高校時代・部活の先輩のMさんと、スケート
前回、スケートの話を書こうとしていたのに、うっかり待ち合わせだけで一話使ってしまいました。
今度こそスケートの話をしましょう。
スケート場に到着して最初に感じたのは、思ったより寒くないということ。そして、漫画のように転びまくってる人はいなくて、わりと簡単そうに見えました。
でも、M先輩に手を引いてもらいながら、こわごわ氷の上を歩いてみると、二歩で転倒。先輩を押し倒してしまいました。
ボクはわりと運動音痴なのです。何かの運動力テストでは千人中九百八十三番目とか。
スキーに行った時も、スキー初心者グループの練習についていけずに体がヘトヘトのガクガク。最初の休憩の時間になったところで、残りの練習をキャンセルさせてもらいました。
心底ホッとして、帰りの時間まで女の子と雪だるまを作って遊んでいました。
しかし、スキーは体力の問題でリタイアしたものの、ペタンペタンと歩くことは出来て、少しはましになっていった感覚はありました。
スケートは歩くことすら出来ないのです。あそこまでスケートが難しいとは思っていませんでした。
結局この日、スケート上達の兆しはなく……。
M先輩は滑るコツを教えてくれつつ、ボクの手をずっと握り、粘り強く何度もサポートしてくれましたが、どうしても滑れませんでした。
何度も何度もM先輩を巻き添えにしながら転んで、ボクはなんだか申し訳なくなってしまいました。
ボクがついついM先輩にしがみつきながら転んでしまうので、大体先輩が下側になります。なので、ボクより先輩の方が痛そうなのです。
痛めたお尻を笑いながらさすっている先輩を見て、やっぱり先輩は優しいなと改めて感じたのでした。
M先輩は、帰りもボクの地元の駅まで送ってくれました。そして、電車の中でボクに体のアザを見せ、さすりながら愚痴るのです。
もしかして、先輩に嫌われてしまったかも。
ボクはそう思いましたが、先輩は別れ際にこんなことを言ってくれたのです。
「今日は笑い過ぎてお腹痛い。またどっか行かない?」
感激しました。
ボクが人間関係でちょっと弱気になったとき、毎回勇気をくれる。あの人は、そんな不思議な先輩でした。