番外編 雨降る
最近どうもよく雨が降る。
ジメジメとした空気。
この独特な匂い。
僅かに濡れている靴下。
俺は雨が苦手なんだよね。
なんと言うか雨そのものが嫌いなんじゃなくて傘さしてるのに靴の隙間から侵入してきて靴下が濡れたり鞄の先端が濡れたりみたいな。
そう言ったのが苦手。
ちなみに今も雨降りそうでさっさと帰りたいところなんだけど。
「新庄!今日のゴミ捨て手伝いなさいよ!」
厄介なのに絡まれた。
どうやら本来当番であるモブ男君が今日は休みらしく一人で運ぶにはゴミ捨て場まで二周しなきゃいけないらしい。
でもそんな事俺にとっては知った事ではない。
けどそれは向こうにとっても知ったことではないらしい。
俺は顔を近づけてくる小鳥遊を見向きもせず窓の外を眺めた。
いつもより暗い雲。
校舎の明かりがついてると言う事はこちらより外の方が暗いという事だ。
「と言う訳で俺は先に帰るから無理」
「何が!と言う訳よ!言わなきゃなんも分かんないわよ!ウチは山口さんじゃないんだから新庄の考えてる事なんてちょっとくらいしか分かんない!」
ほう……少しは俺の気持ちを理解してくれていると。
嬉しいねぇ〜。
「ちなみに今何考えてると思う?」
「う〜ん、カレーが食べたいとか!……いや!待って!今のなし!……う〜ん、シチュー!シチューでしょ!?当たりよね!?ウチ以外と人の心が読めるのよね!」
腰に手を当てドヤ顔を見せる小鳥遊さん。
大外れです、大体カレーもシチューも貴方が食べたいだけでしょ?
と言うか俺が窓の外を眺めているの見てたんだから普通分かるでしょ。
まぁ分からないからバカで猫パンツなんだろうけどぉぉ!!
みぞおちに激痛が……。
「な、なんで?」
「あんたの考えてる事なんてお見通しなんだからね!今失礼な事考えてたでしょ!?キモすぎ!と言うかゴミ捨て手伝なさいよぉ!」
確かによく理解してるみたいだね。
理解してるならこの後の展開は分かるはず。
「小鳥遊……実は言いたい事があるんだけど」
「な、なによ!……そんな急に改まって……ここ教室なのよ?」
この猫パンツが何を勘違いしているか分からないが都合がいいね。
「ふん!そんなウチに言いたい事があるならもっと場所とかムードとか選びなさいよね!大体あんたはーー」
顔を赤くしてそっぽを向いているので俺はそのまま帰った。
まさか俺が告白するとか思ったなんてことはないよね?
いつも頭の中お花畑だからあり得そうで怖いけど。
何やら叫び声が聞こえたので俺は脇目も振らず全力ダッシュしてやった。




