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第五十話


 放課後は二人で色々と話し合った。


 と言うか正確に言えば小鳥遊が意見を出して俺が否定すれば叩かれたので全肯定して適当に流した。


 内容はこれっぽっちも覚えていない。


 そのうち飽きてなあなあにすればいいや程度に考えてるけど大丈夫だよね?


 ようやくそれらが終わって今は昇降口を抜けて帰宅中。


 全くもって無駄な時間だったね。


 うちのクラスはほとんど下校のチャイムと共にみんな部活に行ったり帰宅したりする。


 だから空っぽの教室に俺と小鳥遊が三十分程度いたところで特に噂もされる事もない。


 ただこれを何日も続けてたら他のクラスの人間にも見られてしまう。


 それだけはやめて欲しい。


 しかも小鳥遊は声がデカい……よく響くから隣のクラスまで聞こえてるんじゃないかな?


 「何よこれ?」


 「ん?」


 そう言った小鳥遊の視線には自動販売機があった。


 この子自動販売機も知らないとかどゆこと?箱入り娘なの?

 

 確かに昔に比べたらわざわざ自動販売機で飲み物を買う必要性は無くなったかもしれないけど。


 だとしてもたまに置いてあるでしょ。


 「自販機、飲み物とか食べ物が出てくる機械」


 「ふ〜ん……何これ!?押しても出てこないじゃない!どうすんのよこれ!?壊れてるんじゃない!?」


 そう言って自販機のボタンを連打してる。


 壊れているのは貴方ですよ、お金も入れずに出てくるわけがないでしょ。


 この様子だと本当に知らないみたいだね。


 「いや、ポイントか現金入れないと出ないから」


 「そうなの?じゃあ入れて」


 「いや、普通に無理……お金ないしポイントもない、てか小鳥遊はポイント持ってないの?」


 「はぁ?ポイント?何よそれ!」


 なんでこの人はいちいち態度がでかいんだろ。


 あと声も。


 そう言って俺は小鳥遊に学校から支給されたスマホのアプリ[bank]を開かせた。


 「……ないわね」


 「左様ですか……ちなみに順位は?」


 「えっと……500位ね!」


 スマホを俺の顔に近づけてそう言う。


 なんでちょっと自慢げなんだ?


 500人中500位なんですよ。


 スマホに表示された画面を見るとそこには確かに500位と記されていた。


 てか小鳥遊が唯一俺より下の順位だったのか。


 つまり入学初日の順位は実質最下位みたいなものだったのか。


 学校にすら来てない人間とほぼ同じ扱いって酷くない?


 まぁそのおかげで最下位なんて言う成り上がり系主人公ルートみたいなのが無くなって助かってはいるけど。

 

 それに正直周りの人間……て言っても柚木と山口の事だがあの二人の順位が高すぎて自分より下の順位を見たのは初めてだった。


 ちょっとだけ嬉しいかも。


 いてっ……また何故か殴られた。


 「はいはいムカつく顔してましたー」


 「分かってるじゃない、今すぐ整形するかその無表情をもっとマシなものに変えるべきね!」


 なるほど山口もこんな気持ちだったのか。


 前に同じようなことを言った気がする。


 帰ったら謝っておこう。


 そう思いながら自販機を後にする。


 誰もいない放課後の帰り道。


 時刻は六時半を過ぎていたがまだ日は落ちきっていない。


 オレンジ色の世界が淡く広がって影を作る。


 夏のほうが太陽の位置って遠いらしいね。

  

 もうすっかり季節も秋に変わろうとしている。


 まだまだ暑いけどね。


 ここでまさかの急展開。


 神風が吹いた。


 まぁ俺にとっては神じゃなくて悪魔なんだけど。


 小鳥遊は見た目も中身もギャルだからスカート丈は本来より結構短くしている。


 だから見えてしまった。


 それはもう立派な……。


 「あ、猫……」


 まさかのキャラパン。


 刹那に映る可愛い猫ちゃんを俺は見逃していなかった。


 「見るな!この馬鹿!」


 短いスカートを押さえながら勢いよく蹴り上げられる。


 あ……これ。


 痛すぎる。


 「いや、風のせい……」


 俺は蹴られた部分を押さえながらか細い声で話す。


 「うっさい!やらしい目で鼻の下伸ばしてたじゃない!……てか!高校生にもなってこんな子供っぽいの履いてんだなって馬鹿にしたでしょ!変態!まじ最悪!キモい!」


 まぁ思ってないと言えば嘘になる。


 あの山口ですらもうちょい大人っぽい下着履いてるからね。


 そう言えば最近の山口はピンクの下着ばっかだなぁ〜誰に見せる訳でもないのに。


 何故か溝落ちを殴られた。


 「ううっ……なんで?」


 「今変な事考えてたの知ってんだから!どうせ下着姿を想像して興奮してたんでしょ!きもい!まぁ確かに私は可愛いけど!」


 はぁ?何言ってんの?


 確かに見てくれは可愛いけど中身が終わってるから実質差し引き0なんですが……。


 俺の所持ポイントと一緒だね。


 「はいはい可愛い猫さん履いてますね」


 「あんた!まじで一回ボコボコにしないとわかんないみたいね!」


 手をポキポキ鳴らしてゆっくりと近づいてくる。


 おぉ……。


 目が全てを物語っていた。


 それはそれはもう怒っていらっしゃる。


 ただでさえ吊ってる猫目がさらに吊り上がってますね。


 よし逃げよう……としたがあっさり捕まった。

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