高校時代・部活の先輩のMさんと、自転車の二人乗り
初っぱなから法律的によろしくない話題になってしまいますが、一つ目の思い出は「自転車の二人乗り」です。
今ではかなり取り締まりが厳しくなった自転車の二人乗りですが、ボクが学生の頃はまだよく見かけるものでした。
もちろん坂道や砂利道など、危険な場所では殆どの人が二人乗りをストップして自転車から降りていましたが、それでも今思うとすごく危ないですね。
ボクも当時二人乗りをしたことがあり、遅まきながら反省しています。
さて、本題の二人乗りデートの話です。
男女で二人乗りをする場合、なんとなく男子が前に座ることが多かったです。筋力とか見映えとか、色々な問題からでしょうか?
でもボクは、必ず後ろに乗りたがりました。
相手の女子もボクの非力さが分かっているのか、特に文句を言わずに後ろに乗せてくれます。みんな優しいですね。
しかし、常に自分ばかりが運転させられたら、いくらなんでも不満に思いますよね。
さすがにというかなんというか、ある日、先輩のMさんが言いました。
「ねえ。たまにはキミが漕いでくれても良くない?」
ボクも了解し、初めて先輩の自転車を運転することになりました。
ボクが自転車を漕ぎ始めて数分後、先輩は自分から交代を申し出ました。
「キミの後ろ怖すぎ!」
と彼女が言うのです。
内心危惧していたのですが、ボクは二人乗りの運転がすごく下手でした。
右へフラフラ、左へフラフラ。見通しの良い広い道で短い距離を走行しただけでしたが、先輩は身の危険を感じたのでしょう。
再び先輩に運転を任せることになり、ボクは先輩の胴にしがみつきながら
「だから前に『ボクが運転すると危ないかもしれない』って言ったのに……」
と、背中に話し掛けました。
「あそこまで下手だと思わないから!」
先輩は笑いながら返事をしました。
ボクもなんだかおかしくなって、二人でしばらく笑い合ったのでした。
それ以降、先輩は一度もボクに自転車の運転を任せることはありませんでした。
でも、それからもよく自転車の後ろに乗せてくれました。少し乗せてもらったら自分の足でしばらく走って、安全な道になったらまた自転車の後ろに乗せてもらって。乗ったり降りたりをどれだけ繰り返したでしょうか。
ボクという大きな荷物を乗せながら色々な場所に連れていってくれた先輩に、もっともっと感謝をするべきでしたね。