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コードの向こう側 -Zero Protocol-  作者: たむ


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第28話「旧ギルドと“異形”の記憶」

封印された旧ギルド――

そこには、かつての冒険者たちの痕跡と、今も息を潜める“異形”がいた。

カイルとリゼが足を踏み入れた先に待つのは、記録から消された戦いの記憶と、新たな決断だった。

旧ギルドの空間は、まるで時が凍ったままだった。


壁には古びた依頼掲示板があり、風化した紙がいくつかまだ残っていた。

ランプの光に照らされた部屋の隅には、割れたカップと、半壊した武器棚。

何もかもが、まるで昨日まで誰かがそこにいたかのようだった。


「……ここの空気、重い。何か、いる」


リゼが警戒するように周囲を見回す。

その時だった。


「――“侵入者、確認。プロトコル:迎撃”」


耳元で、人工音声のような声が響く。


振り返ると、空間の奥――ひときわ大きな扉が開き、そこから人の形をした異形の影が現れた。


頭部には仮面のような装置、胴体は金属と生体組織が混ざり合い、手には魔力の火花が散っている。


「それ……人間じゃない」


「いや、かつて“人間だった”んだろう」


異形の声は、無機質ながらもどこか苦しげだった。


「我は、ギルド・コードナンバー88。旧区画警備任務、継続中。全ての対象を、抹消する」


「抹消って、僕たちをか!?」


カイルが即座に剣を抜く。その瞬間、コードナンバー88――“旧ギルド兵”は信じられない速度で飛びかかってきた!


「速い!」


カイルは紙一重で斬撃を避けるが、空気が爆ぜる。

リゼが魔法陣を展開、「雷よ、しばしの封印を――雷環らいかん!」


放たれた雷撃が異形の動きを一瞬止める。


「今だ、カイル!」


「――破斬スプリットクロス!」


剣が閃き、コード88の仮面を砕く。

火花が散り、異形の体が膝をつく。


「記録、更新……抹消対象、分類変更……危険……だが……可能性……」


そこまで言い残し、異形は動かなくなった。


静けさが戻る。


「……彼も、冒険者だったのかな」


「“抹消対象”って……私たちを守るために戦ってたってこと?」


カイルは、異形の体から落ちた古びたバッジを拾い上げる。


それは、“ギルドメンバー証”。名前は、薄れて読めなかった。


「記録から消された英雄たち……でも、僕たちは覚えていよう」


「うん。私たちが受け継ぐんだ、ここで戦った人たちの想いを」


そうして2人は、旧ギルドを後にした。


だが、誰も知らない。


コード88の“記録”は、どこかに転送され、別の存在が起動を始めていることを――。

消された過去と向き合う回でした。

カイルたちはただ強くなるだけでなく、歴史や想いも引き継いで成長していきます。


次回、第29話「ギルド評議会の招集」

旧ギルドへの侵入と異形との戦闘を受けて、ついにギルド上層部が動き出します。

そして“新たな敵”の気配も……!

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