第五十二話
「と言う訳で俺は小鳥遊に嫌がらせがしたくて仕方がない」
俺は散々小鳥遊に振り回されてなんとか復讐してやろうと山口と柚木に相談していた。
山口はキッチンで料理しているのであまり返事はしてくれないが、柚木は俺の正面に座って真面目に聞いてくれている。
今もうんうんと頷き顎に手を当てている。
「なるほど、それって私が思うに晶くんが連れてくる女性なんてどうせ大した事ないから私の方が引き立つでしょって考えしてるわね、私を連れて行けば確実に小鳥遊さんを地獄に落とせるわ」
そう言って親指を立てる柚木は頼もしいけど恐ろしい。
やっぱ女の子って怖いね。
話した事もない相手を平気で地獄に落とそうとするからね。
「な、なるほど……具体的には?」
俺が質問すると柚木はニヤリと笑う。
「それはね、私みたいな完璧美少女がそこに居るだけで小鳥遊さんの自信を無くせるのよ!性格も良くてスタイルもいい!きっと大谷くんも私狙いになるわね!けど残念、私には晶くんがいるから……」
いや、照れるなら初めから言わなけりゃいいのに……チラチラ見るのやめてね。
俺も聞いてて恥ずかしいし。
「ちなみにそれっていつ行くんですか?」
山口がテーブルに食事を並べながら聞いてくる。
いつって言ってたっけなぁ〜全く覚えがない。
痛みで全部記憶が飛んだのかな?それとも小鳥遊へのストレスで記憶の大半がどう復讐してやろうかで埋まったのかも?
俺が唸っていると山口が小皿を持ってこちらに近づいてくる。
「これさっき言ってたポテサラです」
そこには数種類の野菜とじゃがいも、そして明太子が混ぜられた美味しそうなポテサラが小皿に乗っていた。
それじゃあ味見という事で。
口に入れた瞬間ほろほろと崩れていくジャガイモ。
ほぐされたジャガイモに明太子の粒のプチプチ感が数種類の野菜と共に食感を楽しませてくれる。
このイモって感じがどうしても飽きさせてしまうところを明太子のピリ辛さがかき消してくれている。
本来なら口の水分がかなり奪われるところをあらかじめすり潰しているのでほろほろと崩れ口いっぱいに旨みが広がって最高だね。
「ど、どうでしょうか?」
俺と柚木は顔を見合わせて笑う。
「「うまい!」」
「よ、よかったです……それじゃそろそろ夜ご飯にしましょう、あと明日は洗剤とトイレットペーパーが切れそうなので放課後買いに行く予定です」
山口の不安そうな顔は薄れ小皿を回収してキッチンに戻っていった。
「私も行きた〜い、欲しい洗顔あるし飴も買わなきゃ」
俺も買い物ついて行きたい……。
けど猫パンツさんがそれを許してはくれない。
そうだ、日程聞いとかなきゃ。
次の日に小鳥遊に聞いたら話聞いとけって怒られた。




