不思議@30 あらかじめ言っておこう。夢落ちです。
人がいる、黄色い光の注ぐ時間の広場にいました。黄色は、影が薄い時間です。
透けている人がいました。
透けていない人もいました。
透けていない人のいくらかの人たちは、赤いけれども目立たない着物を着て、せっせとご飯や水を運んでいます。
それ以外の透けていない人は、隅の方で何年も動いていないようでした。
最初、ここに来た時は、自分も透けていました。
透けていない人から、酒っぽい水とか、ご飯とかもらいましたが、とくに、何も食べたいとは思いませんでした。
人と店とで一見にぎやかですが、音がない寂しい奇妙さ、黄色の光と薄い影しかない色のない広場を、ぼんやりと歩いていたら、夢の中で夢から醒めました。
気がつくと、再び例の黄昏色の広場にいました。
今度は透けていないで、普通の体でした。
この広場には、やはり透けている人と、透けていない人がいます。
話によると、透けている人たちには、食べ物をあげる習慣があるらしい。
透けていない人の中で、建物の日陰に坐る人は、相手にしてはいけないとも、言われました。
この透けていない体だと、食べ物がもらえませんし、じっとしていると、相手にもしてもらえません。
今はお腹がすいていないので、平気ですが、もしも、おなかがすいた時はどうするのか心配になりました。
でも、だれも、教えてくれません。
尋ねる雰囲気でもなかったのです。
探るために、ご飯を配る手伝いでもしようとしました。
ちょうど、その時、薄緑の服で、白く透けた家族が来ました。
その夫婦と子供の分と、白いご飯と酒っぽい水と、豆と、野菜をあげました。
きっと、わりと、早い時期にこの場所を去りそうな、幸せそうな家族でした。
去ってはほしくないけれども、それは仕方ありません。
そして、日が暮れたように感じると、いつの間にか、現実っぽい世界に戻ってきました。
そこは、階段。階段の中央部にいました。
向こうの世界のものを、口にすると、向こうの世界から帰ってこれなくなる話がありますが、この夢の中で、手にした食べ物を食べてみようという気分にならなかったのは、もしかして……と思うのです。
お盆は、夢の中で、異世界を見る。
お盆の時期に、さまよう不思議な夢でした。
生まれたばかりのころは、大半を寝てすごすので、夢の世界のほうに近くて、
だんだん、現実の方に身をおくようになって、
そして、死が近づくと、だんだん夢の世界の住人に近づいて、最終的には、また夢と現実が逆転してしまうのかもしれません。
最期の時……人生を振り返ると見える走馬灯でさえ、もう夢のようになるのでしょうね。