性があるってことよね」


道を進むたびに、黒い標識が増えていく。

やがて、その奥で――


「……誰か、いる」


カイルが足を止めた先に、フードを被った人物がいた。片腕を失い、もう片方の手には古びた杖を握っている。

目の前に現れたのは、ギルドでも長年行方不明とされていた元・上級冒険者――


「ノア・グラント……!」


その名に、リゼが思わず息を呑んだ。

記録上はすでに“死亡扱い”となっていた人物。だが彼は、確かに生きていた。


「お前たちも、“あのコード”に引かれたか」


声は枯れていたが、瞳には静かな力が宿っていた。


「レオ・ウィンスレットを知っているか?」


カイルが一歩踏み出す。ノアはわずかにうなずいた。


「あの男は真実に近づきすぎた。俺もそうだった」


ノアが杖をつき、壁に描かれた“マーカー”を指さす。


「これを使って情報を“隠す”んだ。地図、記録、記憶――あらゆる“存在証明”が、ギルドの情報網から消される」


「まるで……世界そのものから存在を削除するみたいな……」


リゼの声が震える。


「それを実行できる連中が、ギルドの奥にいる。コード名は、“ゼロ・プロトコル”」


その名前に、カイルの鼓動が強くなった。

かつて、師匠から聞いた“都市の深層で動く影”。表には出ない“粛清の手”。


「やっぱり……ギルドの中に、もうひとつの“組織”があるんだな」


ノアがうなずく。


「俺は、そいつらから逃げてここに潜んでいた。だがもう……」


その言葉にかぶさるように、地響きが鳴った。


「――来たか。連中の“追跡者”だ。お前たち、覚悟しろ」


迷宮の闇の向こうで、甲高い金属音と共に、数体の“無機質な兵士”が姿を現す。


「これが……ゼロ・プロトコルの兵器……!」


カイルは槍を構え、ノアと背中を合わせた。


「逃げ道はない。ここで生き残るぞ!」


黒き印が導く戦場で、再び刃が交錯する――!

今回は、ギルドの“裏”に潜む組織「ゼロ・プロトコル」の名前がついに登場しました。

また、“削除された冒険者”ノアの存在が、レオの運命にも繋がってきます。


次回は 第32話「忘れられた者たちの戦場」。

敵との激戦と、ノアが残した“鍵”――カイルとリゼは運命の境界に踏み込んでいきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ