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Fゲーム2nd  作者: 塚波ヒロシ
20/26

第20章 Gong

こんにちはこんばんは!それともおはようございます?

お待たせいたしました。第20章を投稿です。

バトルシーンは本当に書いていて楽しいんですよねー。


近々、ギャバンのバイク付きフィギアが出るんですが…。

ほしいー!でも年末にはあのサイバトロン司令官が!


第20章 Gong


「レッドの!俺たちを抱えて跳ぶんだ!」

 目の前に悠然と浮遊している巨大ドラゴン型ロボットを前に茫然としていた僕を救ってくれたのは、純白のティンガーロボのパイロット、スキンヘッドのシロエだった。

 僕は彼と、その弟クロエのロボットの手を握り、マント状に背中に畳まれていた翼を羽ばたかせて大きくバックジャンプをした。

 その瞬間、今まで僕ら3体がいた辺りを巨大な鎌の様なシルエットが地面と水平に薙ぎ払われた。

「おいおい……冗談じゃねぇぞ!」

 同じくその鎌をバックジャンプで避けたダグのフレイムダガーが着地と同時に低い声で唸る。

 巨大な鎌の正体は、目の前のドラゴンロボット……銀河龍バーンの尻尾による横薙ぎだった。

 突然の鋭い、しかも視野の範囲よりもずっと外からの攻撃に背筋に冷たいものが流れる。

「ティンガーロボの視野が広くて助かった……」  

 クロエが静かに呟くが、冷静にと言うよりは余りのことに驚き過ぎている為に感情が追い付いていない静かさに思える。

「見えなかったな、今の攻撃」

「あの巨体であんなに速いのかよ」

 僕とダグも驚きと恐怖で、呟くように話すのがやっとだった。

「ボケっとしないにゃ!次が来るにゃ!」

 ネコミュートの声に反応した瞬間には今度は斧のような影が頭上から迫っていた。あまりのスピードに風圧すら装甲越しに感じるほどだ。

 僕はティンガーロボ2体を傍に抱えたままサイドステップで何とか回避できた。上空から地面に叩きつけられた奴の尻尾越しにダグの姿も無事だと確認できる。

「取り敢えず、ロムは空から攻めてみろ。俺は地上で奴の気を引いてみる」

 言うが早いかダグのフレイムダガーはパトカーモードにチェンジし、パトライトの後ろから飛び出したレーザーガンで尻尾を攻撃し始めた。

「俺も地上で戦う。クロエはレッドについて行け!」

 シロエの純白のティンガーロボが背中からハンマーを取り出し、フレイムダガーを追った。逆にクロエは僕を見上げて小さく頷く。

「ミュート、変形するからギアに挟まれないように!」

「了解!」

 ロボットの肩に乗っている小さなネコミュートはクルクルと回転しながらビルの3階ぐらいあるこの高さを見事に着地した。

 それを見届けて僕はロボットモードからドラゴンモードに姿を変えた。

 変形は一瞬だ。同期システムのお陰でドラゴンモードでも僕の感じている感覚は何ら異常は無い。とは言え違和感のようなものはある。

 まずは尻尾と翼の生えている感覚。ミュートの補助があるけど、まだロボットモードほどの自然な動きには少し足りない。

 あとは体全体が前屈みになっている様な感覚。実際にそういう体勢になっているからしょうがないんだけど、少し息苦しく感じる。

 ドラゴンモードへの変形が完了すると、ミュートが長く伸びた首の付け根に、クロエのティンガーロボは背中の中央に跨った。乗った感覚はあるけど不思議と重くは無い。それだけレッドドラゴンのパワーには余裕があるんだろう。

「二人とも、飛ぶよ!」

 僕は返答も聞かず、感覚としては両腕を上下に大きく振った。

 物理的にはこんなサイズの翼では飛行は不可能のはずなんだけど、二人を背に乗せた僕の体はゆっくりと上昇していく。そのスピードはどんどん加速してゆき、あっという間に銀河龍バーンの頭上を超えていった。

 上空から見て、この空間の全容がやっと伺えた。

 塔の屋上のここは、すでに宇宙空間にまで達していた。

 屋上フロアは何も無い円形の白い床で、ただただ真っ平だ。その床を覆うのは透明なガラスのような素材で、外側が透けて見える。

 真っ黒な壁だと思っていたのは、ガラス越しに見えていた宇宙空間だ。よく見ると星も月も見えている。ただ、この状態でなぜ空間全体が明るいのかは全くわからない。そう言うふうにセッティングされているんだろう。もしかすると銀河龍バーンの背面に見える巨大な月の明かりなのかもしれない。この明るさのお陰で戦闘に支障がないのは有り難い。

 眼下に見えるバーンとダグとシロエの戦闘はかなり激化していた。

 バーンは尻尾での鋭い攻撃に加え、大きな口を開き、そこから火球を放ち始めた。

 火球はバーン自身の頭部よりも更に大きく、もし直撃を受けたなら僕のレッドドラゴンでさえも余裕で飲み込み、全身を焼き尽くすだろう。僕の身体の半分ほどのフレイムダガーや、更に小さいティンガーロボなんてひとたまりもないはずだ。

 地上の2体のロボットはその攻撃を何とか躱しつつバーンの尻尾に、顔面にレーザーガンやハンマーで攻撃をしているんだけどダメージを与えているようには見えない。その証拠にバーンは怯むどころか、休むことなく攻撃をし続けている。

「ロムくん!私も攻撃してみる」

 そう言うが早いか、クロエの漆黒のティンガーロボが長柄のハンマーを構えて僕の背から飛び降りる。ティンガーロボの背中から増速ブースターが迫り出し、落下スピードがみるみる加速してゆく。恐らくスピードにモノを言わせてハンマーでの強烈な一撃を狙いに行ったんだろう。

 バーンがそれに気付き、首をダグ達地上組からクロエに向ける。

 無視される形になった地上組は援護のためレーザーガンやハンマーでバーンの顔面を狙うがバーンは止まらない。

 いよいよ巨大なハサミのような顎が開き、クロエのロボットを迎え撃つ体勢になる。このままだとクロエがバーンに呑み込まれてしまいそうだ!

 クロエを追って急降下をしていた僕は、バーンのように大きく顎を開き、喉の奥から大量の熱気を吐き出す。それと同時に僕の視界の正面に真っ赤な火球が姿を現した。

 更に大きく息を吐き出すと、火球は勢いよくバーンの口内に吸い込まれてゆく。クロエよりも早く!

 ゴバーンと言えばいいのかな、火球の爆発と打撃の音が広大な空間を震わせた。バーンを怯ませるには充分な爆発だったらしい。

 一瞬バーンが顔を背け口を閉じた。クロエのスピードは止まらない。だけどこれでクロエの進路上の危険は一瞬とは言え無くなった。

「くらえー!」

 クロエはスピードはそのままに増速ブースターの方向を変え、回転運動に入る。ハンマーの描く曲線は大きな円となり、まるで丸鋸のようだ。

 ガッキーンと高い金属音が僕らの耳をつんざく!

 クロエのハンマーはバーンの人で言うなら眉間に強烈な打撃を与えた!

「Gruruoooo……」

 大きくのけぞり、そのまま地面に横倒しに落下するバーン。重量級の体の落下に耐えきれなく、床の構造材が剥がれ砕かれて土埃となり濛々と立ち込める。

「やったか……⁉︎」

「それって死亡フラグよ?」

 車から降りたダグとミカが言い合うほどの余裕は出来たようだ。

 ダグの車を中心に僕ら3機も歩み寄り、土埃がゆっくり晴れてゆくのを見守った。

 ヤヨイさんも例の真っ赤なサイドカーを用意し、それで近寄ってきたが、ダグの言葉とは裏腹に全員武器を構えたままだ。

 予想通り土埃の向こうから大気を震わす甲高い咆哮と共に巨大な影がゆっくりと立ち上がる。

「まぁ、そうだわな……」

 ダグとミカが素早く車内に戻った頃には、その影の頭部あたりから血のように真っ赤な明かりが二つ並んで発光していた。

「散会するぞ、テメエら」

 シロエの言葉を合図に僕を残して後方にダグ、左右にはシロエとクロエが配置についた。ダイヤモンドフォーメーションってやつだ。

 バーンも土埃が晴れるまで我慢できなかったんだろう。砂のカーテンの向こうからゆっくりと進み出てきた。

 相変わらず風船のように空中を浮遊したまま近づいてきたバーンは、今度は首から頭部までをググッと持ち上げ、僕らをまるで見下ろすような体勢となった。

 あまりにゆっくりな動作なので、僕らは警戒しつつも攻撃をしなかった。何かの攻撃体制に入ったのは間違いないはずなんだけど。

 すると火球のように口を開くまでは今までと同じだったのだけど、今度は頭頂部の黄色い角がバチバチと爆ぜるような音と共に眩く発光し始めた。角は音が大きくなるにつれて放電し始め、ドンドンそれが激しくなっている。

「みんな、もっと離れるにゃ!」

 全員がマズいと直感したんだろう、全速力でその場から逃げ出した。

「Gryuuuuooooo!」

 バーンが鋭く咆哮すると同時に角の間から溜め込まれた電撃が、今さっき僕たちがいた場所はもとより、戦闘フィールドの至る所に降り注ぐ!まるで電撃の雨だ!

 間髪無く振り続ける電撃の雨が全員に襲いかかる。ダグのフレイムダガーはまるで出鱈目に駆け回り、ティンガーロボは嵐に吹き飛ばされる空き缶のように地面を這いずり回った。

 一瞬の……いや体感としては何十分も逃げ回った僕たちにはその静寂は突然だった。電撃の雨が終わってくれたようだ。バーンは鬱憤を晴らせて満足したようで、悠然と空中をフワフワ漂っていた。

 対して僕たちは酷いモノだった。

「どうやらタイヤがバーストしたみたいだな……」

  いつのまにかロボットモードになっていたフレイムダガーが、左腕の肘に付いているタイヤをさすっていた。煙が上がっていて、引きちぎられたタイヤのゴムがだらしなくぶら下がっている。

「もうカーモードでの回避は不可能です……」

 同期しているミカが悔しそうに呟いた。

「大丈夫かクロエ!」

「ごめん兄貴……ロボットモードには変形できないみたい」

「お前自身はどうだ⁉︎」

「ちょっと痺れたけど何とか大丈夫。でも次は……」

 ティンガー状態のクロエを、ロボットの短い手で抱えているシロエ。どうやらクロエが電撃を喰らったようだ。

「ミュート……こちらの状態は?」

「シールドで防いだから何とか。戦闘も変形も問題ないにゃ。出力が1割ほど落ちたみたいにゃ」

 この巨体で電撃の雨を避けきれないと判断した僕は、ロボットモードに戻り天に向けてシールドを構えて防御した。

 質量がない電撃だと思っていたんだけどそれは違った。

 まるで鉄球が落ちてきたかのようだった。黒い影が迫ってきたかと思うと、シールドの上にドスンドスンと衝撃が襲いかかり、全力で踏ん張っていないと押し潰されてしまうところだった。

「大技とは言えたったの一撃でこのザマかよ」

 フレイムダガーが左肘の損傷を気にしながら頭上のメカドラゴンを睨みつける。フレイムダガー自体が人間の顔そっくりに造られているため、ダグの表情をトレースし、ロボットの顔にも生きているかの様な表情が浮かぶ。

「みんな!大丈夫だった⁉︎」

 どこからとも無くヤヨイさんの心配そうな声が聞こえた。そうだ、生身でバイクに跨っていたヤヨイさんは大丈夫だったのか⁉︎

「私は何とか回避できたけど……」

 皆んなが彼女の健全具合を不思議そうに眺め、跨ったバイクがゆっくりと地上に着陸するのを見守った。

「ヤヨイさん……全弾回避したんですか?」

 余りのことに僕はロボットの姿で彼女に詰め寄った。

「うん!そう、その事なんだけど……」

 ヤヨイさんは銀河龍バーンを横目で見ながら、僕たちにある事を話し始めた。

 そう、いわゆる攻略法ってやつを!

ここまで読んで頂いて有難うございます。

書いていたらドンドン分量が増えてゆき、あっという間に20章です。


2ndシーズンはまだ続きます。

が、少しサードシーズンのお話を!

サードシーズンはいよいよギャラクシーウォーズ(仮)という話で、某スター○ォーズのような、

宇宙空間での戦闘機戦をしたいと思います。

登場させたい機体がいっぱいあるのですが、

読者の方も何か登場させたい機体はありますか?


もし有るようでしたら是非教えてくださいね♪

出来る限りお声に応えたいと思っています。


次回はいよいよ銀河龍バーンとの最終戦となるはずです。是非ともお楽しみくださいませ。


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