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番外編 柚木


 「晶くん!今日は一日よろしくね!」


 欠伸をしてる晶くんも可愛くて素敵!


 それでいて私が顔を近づけると嫌そうな顔をするところも凄く良い!


 今日一日中二人っきりでいられる。


 よく考えてみたら私と晶くんが二人っきりでいられた時間って案外短いかも?


 いつも山口さんが居たし初めの頃はそんなに仲も良くなかったし。


 「柚木って変わったよね」


 唐突にそんな事を言ってくる晶くん。


 相変わらず目を見て話してくれない。


 「うん!これも晶くんのおかげだね!」


 そう言って私が顔の正面に立つと逸らす。


 また正面に立つと逸らすを何度も繰り返す。


 「楽しいね!」


 「楽しいかな?」


 今日の私は超ハイテンション。


 誰も私を止める事は出来ない!


 「そう言えば山口さんの番の時に体調崩したらしいけど大丈夫だった?心配だから私が直接体温測ってあげよっか?」


 「何?直接体温測るって?体調の方はもう大丈夫だよ」


 「そっか……残念」


 せっかく肌と肌を密着出来ると思ったのに。


 「残念ってなに?」


 ボソッとそんな事を言っていたが今はそれどころじゃない。


 今日一日は二人っきりで過ごせるのだから!


 ここで私は行くところまで行く予定なんだから!


 天井目掛けて高くガッツポーズを決める。


 「今日テンション高くない?」


 「なんでだと思う?当ててみて!」


 「もしかして……占い一位だった?」


 「ブッブー違います〜」


 私は両手でバッテンを作る。


 「じゃあなんで?」


 「これから二人でショッピングモールに行くからです!」


 ーーーー


 そうしてバスを経由してショッピングモールへ向かった。


 二人きりとか超ワクワクする!


 「鼻歌まで歌うなんてかなりご機嫌だね」


 「うん!そろそろ新しい下着も買おうと思ってたし!晶くんも手伝って!」


 「……え?」


 隣の席に座っている晶くんがピタリと動かなくなった。


 「どうしたの?」


 「いや、どう考えてもおかしい」


 「何が?」


 額に手を当てる晶くん。


 「俺が女性用の下着を売ってる店に入れる訳がない」


 「大丈夫!女性客専用もあるけどあそこは問題ないから」


 「いや……なるほど、ラブコメ主人公ってこんな気持ちなんだ」


 「ん?何か言った?」


 「いや、なんでも」


 そう言って頭を抱える晶くん。


 もしかして下着はエッチする時まで見たくない派だったのかな?


 けど今回に限っては好みを知っておきたいし。


 それに最近胸がちょっとキツくなってきたし。


 お尻の方も。


 もしかして太ったのかな!?


 だとすると下着姿を見てもらう時私のお腹も必然的に見せる事になるから……。


 お昼は我慢するべきね。


 それに私は晶くんを食べられればお腹いっぱいだし。


 「今日はたくさん楽しもうね!」


 私が笑顔を向けると晶くんの顔は引き攣っていた。


 その日は晶くんを引き摺り回して大満足な一日を過ごしました。

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