第24話「分かれ道と約束」
戦いを終えた少年たちは、それぞれの道を選ぶ時を迎える。
今回は、カイルとガルドの"別れ"、そして"旅立ち"の物語です。
「……それで、どうするんだ?」
盗賊団の討伐任務が終わり、報告を済ませた翌朝。
宿の朝焼けのなかで、ガルドは問いかけた。
カイルは、まだ布団に寝転がりながら天井を見ている。
「俺……旅に出ようと思う」
「旅、か」
「ガルドに教わったこと、もっと試したいんだ。色んな場所で、色んな奴らと戦って、学んで――」
カイルは上体を起こすと、少し笑った。
「その先で、またお前に胸張って会えるように、強くなりたい」
ガルドはしばらく黙っていたが、やがて笑って、立ち上がった。
「上等だ。お前がそう言うなら止めねえ。むしろ俺のほうこそ――先に抜かれねえようにしねぇといかんな」
「……! ありがとう」
二人は握手を交わす。その手には、火のような熱が宿っていた。
***
その日の昼下がり。
街を出る直前、ガルドが不意に言った。
「そういや、お前にひとつだけ“冒険者”としての心得を教えてなかった」
「え? 何?」
「どんなときでも、“背中を預けられる相棒”を見つけろ。力だけじゃ生き残れねえ。信じられる仲間がいるかどうか、それが生死を分ける」
カイルは静かに頷いた。
「わかった。……それ、お前でよかったなって、ちょっと思ってる」
「……素直すぎてムズムズすんだよ、お前は」
「ははっ!」
道の先で風が吹く。旅人の背を押すように、穏やかに、優しく。
***
カイルは一人、歩き出した。
背中には軽い荷物、胸には重い決意。
歩き出す先に何があるのかは、まだわからない。
けれど、確かなことが一つだけある。
「俺は……俺の力で、生きていく」
それは、少年が"冒険者"として歩み始めた最初の一歩だった。
ガルドとの修行の日々を終え、カイルは一人前の冒険者として旅立ちます。
二人の別れは寂しくもありますが、新たな章への幕開けです。
次回からはカイル一人での冒険、そして思わぬ出会いが待っています。
いよいよ、真の「冒険者編」のスタートです!




