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第十四話


 「うまい!さすがワシの作った筑前煮だ、甘い出汁がご飯によく合う!」


 「さすがハンチョウです!おい!新入りも食えよー!ハンチョウの筑前煮は最高だぞ!」


 地下施設では夜遅くまで作業が続いていた。


 夜9時を回り作業が終わると同時にハンチョウが夜食を振る舞っていた。


 皆が受け取り美味しそうに食べる中その内輪から外れるものが一人。


 「あいつ無口で無愛想ですねー名前は確か……本田って言ってましたっけ?」


 「んん……ワシの作った最高傑作を食べないとは……モグモグ」


 ハンチョウは本田を一瞥すると彼は何処か遠くを見ている様な目をしていた。


 いるいる、ああやって一人でいるのが好きなタイプ。


 実はあの手の人間ほど周りから見られてるって勘違いしているタイプなんだよね……モグモグ。


 「噂によるとあの大谷って言う異次元のスキルに高いポテンシャルを持った一年にボコられたとか……教師達の間で噂になってますもんね、最近の評価はスキルだって……一体なんなんですかね?そもそもスキルについても詳しい事は表沙汰になってないですもんね?」


 「そうか……安田はスキルについて詳しく知らないんだったな……」


 ハンチョウは箸を置き姿勢を正した。


 真面目な話だと察した安田は噛みきれていない口の中の筑前煮とご飯を固唾と一緒に飲み込む。


 背筋を伸ばす。


 「スキルっての個人が持つ能力だ、記憶力だったり足が速かったりと様々だが最近では異質なものを持っている奴もおる、カリスマだったり腕力、面白いものだと早口や大食いだったりと昔より細かいところまで見られる様になった訳だ、中には本人の成長と共に進化するものもあるらしい」


 ゆっくりとした口調で丁寧に話す。


 理解しやすかったが。


 安田は疑問が浮かぶ。


 「そんな情報、一般の生徒には公開されていませんよね?ハンチョウは一体どうやってそんな情報を?」


 安田が恐る恐る訪ねるとハンチョウはニヤリと笑う。


 「そりゃ企業秘密だ、安田もそのうち分かるようになる、それまではここの暮らしを楽しむのが一番だよ」


 「えぇ〜そりゃないですよハンチョ〜ウ」


 「そんな事よりも本田くんを呼んで来てもらってもいいかな?」


 安田は本田を呼び出しハンチョウの前に渋々座った。


 「なんか用か?」


 「いやぁ〜一人で居るのも寂しかろうと思って、本田くんもささ、これ美味しいよぉ〜」


 ハンチョウが本田の前に茶碗を置くとそれを手に取り目の前でひっくり返した。


 安田は本田の行動が理解できず目を大きく開け大声を出す。


 全員が本田のことを見ていた。


 口に運ぼうとしていた箸が止まる。


 空いた口が塞がらない。


 遠くにいる人達もなんとなく空気を察していた。


 「お!おまえ!何やってるかわかってんのか!?ハンチョウに!この地下で!逆らうって事が!どうゆー意味なのか分かってやってんだろうな!?」


 「うるせえなぁ……俺はこいつが気に入らねぇんだよ、誰にでも愛想よく振り撒いて隙に入ろうとする、やってる事はただのマッチポンプじゃねえか」


 安田の怒鳴り声にも動じず淡々と本田はそう語る。


 二人が見つめ合う。


 お互い視線を外すことはしない。


 安田はオロオロと二人を交互に見た。


 「いやぁ〜合格だ、彼は間違いなく次の戦争で役に立つ。安田も彼みたいな存在が必要不可欠になってる事を覚えておいた方がいい、輪を乱す存在であり共存出来ない、だが彼はその場を支配する事ができる、ムフフ、面白くなってキタァ!」


 安田はその様子を見て安堵した。


 それと同時に本田の恐ろしさも思い知らされた。


 これが今年の一年。


 やはり聞いた情報よりも実際に見た方が思い知らされる。


 こいつらが支配者になるんだと。


 アゲハは大声で笑い本田はそれを睨みつけていた。


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