第18話:「揺れる信頼、そして再び」
“仲間”であることは、常に理解し合えることではない。
カイル、レナ、アレック──成長の中で芽生えるすれ違いと不安。
それでも、彼らはひとつのチームだった。
今回は、そんな揺れる絆を描きます。
「最近、カイル、ちょっと無理してない?」
レナの一言に、カイルは返す言葉を詰まらせた。
あの夜、ガルドから剣を託されたときから──
彼は変わろうとしていた。いや、変わらなければいけないと思っていた。
「別に……いつも通りだよ」
言い訳が、口から漏れた。
「そういうとこだよ」
レナの声には、怒りと寂しさが混じっていた。
そばにいるはずなのに、何かが離れていく──そんな違和感。
***
ギルドで受けた依頼は、盗賊団の監視。
比較的軽い任務だったが、カイルは独断で行動を進めようとした。
「ここで待ってる時間がもったいない。今のうちに接近して構造を──」
「カイル、それ勝手な判断すぎる!」
アレックが珍しく声を荒げた。
「俺たちはチームだろ? なんで相談しない」
「……悪かった」
ようやく絞り出したその言葉に、アレックはため息をついた。
「焦るのはわかる。けど、お前ひとりで全部やるなよ」
レナも小さく頷いた。
「もっと頼ってよ。わたしたち、仲間でしょ?」
その言葉に、カイルは心の底から救われたような気がした。
***
夜。任務が終わり、三人で宿へと戻る道すがら。
「……ごめん、二人とも。俺、ガルドさんから剣をもらって、変に力入ってた」
そう打ち明けると、レナがくすっと笑った。
「もう、素直じゃないなー。最初から言えばよかったのに」
「そういうとこだよな、お前の悪いクセ」
アレックも笑っている。
その笑顔に、カイルもまた自然と笑えた。
「ありがとう。俺、もっと強くなりたい。けど……ひとりじゃないって、忘れないようにする」
「忘れたらまたぶつよー」
「……マジで痛いからな、あれ」
肩を叩き合いながら歩く三人の背中には、確かに“チーム”の色が宿っていた。
今回はチームとしての小さな危機と、それを乗り越える絆の回でした。
強くなりたいと願うカイルと、それを支える仲間たち。
こうした衝突も、信頼を深めていく過程のひとつです。
次回、第19話「雨の森と、少年の祈り」では、やや感情に踏み込んだ任務が登場します。
過去と今、そして選択──再び試される“信念”を、ぜひお楽しみに。




