第四十話
飯盒炊爨のテストが終わり数日が経った。
結局テストは0点おまけにクラス女子からの嫌われようと言ったら。
はぁ……別に好かれたい訳じゃないんだけど。
「マイマイ相変わらずあの男子のこと嫌ってるね〜私提出しに行ってたから見てないのよね〜」
「私見てたけどいつものおっきい声で何時間も文句言ってたよ」
「あれがもし俺だったと思うと……ゾッとするね」
こんな感じです。
本当もう……。
勘弁してほしい。
何度も謝ってるけど心がこもってないって言われるし。
多分順位も落ちてポイントも……。
全身の力が抜け身体を机にべったりつけた。
柚木がカレーに混ぜたものは大方予想つくが真相のところは分からない。
ただ彼女の発言通り俺諸共やろうとしていたことは間違いない。
さらにそれらが教職員まで行ってたらと思うと恐ろしい。
普通に退学、最悪はネットの記事に大きく描かれるところだっただろう。
名門校で殺人事件!?みたいな。
柚木さんマジで恐ろしいです。
そうなるくらいなら俺がクラスから嫌われる方がマシでしょ。
学園で起きるはずだった大事件が。
モブキャラの小さな失敗で終わったのだから。
どうせみんなすぐ忘れるだろうし。
「晶くん、何してるの?もしかして昨日夜更かしでもしてた?身体に良くないよ」
やたら猫撫で声でそう言われる。
晶くん?俺は名前で呼ばれるほど仲のいい友達はいない。
一体誰が……。
顔を少しあげ目線を上にやる。
そこには満点笑顔の柚木がいた。
あ、なんだ夢か。
俺は再び顔を下げ寝たふりを続ける。
「なんでまた寝るのよ!」
「いや、夢かと思って」
「それって私と会話するのが夢だったって事!?」
「いや、全然」
俺がそう言うと先ほどの笑顔は消え冷たい視線をこちらに向けてくる。
え?なになに?
怖い、超怖い。
人ってそんなコロコロ表情変えられるの?
「あ、でも……柚木はクラスの人気者だからね、話せて嬉しいよ」
「嬉しい?」
「うん」
笑顔に戻る。
良かった〜。
「本当?嘘だったら締め殺すところだったよ?」
「あはは〜……ん?」
今なんて?
「それより晶くん私お弁当作ったの、後で一緒に食べよ?」
いや、それより今なんか締めるとかなんとか言ってたよね?
けど問い詰めれば面倒になりそうだしやめとこ。
「いや、俺はいつも通りやま……」
そう言いかけて俺は言葉が詰まる。
今の状況だと……。
教室からヒソヒソと聞こえてくる。
「あれ……嫌われ者同士で仲良くやってるみたいだね」
「マジかよいいなぁ〜柚木ちゃんまじで顔いいし胸もでかいし」
「いや?よく考えてみろよ?少なくともクラスからはいじめの対象にされるし、高島とか結構人脈広いからその辺にもなんかされるかもだぜ?」
ふむふむ。
俺と山口が教室で仲良くしていれば山口にまで被害が出るかもしれない。
色々とお世話になってるし……。
とりあえず現状が治るまで山口とは距離を置くべきだ。
俺は賢いからね。
ご主人様には被害を出さないよう布石を打っておく。
「うん?どうしたの?私のお弁当が楽しみで仕方がないの?」
一体なぜそうなったは分からないがとりあえず頷いといた。
「本当に!?」
この子はなんでこんなにも疑り深いのだろうか。
「うん」
「じゃあ今日のお昼は一緒に食べようね、教室だとブスどもが五月蝿いし屋上とかで食べよっか」
近づき手を握ってくる柚木。
どうやら拒否権は無いみたいです。
「そ、そうだねー」
また後でと言って手を振りながら柚木は席へ戻っていった。
やべえ……あの人怖いわ。




