表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コードの向こう側 -Zero Protocol-  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/43

第18話:「揺れる信頼、そして再び」

“仲間”であることは、常に理解し合えることではない。

カイル、レナ、アレック──成長の中で芽生えるすれ違いと不安。

それでも、彼らはひとつのチームだった。

今回は、そんな揺れる絆を描きます。

「最近、カイル、ちょっと無理してない?」


レナの一言に、カイルは返す言葉を詰まらせた。


あの夜、ガルドから剣を託されたときから──

彼は変わろうとしていた。いや、変わらなければいけないと思っていた。


「別に……いつも通りだよ」


言い訳が、口から漏れた。


「そういうとこだよ」


レナの声には、怒りと寂しさが混じっていた。

そばにいるはずなのに、何かが離れていく──そんな違和感。


 


***


 


ギルドで受けた依頼は、盗賊団の監視。

比較的軽い任務だったが、カイルは独断で行動を進めようとした。


「ここで待ってる時間がもったいない。今のうちに接近して構造を──」


「カイル、それ勝手な判断すぎる!」


アレックが珍しく声を荒げた。


「俺たちはチームだろ? なんで相談しない」


「……悪かった」


ようやく絞り出したその言葉に、アレックはため息をついた。


「焦るのはわかる。けど、お前ひとりで全部やるなよ」


レナも小さく頷いた。


「もっと頼ってよ。わたしたち、仲間でしょ?」


その言葉に、カイルは心の底から救われたような気がした。


 


***


 


夜。任務が終わり、三人で宿へと戻る道すがら。


「……ごめん、二人とも。俺、ガルドさんから剣をもらって、変に力入ってた」


そう打ち明けると、レナがくすっと笑った。


「もう、素直じゃないなー。最初から言えばよかったのに」


「そういうとこだよな、お前の悪いクセ」


アレックも笑っている。


その笑顔に、カイルもまた自然と笑えた。


「ありがとう。俺、もっと強くなりたい。けど……ひとりじゃないって、忘れないようにする」


「忘れたらまたぶつよー」


「……マジで痛いからな、あれ」


肩を叩き合いながら歩く三人の背中には、確かに“チーム”の色が宿っていた。

今回はチームとしての小さな危機と、それを乗り越える絆の回でした。

強くなりたいと願うカイルと、それを支える仲間たち。

こうした衝突も、信頼を深めていく過程のひとつです。


次回、第19話「雨の森と、少年の祈り」では、やや感情に踏み込んだ任務が登場します。

過去と今、そして選択──再び試される“信念”を、ぜひお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ