第21話:「新たなる盟友、ガルドとの出会い」
戦いの余波は、予期せぬ出会いを呼び寄せる。
今回は、後の相棒となる大男・ガルドとの“最悪で最高な出会い”の始まりです。
森の奥で、レムルとの戦いを終えたカイルは、倒れ込むように膝をついていた。
呼吸は荒く、腕は重い。だが勝った。
「ふぅ……さすがに、やりすぎたな……」
そのとき、突然――
「おい、子ども。死んでんのか?」
野太くて、妙に親しげな声が上から降ってきた。
見上げると、陽光を背にして立っていたのは、大きな男。
銀髪を後ろで束ね、斧を背負い、笑いジワの深い顔をしている。
「……誰だ、お前」
「通りすがりの優しいオッサンだ」
そう言って男は、カイルの腕を引っ張り、無理やり立たせた。
***
焚き火の前で肉を焼きながら、男は名乗った。
「ガルド。元・冒険者ランクB。今は気ままな自由人ってとこかな」
「……おっさんにしちゃ、強そうだな」
「おっさんにしちゃ、は余計だ」
そう言ってガルドは笑った。だがその笑いの奥には、どこか鋭い眼光があった。
「お前、フェザーの連中に狙われるようなガキじゃないな」
「そう見えるか?」
「あぁ。お前の斬り方、甘さがねぇ。殺すことを覚えてる目だ」
カイルは黙った。
数秒の沈黙の後、ガルドがぽつりと漏らす。
「ま、俺も似たようなもんだった。……昔な」
***
翌朝、ガルドは言った。
「おいカイル。俺と来るか?」
「は?」
「修行だよ。お前の体力も戦い方も、中途半端だ。斬るだけじゃダメだ、守ることを覚えろ」
「……なんでそこまで?」
「面白いと思っただけだ。理由なんか要るか?」
カイルは少し迷って、うなずいた。
「……じゃあ、よろしくな。ガルドさん」
「“さん”はやめろ、照れる」
ガルドが照れ笑いするのを見て、カイルも思わず苦笑する。
こうして、運命の二人は出会った。
少年と元・冒険者。交わった道は、やがて戦場をともに駆ける未来へとつながっていく――。
今回は、後に翔太たちとも絆を築く「ガルド」との出会いを描きました。
カイルの“孤独な成長譚”は、ここから少しずつ“誰かと歩む道”へと変わっていきます。
次回、第22話「修行のはじまり、筋肉痛との戦い」では、笑いあり涙あり(ほぼ筋肉痛)の修行回をお届けします。お楽しみに!




