表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コードの向こう側 -Zero Protocol-  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/43

第30話「特務任務・境界区域コード47」

ギルド中枢から与えられた新たな任務は、未知の領域への扉を開く“鍵”となるものだった。

そしてその地には、過去に“行方不明”となった冒険者の記録が――。

境界区域コード47――それは、公式の地図には存在しない“隠された場所”だった。


「地上では廃坑扱いされてるけど、地下に続く複数の空洞があるらしいわ」


リゼが持ち出した古文書の写しを、カイルが覗き込む。


「この記録……五年前のものか。消えた冒険者の名前は?」


「――“レオ・ウィンスレット”」


「……!」


その名を聞いたとき、カイルの脳裏にひとつの記憶がよぎった。

炎をまとう長剣。屈託のない笑顔。そして、誰よりも正義を信じていた背中。


「彼は、僕が冒険者を目指すきっかけになった人だ」


リゼが少し驚いたように眉を上げる。


「個人的な関係もあったのね」


「……恩人だよ。何があっても見つけ出す」


境界区域コード47――そこは、地層の崩壊によって閉ざされた迷宮のような構造になっていた。


「まるで“地下都市”だな……」


瓦礫と金属片が入り混じった通路を、二人は慎重に進む。


突如、耳障りな金属音と共に、崩れた柱の影から飛び出してきたのは――異形の機械生命体だった。


「こっちも歓迎されてないみたいね!」


リゼの呪弾が光の軌跡を描き、敵の装甲を削り取る。

カイルは敵の間合いに入り込み、スピアを突き刺す――が。


「硬い……! これは、旧世界の兵装か?」


「防御よりも、装置を狙って!」


リゼの指示で、カイルが胸部の制御核を狙う。

鋭く貫かれたコアが爆ぜ、敵はその場に崩れた。


「はぁ……っ。何でこんな旧型がここに……」


「レオが行方不明になった場所だ。偶然じゃない」


そして、奥に進んだ先――そこには、小型のシェルターのような区画があった。


扉は半開きで、内部には生活の痕跡と、手記の束が残されていた。


「……これ、レオの……」


カイルが手に取った紙に、震える文字が刻まれていた。


《……“彼ら”は、僕の脱出を許さなかった。これはギルドの意志じゃない。“裏のコード”が動いている……》


「……“裏のコード”? ギルドの意思じゃないって、どういう……」


リゼの表情が険しくなる。


「内部に、情報を操作している“別の勢力”がいるってこと?」


カイルが、ゆっくりと頷いた。


「そしてそれが、レオの消息を消した」


二人は黙って、手記の最後の一枚に目を通す。


《誰かが読むことを願って書く。この都市に、“真の自由”が戻る日を、信じている》


カイルが拳を握る。


「レオは生きている……。そんな気がする」


「信じるしかないわね。じゃないと、この先に進めない」


迷宮の奥、さらに深く続く道の先に、答えはあるのだろうか。

そして、その先にはどんな“闇”が待っているのか――。

今回は、カイルにとって大きな影響を与えた人物“レオ・ウィンスレット”の痕跡を追う回でした。

ギルドの裏、異形の技術、消された冒険者たち……陰謀の輪郭が少しずつ見え始めます。


次回は 第31話「黒き標識ブラックマーカー」。

コード47の地下迷宮のさらに深部で、二人は“過去からの証人”と出会う――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ