不思議@8 異世界からやってく妖しげな光と共に。
今日は、大晦日。
一年の終わりの日。
神社に行くと、境内にはたくさんの露店が並んでいます。
境内に並ぶ露店には、素敵な輝きがあります。
特に夕暮れとか夜の、電球に照らされた露店は、
妖しい異世界から来たようで、普段よく見かけるモノでも、
薄明るい光の中では、どこか違うような、そんな魅惑があります。
祭りの玩具屋は、特にその傾向が強くて、
子供のころ(今でもそうですが)普通のおもちゃ屋で手に入れるよりも、
お祭りで手に入れたものの方が、
なんだか、不思議な力が宿っているように感じました。
しかも、小学生の中ごろまで、
おもちゃ屋に、ほとんど行ったことがないので、
(おもちゃ専門店の存在すら知らなかった)
お祭りの時が、一番玩具を見ることができる時。
親から聞いた話なのですが、自分が幼稚園くらいの頃、
テレビの中のものは、現実に存在しないと思っていた子供だったようです。
たとえば、CMで流れていたお菓子か、玩具か、何かのゴミが落ちていると、
「あ、これテレビのだ」と、
嬉々として拾っては、大切に持ち帰っていたそうで……
これは、よくタイムスリップや異世界からやってくる人が、
テレビを見て、「テレビの中に小さい人が住んでいる」と同じレベルの思い込み。
まぁ、とにかく、テレビの世界のものは、
現実の世界ではなかなか入手できないと思っていた子供時代。
薄暗い境内の不思議な雰囲気と重なって、
祭りの露店は、異なる世界から、
現実の世界にやってきたモノ。
……そういう想像が働いてしまうのは、無理はありません。
そんなこともあってか、
大人になった今でも、
神社で露店が開いていると、
なんだか、異世界に来たような、そんな感覚に襲われ、
なんだか、どきどき、わくわくしてしまうのです。
にぎやかな祭りの露店、
露店からの間接照明で、妖しく光る稲荷の像、
像が見つめる境内の暗がり、祭りの隅、
人混みの流れ、ざわめき……
そこに、そっと目を向ければ、
目に映るのは、
現実の世界か、
それとも、
幻の世界か……
不思議な不思議な、世界の境界の内を、見ることが出来るかもしれません。
自分は門前町生まれで、季節の節目には祭りがあり、
こういう風景は、馴染み深いのです。