表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コードの向こう側 -Zero Protocol-  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/43

第29話「ギルド評議会の招集」

旧ギルドでの異形との遭遇は、カイルたちの世界をまた一歩、深く鋭く切り裂いた。

その余波は、ギルド中枢部――“評議会”にまで届き、静かに新たな局面を迎えようとしていた。

「……君たちは、旧ギルドの封鎖を無断で解除した」


ギルド本部の中でも、もっとも格式と緊張感のある円卓の間。

石造りの空間には、7人の評議員と、報告に呼び出されたカイルとリゼの姿があった。


「無断というより、必要な判断でした」


カイルは静かに返す。


「旧区画に異形が潜んでいた事実は、今後の都市防衛にも関わります」


「確かに、旧ギルド兵の起動は深刻な事態だ……だが」


一人の評議員が目を細める。


「問題は、それを“破壊”してしまったことだ」


リゼが一歩踏み出す。


「彼は明らかに暴走していました。放っておけば都市に被害が出ていたはずです」


沈黙が流れる。


そして――中央の議長席に座る初老の男、カイン・アーセナルが口を開いた。


「カイル・スローン。リゼ・フェルナンド。君たちの行動は、結果的に正しかった」


「議長……!」


「だが、それでも君たちは“境界線”を越えた」


カイルが、眉を寄せる。


「境界線、とは……?」


「ギルドの“表”と“裏”だ。すべての冒険者に明かされるわけではない、暗部の存在」


カイルとリゼが息をのむ。


「異形コード88――彼は、かつてのSランク冒険者であり、“実験体”でもあった」


「……!」


「ギルドの中には、“進化”を強制しようとした連中がいた。君たちは、その爪痕を踏んだ」


議長がゆっくりと立ち上がる。


「だからこそ……君たちには、選んでもらう」


「選ぶ……?」


「真実を知る覚悟があるかどうか。そして、ギルドの“外”と“裏”の任務に関わる覚悟があるか――だ」


その言葉に、カイルの眼が鋭く光る。


「……もちろんです。僕はもう、見てしまった」


リゼも力強く頷く。


「私も。逃げない。全部を知って、ちゃんと戦う」


議長はわずかに頷くと、手元の印章を押し、彼らのギルドIDに上位認証を追加した。


「君たちのランクは……“コード・アクセス認証者”に引き上げられる。以後、機密区域への立ち入りを許可する」


「……! それって……!」


「そうだ。君たちはもう、“ただの冒険者”ではない」


ギルドの深層に蠢く影と向き合うことになるカイルとリゼ。

物語は、さらに核心へ――。

ギルドの“裏側”が少しずつ姿を現し始めた第29話。

今回から、表の冒険だけでなく、組織の腐敗や過去の罪など、重厚なテーマも描かれていきます。


次回は 第30話「特務任務・境界区域コード47」。

カイルとリゼに与えられた新たな任務は、かつて失われた“もう一人の冒険者”を探すこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ