第六十七話
俺は山口に夕飯いらないとメールを送り大谷とキッチンに立つ。
凄いポケットからバイブするのでチラッとメールを確認する。
[なんでもっと早く言わないんですか!]
[もう作っちゃいました!]
[明日から自分でご飯用意してください]
最後にプンプンと言うスタンプが送られてきてた。
帰ったらちゃんと謝ろう。
俺はそっとポケットにスマホをしまう。
なんだろう……今は何も考えたくない。
しばらく無言が続いた。
黙ってると帰った時怒られるイメージを永遠としてしまうので何か話題を振ろう。
まぁ色々あったし今日の事でいいか。
「全部裏で仕組んでたって訳か……すごいね」
「そうだね、こうなることも全部僕の予定通りだね東くんの件もたまたま聞いて北さんとのデュエルは事前に考えていた」
だからあらかじめクラッカーを買い占めていたのか。
北さんとのデュエルの時もし俺に内容を決めて欲しいと振られた時に今回のように売れ筋商品を当てると言う内容にして欲しいと頼まれていた。
まさか本当にこうなるとは……。
偶然にしても酷すぎます……。
もう一個カン!
流石に伝わらないネタだよね。
怒られるのが嫌すぎるせいか頭の中がカオスになってるかも。
「と言うかなんでクラッカーなんだ?相手が絶対に選ばなさそうだったからとか?」
「いや、クラッカーはすでに売れていたんだ……そもそも僕が買い占めていたら100万ポイントなんて用意できないしね」
確かに。
食器をカチャカチャと鳴らして棚から取り出す。
「あの状態の小鳥遊さんをよく戻せたね、正直言って帰っちゃうんじゃないかと心配してたけど新庄くんはちゃんと連れてきてくれたね」
それは少し違うね。
「いや、俺は何もしてないよ選んだのは小鳥遊自身だし……なんなら俺が逃げるって選択肢を手助けしたくらいだし」
あの時の俺が小鳥遊から見てどう映ったのかはわからない。
一人では帰りづらい時に一緒に帰ってくれるいい人に見えたんだろうか。
それともこんな時に話しかけてこないで欲しいと思っただろうか。
それは本人にしか分からないね。
「そうなんだ、でも新庄くんのおかげで全部上手く行きそうだよ、ありがとう。今からよかったら全部話そうか?僕がどうして北さんを地下送りにしたのか、なんでクラッカーを買い占めている事を知っていたのか、どうやって北さんとデュエルするよう持ち込んだのか……そしてこれから学園で何が起こるのか、君になら全部話してもいい」
大谷の顔つきが変わる。
おい、ふざけるな。
そんなの聞いたら俺はモブキャラに戻れなくなるだろ。
と言うかなんで大谷はこんなに関わってくるのか理解出来ない。
もしかして入学初日の時に言っていたあの事と関係があるのだろうか?
まぁどのみち聞かないんだけどね。
興味はあるけど。
「いや、いいや……てか聞きたくない」
俺がそう言うと笑い始める。
手に持っていた食器をテーブルに置きながら。
どうしたのこの人?壊れた?
笑い泣きしたのか涙を拭っていた。
「うん!新庄くんはめんどくさい事に絡まれたくないんだったね!そのスタイル嫌いじゃないよ……けど君は必ず巻き込まれる、必ずね」
最後の方は声が本気だった。
「ちょ、本当にやめてほしい、既にお腹いっぱいだからもうこれ以上の展開は要らないって」
「そっか、うん、分かった」
この人は本当に分かってるのだろうか。
けど一つだけ気になってる事がある。
これに関しては別にたいした事じゃないから聞いても問題ないと思うし。
いい話題も思いつかないし。
黙ってると嫌な事考えちゃうし。
でもしばらく口聞いてくれないだろうなぁ〜。
料理に関しては山口厳しいし。
お残しは絶対に許してくれないし。
「ちなみに北さんとのデュエルはどう焚き付けたの?」
「うん?それはちょうどあのあと、また猫の話に戻ったんだよ、敦がまた家に戻ってきた猫を捨てたって話したところに東くんがいなければ猫は長生き出来たのにって言ったらすごい怒ってたよ」
なるほど?つまり北さんもそのチンピラの正体が東だって事を知ってたのかな?
まぁ詳しくは分からないけどおそらく東と仲のいい北さんはその話をされてこれは敦と小鳥遊の事だと気づいた。
相談的な感じでしたのか昔話みたいな感じでしたのかは分からないけど。
そして頭と察しのいい北さんは全てを理解したと。
けど真相は言わなかった。
多分ふ〜ん、そんな事があったんだみたいな感じで流したんだと思う。
そして真相を何故か知っていた大谷がそれを焚き付けたと。
これで解釈合ってるかな?
けどこの大谷に答え合わせするのも嫌だし謎のままでいいや。
実際は違うかもね。
とりあえずさっさとご飯食べて家に帰りたい。




