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第2話 金髪の女性とメロンパン

ながい眠りから目を覚ました伸一は病院のベットの上にいた。すぐそばに女性がいることに気づく。しかもその女性は自分のことをまだ小学生のはずの妹の紗季というではないか。伸一は驚き聞き返す。

 『私!紗季だよ!』

と金髪の女性が言った。


「え、、?」

これは何の冗談だ。紗季はまだ小学校に通っている12歳のはず。いくらしばらく眠っていたからって。ふと、窓の外を見ると、桜は散って、青々とした木の葉が生えていた。ということは俺は2,3か月ほど寝ていたのだろうか。


『おにい!ねぇ聞いてるの?』

なんなんだこの女性は。妹のまねをして。


「あの、おにいって。冗談にもほどがある。まるで紗季が話しているみたいに、、」

『だから、紗季だって!』


「紗季はまだ12歳なんだ。こんな大人びた人は知らないよ。一体君はだれなんだ。」

ふと見ると、テーブルの上にあったメロンパンの食べかけは気になるが。


『12歳??ねぇ、おにい、今年って何年か知っている?』

「そりゃ、2025年だろ。もうすぐ大阪万博があるんだよなぁ。紗季も行きたいって言ってたし。」


『はぁ、やっぱり。。。』

「ん?な、なんだよ」

女性があきれている様子を見せた。


『おにいは何年寝てたのか知らないんだったね。』

「ん???」

どういうことだろう。


『もう大阪万博はとっくに終わったよ。今年は、2033年だよ?』

え、、、、、。。。

2033年?俺は2025年から8年間も寝ていたっていうのか。


「う、うそだろ?」

『本当だよ』

「2033年・・・」

あまりにショックだった。俺はそんなに長い時間、寝てしまっていたのか。

ということはあの見たかった映画も、アニメももうとっくに終わってるのか。てか、え、学校はどうなるんだ。もう退学って感じか?あと、友人のあいつらは、どうしてるのだろう。


伸一が色々と考えていると、女性が何やら空中を指でなぞりだし、ダブルタッチをする。すると、目の前にカレンダーの画像が映し出された。

『ほら、これ』

―2033年7月4日。

「・・・ということは、やはり俺は8年間も寝ていたということか」

『そうだよ。お陰で身体の傷も治ったみたいだしね』


急にニコニコ顔をし始める女性。

『富良野メロンパン、待ってたのにな~~~☆』


あの時の富良野メロンパン。このことを覚えているのは1人しかいない。

ということは、、、


「そっか。。。ってことは、君は。」

『そう、私!妹の紗季だよ!けっこう大人っぽくなったでしょ?髪も金髪に染めたんだ~。もう街歩いてるだけで声かけられちゃうの~。や~まいった、まいった(笑)』


あの黒髪だった紗季が。あの頃は染める気はないって言ってたのに。しかも、金髪はないかな~って言ってたのに。そんな、まさか。俺は下を向いた。

この変化が俺に膨大な時間が過ぎ去ったことを感じさせるのには十分だった。


『ちなみにもう20歳で、お酒も飲めるよ♪最近は梅酒にハマってるんだ♪』

酒まで飲むとは。。いや~遊んでるだろうな。そうか、あんなにかわいかった紗季がもう20歳なんだな。。。


「俺は本当に長い間寝てたんだな。。。」

『もう待ちくたびれちゃった。メロンパン。おにい全然帰ってこないんだもん。心配して玄関出たら、近所の人が教えてくれて。。。もう、本当心配したんだから!』

急に顔をしかめてこっちを見つめる。そうだよな、心配をかけたよな。


「ごめんな。心配かけたな。あとそれに、メロンパンだよな。退院したら買ってくるよ」

『いや、別にいいよ。今ここで頼めるし』


すると、紗季はまた空中をなぞり、今度は別のところをダブルタッチした」

「何をしてるんだ?スマホは?」

『スマホ?あー、あったねぇ。おにいたちの世代はよく使ってたっけ?』


え、もう使ってないのか。


『これはメルホっていってバッチャール空間でタッチして操作するの。ちなみにこの指輪をはめていればどこでもできるんだ~』

といいながら、銀色の指輪を見せつける。

『だからもう、スマホの時みたいに落としたり、画面を割ったりしないってこと。あ、来たかな』


コンコン!病室のドアを誰かがノックしている。すると、背が低いロボットが入ってきた。白いボディに、黒い顔のディスプレイの上に青色のライトで目、鼻、口が表示され、ニコッとしている。


《紗季さま!お待たせしました。全国どこでも3分で届けます!イーティングサービスです。こちらご注文の富良野メロンパンです。》


『ありがとね!』

《ご利用ありがとうございました!》

ロボットはぺこりとお辞儀をすると、病室を出ていった。


「へー。すごいもんだな。今はもうロボットが運ぶのか」

『そうだよー。すぐに届けてくれるし。知らない人が来るのは苦手っていう人もいたからね。今はロボットが運んでるの』


8年でかなり技術も進歩したんだな。。。

と、ふと以前の記憶を思い出した。

「あぁ!そういえば、就活してたんだ!!やべぇ、どーしよ!今からだと探してもあれだよな。俺ももう28歳になってるし。」


『ん??おにい、なんで焦ってるの??』


「え、だって仕事がねぇと食べていけないだろ!働かざる者食うべからずだろ」

すると、紗季は首を横にかしげた。不思議そうな顔をして俺を見つめている。


『・・・おにい、いまは働かなくても生きていけるんだよ?』

ど、どういうことだ。


「え?そんなばかな」

『ねぇ、ベーシックって知ってる??』

 3話に続く。

















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