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Fゲーム2nd  作者: 塚波ヒロシ
14/26

第14章 天使と勇者のツバサ

こんにちはこんばんは!


お待たせしました、短いですが第14章を投稿致します。

仕事が忙しくて忙しくて!待って下さる人には申し訳ないです。

もしかすると9月もこんなペースになるかも知れませんが、出来る限り早くに投稿致します。


平日で申し訳ないですが、お楽しみください。

第14章 天使と勇者のツバサ


「共同戦線って……俺たち全員対スレイプニールって事だよな」

 ダグが確認をする。僕もそうだけど、この申し出には驚いたに違いない。

 そりゃそうだろう。昨夜のレースは「どっちのチームが試合に出るか」を決めるものだったはずだ。それを今更になって「どっちも試合に出るから、仲良くやろうぜ」って事になってしまったら、あのレース自体は何だったのかと言う話になる。

「まぁそうなると昨日のレース自体に意味が無いと思われるだろうな」

 僕の思っているそのままズバリをミヤザキ氏が口にする。

「チームブレイバーとエンゼル兄弟のプレイヤースキルの差は大して無い。だがしかし、マシーンの性能となると大きく差が開いている様に感じる」

 マシーンの性能だけを取り沙汰されると、いちレーサーとしてはあまり良い気分はしないな。

「エンゼル兄弟として、今回の龍が浜争奪戦のためにニューマシーンは用意したのだが、あのレッドブルのロボットモードを見るとな。あんな機体が向こうには5機もある。ワシらだけじゃスレイプニールのワルキューレ達には勝てんことがよく分かった」

「じゃぁ何かい?アンタらにレッドブルをくれてやれば、アンタらだけでも勝てるって言いたいのかい?」

 ダグが腰を上げようとするのを、エンゼル兄弟のスキンヘッドの方が手で制した。

「そんな事を言っちゃいないさ。あのスーパーマシーンを貰っても使いこなすのには時間が足りないさ。それに……」

 スキンヘッドは落ち着いた口調でダグに語り掛ける。思っていた以上に大人なのかも知れない。

「あの空母で見ただろう?あの装備を。俺たちエンゼル兄弟どころか、お前たちのチーム単独で戦った所で、確実に勝てる見込みでも有るのかい?」

 正直痛いところを突かれた。僕たちチームブレイバーも空戦用のニューマシーンは用意しているが、戦闘経験が無さ過ぎる。本来ならもう既に戦闘シミュレーションなり初めていなくちゃならないのだ。昨日の様なレースなんかをしている余裕は無いはずだっだ。

「あぁ、確かにそうだけど。そもそもコチラだけ有利になる提案じゃないか。スレイプニールは……」

「ええ、了承しています。全く問題ありません」

「え?」

 突然口を挟んで来たスメラギさんの回答に、ダグと僕は固まってしまった。

「そんな事になったら……」

「問題ないんですよ、私どもの戦力としては。そちらの人数が増えたとしても、我々スレイプニールが負ける事は有りません……」

 顔色一つ変えないスメラギさんに、むしろスキンヘッドが表情を険しくした。

「大した自信じゃねぇか……。おいチームブレイバー、聞いたな!」

 スキンヘッドの言葉にダグが立ち上がって応える。

「アンタら全員が良いんなら断る理由はないぜ」

 両チームのトップの意見が合ったようだ。確か昔の言葉で呉越同舟って言うんだっけ?そんな2人には視線を向けず、ミヤザキ氏がゆっくりと立ち上がった。

「細かい話はメールで知らせるとしよう。今お前らに言いたいのは、準備を怠るなって事だ」

 ミヤザキ氏の言葉を合図に、残りのメンバーが立席する。ダグが席を立つスキンヘッドに右の拳を突き出す。スキンヘッドも自身の右の拳を突き出し、ダグのそれと合わせた。

 ここに即席の同盟、言わばチームエンゼルブレイバーが誕生したんだ。


 チームブレイバーとエンゼル兄弟のレースについてのメールは、昼食後にすぐに送られてきた。

 両チームがどちらも龍が浜争奪戦に参加をする事。報酬に関しては別々で、エンゼル兄弟にはミヤザキ氏が、チームブレイバーにはヤヨイさんが支払う事。争奪戦に勝利した場合に報酬とは別に得られるものがある場合、両チームで分け合う事となった。

 そして罰ゲームの話。これに関してはどうやらミュートとヤヨイさん、スキンヘッドの方で勝手に話を決めていたらしい。

 ミュートに聞いたところ、エンゼル兄弟が僕たちに勝ったと言う証みたいなものが欲しいと言う事だった。ミュートとの交渉で、金銭的負担が無いものになったと言う事なのだけど、内容については教えてくれない。

 僕が覚えていることでは、何かしら「凄い格好をさせられる」と言う事だったはずだけど。

「セクハラ紛いの事なら、僕としても黙っていない」とミュートに伝えたんだけど、軽くあしらわれた。罰ゲームを受けるのはミュートだけと言う事になっているんだけど、僕としては気が気では無い。

 奴との約束では、今日の24時丁度。日付が変わった瞬間に罰ゲームが発動する事になる。丸一日、件の格好をしなくちゃならないらしい。余りにハレンチな格好なら僕の方からクレームを入れたいんだけど、当のミュート本人が内容を教えてくれないのだ。

「私は罰ゲームの間は、ドラゴンの機体調整をして部屋に籠るから!ロムも部屋を覗かないでね!」

 相当恥ずかしい格好なんだろう。顔を見る事すら許してはくれないんだ。ここまで来るとどうにかしてミュートの罰ゲームの姿を見てみたいとすら思う。めっちゃ叱られると思うけどね。

 エンゼル兄弟とのレースの事後処理も殆どかたが付いた。龍が浜争奪戦がスタートするまでの日数を計算すると、13日間。正直、準備をするには全然足りない日数だ。この間に飛行機酔いを克服し、ニューマシーンに慣れ、エンゼル兄弟との連携も練習しなくちゃならない。ミュートの罰ゲームがたった1日とは言え惜しくてならない。

 僕は僕でやれる事をやっておかないと。そう思った時に、ふと両親の顔が浮かんだ。そうだ、「百花繚乱」の事と、剣撃のモーションの事を聞いていたはずだ。

 ホテルのロビーのソファーに腰を下ろし、メールボックスを開くと、両親からのメールが3件届いていた。

 1つ目は父さんからのビデオだ。2つ目は母さんから。どちらも元気そうだ。2人とも僕の生活の事や、ミュートとの仲、今後のレースの予定について知りたがっていた。いっそ二人で一つのビデオに出ればいいのに。ケンカでもしたのかな?そんな様子ではなかったけどなぁ。

 僕は短めではあったけど、返信用のビデオを録画して両親に送っておいた。両親が僕のレースを見られるのは、来月に控えている「ギャラクシーウォーズ」の時だろう。 

 3つ目のメールには、レッドドラゴンのロボットモードで使用できそうな剣撃モーションのデータと、ドラゴンモードでの戦闘モーションだ。これに関してはミュートじゃ無いと扱いきれないので、ミュートに転送しておいた。レッドドラゴンに組み込む事で、ゲーム「ドラゴンハンター」のゲーム内戦闘モーションを再現できるようになるはずだ。

 同じメールには、それとは別に「百花繚乱」の事について少し書かれていた。

 詳しくは時間がある時にと言う事だったけど、もし情報が必要なら、ヤヨイさんとミヤザキ氏に確認をしてもいいとの事だ。

 その時に「百花繚乱の竜王夫婦」の許可を得ていると言ってみろとの事だった。恐らく僕の両親の、ゲーム内での二つ名なんだと思う。

 メールやビデオを確認しているうちに夕方の時間になっていた。一年中常夏のこの龍が浜、実際に陽が傾くのまだ先だけど、僕は時計より先に小腹が空いた事でそれを感じた。

「ミュートと海の家にでも行こうかなぁ……」

 何の気なしに独りごちた言葉に自分自身で納得すると、早速彼女に電話しようとウインドウを開いた。でもそれより先にヤヨイさんの館内放送で呼び出されてしまった。

「ロムくん、お客さんがロビーに来られたわ。悪いけど対応して貰えるかしら?」

 僕がロビーにいる事が館内カメラででも見えたんだろう。ヤヨイさんの声が天井のスピーカーから流れる。僕はウインドウを消して、スピーカーに向かって手を振り了承した。

 扇状のロビーの通路を通り、玄関の自動ドアの前に立つ。日除けに為にガラスにシェードスクリーンがかけてあり、昼間の間はガラス自体が真っ黒になっている。

 そのまま自動ドアは横滑りして開く。そこに現れたのは、見覚えこそあれ意外な人物だった。

ここまで読んで頂き、有難うございます。

少し短い章ですが、まぁ前振りの話なんでご了承を。


次から新しいバトルシーンに繋がる章に入ります。

早くバトルシーンを書きたいー!


ではまた次回も楽しみに待っていてくださいね。

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