不思議@結 冬鳥夏虫-冬は鳥を見、夏は昆虫を観察する-
子供は大人と異なる世界に生きているのかもしれない。
その子供の頃、今は忘れてしまった、この世のものではないものが住む世界を感じた事。
子供のころ、夏になると、毎年のように行った海の無い山奥の町。
河原には、球状の石灰質団塊という、土の塊がありました。それを割れば、低い確率ではありましたが、中に眠るかつて海に生きた貝の化石たちを、見ることができました。さらに運がよければ、サメの歯を見つけることが出来ます。
水の囁く言葉を、こっそりと聞いた、海が無い山奥の中にあっても感じる、大いなる海の気配。
その化石の眠っているの川の支川の、少し上流にある瀧で行われていた、夏のお祭り。
そこで出会う、もう顔も名前も忘れてしまった一夜限りの友達。
現世か幻世か、それは子供の頃の思い出。
あの友達たちが、そこにいたという気配だけは思い出せる、彼の名を呼んでいた事も覚えている。
でも、今はもう思い出せないその顔、それは口にできない忘れてしまった名前。
それは、本当のことなのか、それとも、記憶の作り出したものなのか。
もう記憶の中にしか存在しない、幻……
心の奥にある、無意識の記憶からそれぞれの思い出たち。
大切なかたち。
世界のちいさな、そして、おおきな世界の不思議や疑問や思い出たちの寄せ集め。
それらを読んで下さって、ありがとうございます。