雨降るその2
「ちょっと!新庄が手伝ってくれないから濡れちゃったじゃない!見なさいよこれ!」
そう言われて玄関の方を見ると制服がびしょ濡れになった小鳥遊の姿が。
胸元が透けてていい感じだったので親指を立てておいた。
「……あんた馬鹿にしてるの?」
鋭い眼光で睨まれたので首を横にブンブン振った。
「お風呂沸かしてあるから入りなよ」
「それはあんたが入りたくて沸かしただけでしょ!何ウチのためにやりましたみたいな感じで言ってんのよ!後で覚えておきなさいよね!」
そう騒ぎお風呂場へ向かっていった。
五月蝿いのが居なくなったので俺は雑魚寝でテレビを眺める。
相変わらず雨は強くかなり強めに窓に当たっていた。
俺はなんとか本降りに入る前には家に着いて先にお風呂を沸かした。
多少だが濡れたままで居るのも嫌だし風呂くらい沸かしとけってどっかの猫パンツも五月蝿いだろうしね。
ま……沸かしても文句言われたんだけど。
そしてちょうどお風呂から出てきた所を襲撃された。
俺はグラスに牛乳を入れてグビっと飲む。
コクのある牛乳が喉越し最高だ。
俺はグラスをシンクに置いて再び雑魚寝でテレビを見る。
何やらドタドタ音が聞こえる。
「ちょっと!石鹸ないじゃない!補充しといてよ!この馬鹿!」
空の箱を俺に当ててきた。
そちらを向くとタオル一枚で走り去っていく小鳥遊の姿が。
……雨もそんなに悪くないかも。
ーーーー
その10分後くらいに柚木が濡れて帰ってきたのでとりあえずタオルだけは渡しておいた。
「もう最悪なんだけどぉ〜下着まで濡れちゃった〜」
そう言ってワイシャツのボタンを数ヶ所だけ開け隙間からタオルで拭き取る。
ふむふむ……やっぱ雨悪くないかも。
「この後結構強くなるらしいよ、山口さん大丈夫かな?」
一応連絡はしておいたのだが……。
俺はリビングに置いてある自分のスマホの電源を入れる。
メールの既読はついてない。
テレビからこの後雷雨になる可能性があるとも報道されている。
「あ、柚木さんおかえり」
「……ただいま、雨超強くなってきたからこんなにびしょびしょだよ〜」
タオルで全身を拭き取りながら言う。
「新庄!あんた柚木さんの濡れた服洗濯カゴに入れなさい!あと石鹸の予備もうないから買ってきて!」
無茶言わないで欲しいね。
これから雷雨になると言うのに。
ただでさえちょっとの雨でも濡れたら気分が落ちるのにこんな多めの中で外に行ったら気力無くなっちゃうよ。
頭の中で文句言いながら柚木から濡れた服を受け取る。
「あんた!柚木さんの下着姿見過ぎだから!」
「いや、もう見慣れてる」
最後に靴下を一番上に置く。
「確かにもう晶くんの前で下着姿見られてもなんとも思わなくなったかもね〜初めの方は結構恥ずかしかったけどもう付き合いも長いし」
「いや……あんたたちどんだけ気を許しあってるのよ……」
顔を引き攣らせる小鳥遊。
「いやいや、小鳥遊の猫パンツももう見飽きたぁぁ!!」
俺は洗濯物を放り投げ自分のお腹を抑える。
痛い痛すぎる。
「おい!ウチの前で次猫パンツって言ったらマジでこのレベルじゃ済まさないからな!分かった!?分かったの!?」
俺は中腰姿勢から小鳥遊の仁王立ちを見上げると。
猫さんがこんにちはってしてた。
「やっぱ猫パンツじゃん」
「じゃあ私はお風呂入ってくるから」
俺を見捨てるように風呂場へ向かう柚木。
そして両手をポキポキと鳴らす小鳥遊。
そして颯爽と逃げようとしてあっさり肩を掴まれる俺。
普通に殴られた。
 




