東西南北でカラオケその2
南に全て任せてカラオケルームに入るとそこは四人では広すぎる場所に案内された。
私はよく分からないけど話に聞いた部屋よりだいぶ広いわね。
全て南に任せたので時間もフリータイムで制限時間を気にせずに歌えると言うことだったのだけれど。
そんなに歌えるかしら?
私と南は先に部屋に入り西くんと東はドリンクを取ってきて貰ってる。
「北姉どんなの歌うの?あ!これなつい!懐メロメドレーいっちゃう!?それともアニソンメドレー?バラードメドレーもいいよね〜」
なんでこの子の提案全てはメドレーなのかしら?
きっとそれが普通なのね。
そんなやりとりをしていると扉が開く。
「北姉さんお待たせしました、オレンジジュースです」
「ええ、ありがとう」
私は西くんからグラスを受け取る。
「へぇ〜北姉って意外と子供っぽいんだね〜」
そう言って南はグラスに入ってオレンジジュースを見ながらニマニマしていた。
そうなのかしら?確かに西くんはアイスコーヒーで東は緑茶、南はミルクティー私のオレンジジュースは子供っぽさがあるのかもしれないわね。
ま、特に気にしていないのだけれど。
「それじゃ西くんからいっちゃお〜」
「ふふっ僕からですか……いいでしょう!見ててください!北姉さん!」
西くんはデンモクをタップして王道J -POPを歌い始める。
「ほう?」
「えっ!結構意外!」
へぇ〜結構上手いわね、男性特有の裏声がスムーズに綺麗に出ているわ。
この様子だと西くんかなり練習したわね。
歌が終わり拍手の音が室内に響く。
「やるな西、今度は俺の番だ」
東は慣れない手つきでデンモクをタップする。
まさかの懐メロじゃない……しかも演歌って。
「ふふっ……やりますね東」
「ええっ!渋くていい声!」
まさかの東も上手いのね……西くんとは違って得意な低音を生かしての演歌チョイスって訳ね。
ちゃんと自分の音域を把握してる、つまり東も練習してきたってことね。
南は結構な回数来てるみたいだし次は私が行くべきね。
というか二人ともこんなにクオリティ高いとは思わなかったから結構恥ずかしいわね。
東も歌い終わり拍手の音が室内に響く。
「次は私が行こうかしら、カラオケ初めてで歌もあまり得意では無いのだけれど」
「大丈夫だよ〜下手でも笑ったりしないから〜」
「南!失礼ですよ!北姉さんが下手なわけないだろ!」
東も黙って頷いている。
かえってプレッシャーなのだけれど。
とりあえず最近流行りの曲を。
デンモクに打ち込みマイクを握る。
やたら緊張するわね……変な汗も出てきたわ。
歌い終わると三人とも拍手してくれた。
良かった……。
「いいじゃん!やっぱ声質がいいんだよ!リズム感は歌い込めば慣れるから後はそこだけだね!」
「こら!南!偉そうにアドバイスなんて良くないですよ!北姉さんめっちゃ良かったです!」
東も黙って頷いてくれてる。
「いいのよ、実際南は上手いのだし何回もカラオケに来てるって話だったじゃない……ほら?次は南の番よ」
「うん!それじゃあいくよ〜」
こうして私たちは次回からカラオケ以外の場所で遊ぶこととなった。




