第三十六話
説明が終わりとりあえず各自何をするか話し合いの時間になった。
周りの班は事前に色々決めてたのか取り掛かりが早い。
ウチらの班は遅いねー。
ギクシャクした空気。
俺は関わりたくないのでスマホを見る。
仲裁とか絶対しないから。
テイッターを開き画面をスワイプする。
『バスの中快適でいいじゃん!』
『この辺まで来た事なかったけどもっと奥の方に噂のあれがあるらしい』
『やべぇ!……お菓子食いすぎてカレー食えなさそう』
『彼と楽しくカレー作り……なんちゃって』
中身の無いまさにモブっぽい呟きがされていた。
見た感じ現地に着いてからの呟きはなさそうだね。
まぁこの時間でスマホいじってテイッター見てるのは俺くらいだよね。
……なんかそれモブキャラに反する気がして来た。
よし、スマホをいじるのはやめよ。
材料と調理器具は机に並べられている。
食材はかなり多めに用意されていて声をかければここにないものも用意してくれるらしい。
料理は量が多ければ多いほど作るのが難しくなる。
今回は審査もされる為十人前以上作る必要がある。
これは野菜切るのも大変そうだ。
鍋も大きいし。
けどそれ以上に人間関係で一悶着ありそうだね。
「じゃあ、あーしら簡単そうな米の方やっとくから!こんなん水でちょいちょいってやって炊くだけでしょ?よゆーじゃん!」
「だよねー!まぁマイマイは野菜の扱いにも慣れてるけどねー!これとかマイマイに届かないっしょ!」
そう言って人参を手に取り意味深な動きをする。
本当に早くあっち行って欲しい。
「こんなちっさいのじゃ……こうよ!」
片手で人参を粉々にする。
うわぁ……人参一本無駄にしちゃったよ。
別に沢山あるからいいんだけどさ。
それは田舎寄りの俺たちが家を潰されてまで開拓した土地で作った物だからね。
あんま無駄にして欲しくない。
それに野菜は高いからね。
残そうとすれば山口に怒られるし。
でも椎茸だけは無理。
本当にがて。
「そこの男子もこうなりたくなかったらちゃんと作る事ね!柚木もサボンじゃないわよ!私お腹すいてるんだから!肉も牛肉にするわよ!」
そう言って人参を生でボリボリ食べながら米を洗いにシンクの方へ向かって行った。
やべ、一瞬ヒュンってなったわ。
あの人怖い。
誰か手綱握ってあげて。
「とりあえず野菜切るか〜てかその前に洗わないとか……」
俺は独り言っぽくそう言って柚木の方をチラッと見た。
既に野菜を籠に入れて洗う準備を進めていた。
やっぱ手際よさそうだな。
けど俺は絶対に必要最低限以外の事は話さないからね。
そう頭に言い聞かせながら柚木と同じように籠に野菜を入れてった。




