雨降る3
俺は相変わらず雑魚寝でテレビを見ていた。
ただ気になる事が二つ。
猫パンツに殴られたお腹が痛い。
多分裁判で訴えたら勝てる気がする。
今度法律の勉強して弁護人雇お。
そしてもう一つは山口から返信がない事。
先ほどからチラチラと机の上に置いてあるスマホを見ているが。
特にバイブする様子もない。
「あんた全然反省してないわね!」
こっちの方はバイブしてるね。
と言うかイライラしてて迷惑ですね。
「してますよ」
「そんな絨毯の上で寝っ転がってる奴が反省してる訳ないじゃない!いっつもテレビばっか見て!もっと他の事にも関心持ちなさいよ!」
なんでこの子は常にイライラしているのか疑問なんだが……。
なんなの?生理?
俺はチラッと小鳥遊の方を見ると険しい表情で俺を見ていた。
今こんな台詞を吐こうものならこのまま窓から投げられる自信があるね。
大丈夫?生理?うぉりゃぁ!!みたいな。
まるで四コマ漫画みたいな展開だね。
小鳥遊は近くにあるソファーに座ると白くて長い足を俺に当ててきた。
ペチペチと当ててくる。
猫さんのいつものかまちょが出ました。
もちろん俺は無視してテレビを見る。
そんな様子に腹を立てたのか頭やお尻にも足を当ててくる。
すごい鬱陶しい。
「ねー、あんたってさ好きな子とかいないの?」
はいはい、いつもの暇さえあれば恋バナが出ました。
「いないよ」
「何よそれ……つまんない」
「んーつまんないのは分かったからそろそろ足退けてもらっても?」
「無理……一生このまま置いとく」
じゃあマジで置いとけよと言いたいけど我慢。
俺は我慢ができる人間だからね。
こんな猫パンツ履いたお子様とは違うのだ。
ただ良い加減折れて欲しい所ではあるのだがいよいよ邪魔なので雑魚寝の姿勢を諦める。
ちなみにこれは隣に座りなさいと言う意味だ。
最近よく分かってきた。
やっぱ人間叱られたり怒鳴られたりした方が学習する生き物なんだとよく思い知らされたね。
ソファーに座るとその弾力感フィット感に感動する。
流石に教室にある俺の相棒には負けるがこちらもかなり楽な姿勢になれる。
小鳥遊は三角座りをして口元を隠す。
ピンクのパジャマを着ていて上は白のモコモコが付いてて下はショートパンツ。
ショートパンツって言ってもかなり短いので常に太ももは晒されていて三角座りした日にはもう下着とか余裕で見える。
ただバレないように覗かないと俺の視力がゼロにされかねない。
今の所持ポイントと一緒だね。
「なにニヤニヤしてるのよ?」
「してない」
そう言うと深いため息を吐く。
「確かに表情には出てないけど何となく分かるのよ……」
そう言って白いモコモコの部分を指先で触ってる。
あれって意外と気持ちよさそうだよね。
「触りたいの?」
「いや別に」
「うそ、触りたいくせに」
なんかこの子おとなしくない?
いつもならギャーギャー言うくせに。
流石にこの至近距離だと五月蝿いってのが分かってるのかな?
「ほら、これ触って良いわよ」
そう言って上の方についてる紐で繋がれた丸いモコモコを渡してくる。
よくサンタコスとかの服に付いてるよね。
まぁ渡されたのでとりあえず触っとく。
普通に感触は良かった。
「……よく見るとあんた結構可愛い顔してるのね……な、何よその顔!やっぱ今のなし!ムカつく顔してる!」
こいつは本当にどうしたのだろう。
雨以外の何かに打たれたのかな?
雷とか。
別人を疑ったけど猫パンツ履いてたし多分本人なんだろうけどね。
すると柚木がリビングの扉を開けて入ってくる。
「お風呂上がったわよ〜……って山口さんまだ帰ってきてないの?流石に遅くない?」
確かにもう俺が帰ってきてから一時間以上は経ってる。
「俺ちょっと見てくる」
「あ、ちょっと!結構降ってるわよ!」
俺はスマホをポケットに入れリビングを出る。
「気をつけてね、この後雷降るみたいだから」
雷が降ってくるならそれはもう気をつけても意味がない気がする。
二人とも気持ち程度声が低めな気がした。
 




