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第3話 茶髪の姉さん、美恵ねえ

妹の紗季は伸一にベーシックについて説明しようとするが、うまくできない。頭を悩ませているところにある女性が部屋に入ってくる。

『ベーシックって知ってる?』


「ベーシック??んーと、、」


なんだろう。どっかで聞いたことあるような。


『んー。私もうまく説明できないのよね。あれ、なんていったらいいんだろう。んー。』


紗季が頭を悩ませていると。


《知らないなら教えるわ》という声とともに誰か入ってきた。


茶色に染めた綺麗な髪、色白な肌でおでこが見える。金のダイヤ型の小さなイヤリングをして、シルバーのおしゃれなスーツを身にまとう美人な女性。いったいこの人は??


すると紗季が『あ、美恵みえ姉だ!!」

と叫んだ。


すると、女性はちょっとまゆを下げて

《その言い方、見えねぇに聞こえないかしら》

とつぶやく。


みえねぇ???

どっかで聞いたことがあるような。。。


んー・・・あ!

思い出した。


「もしかして、幼い時によく実家に遊びにきてくれていた、いとこのみえねぇさんですか?」


《せいかーい♪》


やっぱりだ。みえねぇさんは親が海外で働いていたから夏の間だけでロサンゼルスから日本のうちの家に遊びに来るねえさんだ。英語は流ちょうだし、頭の回転も速いし、それに確か今は・・・


『みえねぇ、このまえ、なんか番組にでてたよね!』

紗季が両手を顔の下に下げて興奮気味に語る。


《あ、みてくれてたの?そうよ、FinTechフィンテック最前線ていう特集でね。ちょこっとでただけだけど。あ、ちなみにこのベーシックを政府に提案したのも私よ》


みえねぇは今会社を経営しながら、社会起業家としても活躍している。


『みえねぇ、すごーい!!☆』


あ、もう紗季の目が☆になっている。昔からそうだが、紗季はみえねぇを尊敬しているんだ。


《で、さっきの続きだけど、ベーシックっていうのは、国民一人一人の生活に必要な最低限度のお金を支給する仕組みよ》


聞いたことがある。そのベーシックか。


「え、でもそんなこと可能なんですか。2020年のときだったか、政府が10万円給付したとき、だれか政治家が〈金が貯蓄にまわってしまった。経済をまわさないといけないのに〉って言ってませんでしたか?」


《あれは、一回だけだったからでしょ?そりゃ、もったいなくて使えないわよ。でも、毎月もらえるんだったら?》


え、毎月もらえるのか!


「毎月もらえるなら、、、使いますね。」


《そう。毎月もらえるなら使う。そういうものよ。でも、その効果はもっと大きいのよ。何かわかる?》


え、なんだろう。うーむ。考えていると。


《それはね、貯金をする価値が相対的に減ったの》


「え?どーゆうことですか?」


《そうね。じゃ逆に効くけど、貯金ってどーゆうときするの?》


「そりゃ何か、物が欲しいときとか、将来に向けてお金が無くなったときに不安にならないように」


《そう。その不安がポイントなの。経済が下向きになっているとき、いつ仕事がなくなり、収入が無くなるか。それが多くの人の不安だった。だから、お金を使わずにため込んでいたの。それでお金が社会出回らないから、景気も悪くなってしまう。でも、毎月必ずもらえるという仕組みだったら?》


「不安が減る。」


《そう、だからお金が毎月もらえるということは無理してため込まなくてよくなったのよ。おじいちゃん、おばちゃん世代が一人あたり何億円をもったまま使わずに亡くなり、家を取り壊すときにタンスから1億円が見つかるというケースも多かったからね》


そうだったのか。ん?でもみんなに配るお金はどうやって集めているのだろう。


「でも、それって現実的なんですか?財源とかはどうするんですか?」


≪そう、その質問よく聞かれるのよ。もう何回聞かれたかしら。100回じゃ足りないかもね。≫



みえねぇは自信があるような顔で語った。



≪まず結論から言うと、このベーシックは財源があるわよ。初めは机上の空論ていう人が多かったけれど、私の説明を聞いたあとにはみんなできるかもという顔に変わったわ。じゃあ、順番に説明するわね。≫



まず、支給額の方だけど、大人は8万円。18未満の子どもは半額の4万円なの。


それで日本の人口で計算すると大体96兆円の予算が必要だわ。



96兆円。。。そんな額、まかなえるのか。




≪あ、いまそんな額難しいだろうとおもったでしょう?


じゃ、順番に説明するわね。


まず、医療費の方だけど、全員3割負担とするわ。高齢者は2割や1割という負担率だったけれど、みな平等に3割負担ね。

まずこれで20兆円の確保。


そして、生活保護の費用はベーシックとして支給するの。


年金も同様に、ベーシックとして支給するわ。


これで20兆円。


次に、土地や不動産への税率を上げるわ。

25兆円。


さらに産業ロボットを導入したことで、売り上げが上がったの。

会社間での人材の流れもよくなるように法改正をする。

すると法人税の税収があがるの。

15兆円増えるわ。


であとは、たばこ税と酒税の税率を上げるの。


これで+8兆円。




あとはギャンブルね。


ここから競馬やパチンコから税金を取る。


8兆円。


これらを合わせると大体96兆円になるってこと。




ね?現実的な話でしょ?




みえねぇは決め顔でそういった。


「たしかに、それなら結構現実的ですね。」


≪そうなのよ。このベーシック案を研究している方々がいて、こうしたらできるということを私にも教えてくれたのよ。その人たちの話を聞いて私も勉強したわ。もし興味をもったらネットで『ベーシックインカム案』と調べてみてね。勉強していく中で、これは実現させないと!と思って、私も活動を始めたわ。私の知り合いはベーシックの物語を書き始めた子もいたわね。≫


「そうだったんですね」

すごいな。まさか、こんなことができるなんて。


ん?でも毎月お金もらえたら仕事する人ってどうなるのだろう。


「仕事さぼっちゃう人が増えちゃうんじゃないんですか?」


《それも、よく聞かれたわ。特にバリバリ働いていた社会人にね。でも、逆に聞くけど、なんで働くの》


「え、だってそれは。食うために必要なんじゃ。」


《じゃ、国が最低限食べる分を保証したら要らないわよね。》


「でも、ほかにも社会に貢献するためとか。。。」


美恵さんが少し首を傾けると、少し悲しそうに微笑んだ。


《人の存在価値って仕事にあるのかしら?そもそも社会に役立たないといけないの?》


4話へ続く

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