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第七十六話


 中は空気が薄く灯りが少ない。


 構造上人が一人通れるだけのただの通路って感じだね。


 暗い一本道を歩く。


 たまに脇道があってそこから出られるみたい。


 山口達大丈夫かなぁ〜。


 特に柚木と小鳥遊は抵抗して厄介ごとに巻き込まれてる気がする。


 と言うか歩くの疲れた。


 なんかジメジメしてるし。


 こう言うところ苦手なんだよね。


 「ん?どうしたの?お友達が心配?」


 「まぁ……そんな感じですね」


 「きっと大丈夫よ、保証はしないけど」

 

 「頼りないですね」


 「情報が足りないのよ、私も気休め程度にしかものを言えないわ」


 「さようですか」


 そう言いつつも山吹先輩の声はどこか安心感を覚えた。


 これが先輩ってことなんですかね?


 しばらく歩き続けるととある脇道で足を止める。


 山吹先輩はスマホを取り出し何かを確認しているみたいだ。


 「参ったわね……すぐ上に謎の人物が居るわ、けどその人を除けばもう近くには居ないみたい」


 「ふ〜ん」


 そんな事が分かるアプリでも入ってるのかな?


 本当世の中便利になったよね〜。


 GPSのハイテク版みたいな奴なのかな?


 「一人ならやれると思うわ、行くわよ」


 やるってなにを?


 山吹先輩が息を整え始める。


 よく分からなかったけど黙ってついて行く。


 扉を開けると隙間から強い光が差し込む。


 眩し。


 山吹先輩は肩で勢いよく扉を開けると身体を丸めて地面に一回転。


 そのまま周囲を見渡し。


 奴と目が合った。


 奴は相変わらずヘルメットを被り特に表情もない。


 ただこちらを認識すると指差し確認をしてくる。


 なんか嫌な予感が。


 「デュエルよ!体術で勝負!参加者は私とこの新庄くん!私達が勝ったらここを通してもらうわ!負けたら大人しく捕まる、それでいいでしょ?」


 山吹先輩がそう言うとそれは頷く。


 ジッとこちらを見つめながら。


 ……?


 「え?俺もやるんですか?」


 「当たり前でしょ、それより来るわよ!」


 奴のその長い手足が大きく空を割く。


 大きくブンッと言う音と共に。


 当たれば大怪我間違いなしだね。


 山吹先輩は身体をほぐす様に手足や首を回していた。


 胸も小さいし動きやすそうだね。


 あ、一瞬睨まれた。


 すぐさま顔を逸らす。


 みんな心を読む能力でもあるのかな?


 そんな事していると奴が物凄いスピードで距離を詰めてくる。


 視線の先は山吹先輩だ。


 どうやら俺は戦力外だから後回しでもいいと判断されたみたい。


 賢いね。


 二人ともバトル漫画みたいに熱いバトルを繰り広げていた。


 奴が素早いパンチを繰り出すと山吹先輩はそれを手のひらで受け流す。


 山吹先輩は防戦一方だった。


 まるで何かを待つ様に。


 なんか見たことある光景だね。


 山吹先輩はフェイントを繰り返す。


 拳を軽く伸ばすがそれを当てる気はないみたい。


 やつは頭を動かしてそれをかわそうとするが全てフェイント。


 押されていた山吹先輩が今度は逆にジリジリと奴の方へ距離を詰める。


 不利だと思ったのかやつは足を大きく一歩下げると。


 既に壁際まで寄せられていたことに気がつく。


 熱い展開だね。


 横目で跡がないことを確認すると両手を目線の先に動かす。


 ボクシングでもするのかな?


 一か八か。


 やつは腕を引き見たこともないスピードで山吹先輩の顔目掛けて拳を突き出す。


 山吹先輩の右足が軽く上がる。


 左足に重心の軸を作りその拳を受け流すと。


 そのまま華麗に回し蹴り。


 綺麗な黒髪ツインテールも身体に続きクルリと回る。


 奴のヘルメットは砕けそのまま重力に従い後方へと飛ばされる。


 「おー」


 俺はとりあえず拍手しといた。


 本当にすごいね。


 何もしてないし盛り上げ役って事で。


 俺もモブキャラで嬉しい。


 「流石に辛いわね」


 そう言って袖を捲り上げると元々白かったであろう肌が赤く腫れていた。


 すごい痛そうだ。


 「痛そうですね」

 

 「えぇ、痛いわね……けど奴に勝てたから問題ないわ」


 「ですね」


 そう言って奴の飛ばされた方を見ると。

 

 視界から消えていた。


 山吹先輩の表情は一瞬にして焦りを感じさせた。


 そして周囲を何度も見渡す。


 「どこに!?」


 振り返って見ると死角から奴がタックルする様に身体を丸めてこちらに突っ込んできた。


 山吹先輩はそれをかわす。


 けどその先には俺がいた。


 あれ?


 「ちょ、嘘でしょ?」


 俺はそのままの勢いで壁に激突する。


 背中がめっちゃ痛い。


 やつもそのまま体勢を崩し俺のことをガッチリホールドしてきた。


 意識が薄れているのかすごい行動が大胆になってる。


 このまま意識がなくなるまで離してくれる気はないみたい。


 むかついたので。


 強めにデコピンしてやった。


 割れたヘルメットの隙間に。


 額に強く指先を当ててやるとホールドしてきた腕の力が弱まって行く。


 あれ?気絶したのかな?


 「大丈夫!?」


 山吹先輩は俺の方に近づき奴を引き剥がそうとする。


 「なんとか」


 「貴方のデコピンで気絶してるわね……私の蹴りでも倒れなかったのに」


 どう考えても意識が朦朧としてる中、捨て身で突撃してきて俺がトドメを刺した様にしか見えないんですけど。


 「いや山吹先輩の蹴りが相当効いてたみたいですよ」


 「そうかしら?」


 「はい、ヘルメットが粉々になってます」


 山吹先輩は倒れたそいつをまじまじと見ていた。


 俺はそいつを引き剥がし土埃をはらう。


 まだちょっと背中が痛い。


 「とりあえず難は逃れたのだし先を急ぎましょうか」


 「いや、背中痛いんで冷やしたいんですが……それに山吹先輩も腕が」


 いまだに捲ってある腕は赤く腫れあがっている。


 「私は大丈夫だけど確かに貴方はかなりの勢いで衝突したものね、幸い保健室も近いし少しくらいなら休憩しましょうか」


 ようやく休めるみたいだ。


 早くこのパート終わって欲しい。


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