第五十三話
なんだかんだでその当日の日になった。
小鳥遊に言われた通り大谷は連れてきたが……。
訳あって北さんを呼びました。
「ちょっと!なんで真奈美がここにいるのよ!?……新庄!あんたの仕業ね!」
俺を引っ張り北さんと大谷が聞こえない位置まで連れてかれ文句を言う小鳥遊。
ふふっ、計画通り小鳥遊が嫌がってる姿を見れた時点で俺は大満足だ、痛いからほっぺつねるのやめてね。
「あら?大谷くんもいたのね?新庄くんったら説明が大雑把すぎてよく話を理解していなかったわ」
そんな事はない気もするがとりあえず適当に誘っただけだし柚木のアドバイス通りに動いただけだ。
ちなみにこの服装も柚木先生チョイス。
自分でもなかなかいい感じになっていると思ってる。
白Tシャツにグレーのカーディガンを羽織って下は黒のスキニーの超シンプルコーデだ。
まさにどこにでもいるモブって感じがして俺的にポイント高い。
そして何より他のメンツ達のオシャレといったらそれはもう半端ないね。
大谷とかファッション誌に載ってたよね?ってレベルだし北さんと小鳥遊はもともとオシャレだったから想像通りの今風ファッションだ。
これなら俺が目立つ事なく存在感も薄い。
本当はもっと安物で良かったんだけどそこは何か譲れないものがあるらしく柚木に怒られてしまった。
やっぱ身だしなみって大事なんだね。
「よろしくね北さん、それから小鳥遊さんも、この後はどうする?映画館に行って何か面白そうなの見る?それともカラオケとか?」
さすが大谷、会話を回すのが上手い。
テンポよく会話を進めて相手にストレスを与えない。
多分俺だったらどうする?帰る?って言って小鳥遊に殴られるとこまで見える。
「ちょっと私はカラオケに嫌な思い出が……行くならカラオケ以外にしてちょうだい」
そう言って耳を抑える北さん。
一体何があったのだろう。
「それならウチ気になってる映画あるんだよね!今CMとかでもやってるやつなんだけど……どうかな?」
「うん、いいよ、とりあえずショッピングモール内に映画館もあるしそっちに向かおうか」
そう言って三人は歩き始めた。
あれ?俺ついてからまだ一度も会話してなくない?
てことはそのうち抜け出してもバレないんじゃ……。
あ、でも大谷との約束があったんだっけ。
まぁ約束と言うか無理やり聞かされただけだけど……それなら抜けてもいいのでは?
大丈夫かなぁ〜まぁ小鳥遊のあの驚いた顔も見れたし今日の目標は達成したけど。
3対1で歩く現状を見て思う。
一応俺もあのメンバーの一人なんだよね?
側から見たら明らかに別のグループか後を追っかけてるストーカーとかに思われそうで怖いんですが。
俺が欠伸をして頭の後ろで腕を組むと小鳥遊が俺の方を向いて睨みつけてきた。
あ〜これ後で大谷のいないところで文句言われるやつですね。
今日は大谷から極力離れないようにしよ。
 




