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第八十三話


 家に戻ると既に山口達は掃除を終わらせていた。


 「はい、お土産」


 「な、なんですか……なんで牛乳を?まぁ好きなので頂きますが……」


 特に深い意味はありませんよ。


 俺は窓枠に腰をかける。


 部屋は狭いからここくらいしか居場所がない。


 柚木と小鳥遊はああでもないこうでもないと話し合いをしている。


 山口はみんなのスマホを充電したり洗濯物を畳んだり定期的に外を警戒したりしている。


 流石山口様頼りになります。


 俺はというと特になんもしてない。


 ただ窓の外の星空を眺めていた。


 すると柚木がなんの前触れもなく着替え始める。


 まぁこれから寝るのだから寝巻きに着替えるのだろうが……。


 ちなみにさっきの風呂屋に浴衣みたいなのがあったので女性陣はそれを持ってきている。


 「どうぞ柚木さん」


 「ありがと〜」


 「あんま甘やかしちゃダメよ!山口さん!柚木は甘やかせば甘やかすだけ甘えるんだから」


 平然と俺の前でそんな会話をする。


 上下青色の下着を着ている柚木。


 最近太った事を気にしているらしいがウエストはしっかりと引き締まっていてむしろ胸とお尻が大きくなってのが原因としか思えない。


 ちなみに下着には白色のヒラヒラが付いていて可愛い。


 「ウチもそろそろ着替えよっと……新庄!あんたあんまジロジロ見るんじゃないわよ!このえっち!変態!」


 そう言いつつも普通に脱ぎ始める小鳥遊。


 こちらは上下明るめのイエローカラーでヒラヒラはついてないが布の面積は少なめ。


 本人曰くそっちの方が動きやすいとかなんとか。


 ちなみに小鳥遊さんは身体がムチムチでとてもエロい。


 最高だね。


 最後に山口だが……。


 うん、いいと思う。


 すると俺に服を脱ぎ捨ててくる。


 「……なんで?」


 「言わなくても分かってます……どうせ私は色気がないですよ!おっぱいもないですよ!さっきの牛乳飲めば少しは変われますかね!?」


 あ、バレた。


 するとスマホがバイブする。


 [そろそろ寝なさい、明日も早いわよ]


 山吹先輩からのメッセージだった。


 まぁ確かに俺も眠いかも。


 「そろそろ寝ますか」


 俺のその一声に三人がビクッと反応する。


 何それ口裏合わせでもしてたのかな?


 「そ、そうですね!もう暗くなってきましたし寝るとしますか!」


 山口がそう言うと柚木が襖を開ける。


 「あ、あれー?布団が二枚しかないのね!これじゃ二人一組で使うしかないね!」


 なんだこの三文芝居は。


 「し、仕方ないわね!それじゃ今から誰が何処で寝るか決めるわよ!ウチは寒いの苦手だから真ん中がいいわね!」


 「あ、ずるい!私も晶くんの隣じゃないと寝れない!それに小鳥遊は寝相が悪いんだから端っこに行きなさいよ」


 確かに小鳥遊の寝相は悪い……けど柚木も人の事は言えない。


 「あんたも人の事言えないでしょ!?」


 「うっさいわね!小鳥遊なんてこの間私に抱きついたまま寝てたじゃない!」


 あ〜あったねそんな事。


 「ウチは昔から抱き枕ないと寝つきが悪いのよ!それを言うなら柚木だってこの間私の耳ずっと噛んでたじゃない!甘噛みだから良かったけどあれよだれついて大変だったんだから!」


 「ははっ……ここにいる女性はみんな巨乳なんですよ……つまり私も胸が大きいって事ですよね?」


 山口がまた壊れて一人でぶつぶつ何か言ってる。


 「あんただって!」


 「あんたこそ!」


 するとスマホがバイブする。


 山吹先輩から着信が来ていた。


 画面をタップしスマホを耳に当てると。


 「もうちょっと静かにしなさい……それからもう寝なさい」


 「あ、はい」


 怒られてしまった。

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