不思議@序 不思議たくさん。
春は鳥が目覚め歌。
夏は蛙が子守り歌。
秋は虫が子守り歌。
冬は霜が目覚め歌。
ツチグモを探しては戦わせ、
蛙の卵、アゲハの卵探し、育て、
カマキリの卵でわらわら育て、
セミが幼虫から成虫になる過程を見て、
アサガオの開くところを見て……
星の羊を数えては、それに連なる伝説を語り、
山や河原で化石の貝を掘る……
脱皮したザリガニの殻がなぜか怖くて、
それが置いてある部屋に入れなかった思い出。
夏には笹を、冬にはツリーを、飾り付け、
時には、押入れに落書きをして怒られた。
遊びつかれて、家に帰れば、温かなご飯があって、お風呂があって、
そんな普通の日常風景。
一日の最後は、布団の中で、小さな冒険、絵本の時間。
「はじまり、はじまり」と、決まり文句で、絵本を開き、
「おしまい」と共に、本が閉じられる。
時には、
「はじまり、はじまり~」と、本を開きかけ、
「……おしまい」と、本をすばやくひっくり返し、閉じられる。
そんな、フェイント技が披露される、寝る前の絵本の時間。
それが、
一日の終わりの時間、
不思議な「おしまい」の合図。
……そんな、世界に散りばめられた、
ほんの些細な、思い出、感想、勘違い、
不思議や疑問や浪漫やら、
日々考えていること、感じたこと、気になった言葉やモノを、
拾い集めては、寄せ集め、
一つのかたちに、していきたいと思います。
自分が親になった時……
自分の子供に、聞かせたい。
かつて自分の母が、父がしてくれたように、
一緒に。