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透明の「扉」を開けて  作者: 美黎
5の扉 ラピスグラウンド
114/1936

切り替えて、進む事


私は出発が嫌いだ。


シャットに出発する時は、楽しみが待っているのが分かっていた。それでも、あんなに寂しかった。

それが、今度は灰色の世界へ行くというのに寂しさもついてくるなんて…………。

行くとは決めたものの、心はやはり軽くはない。

駄目駄目、本当、今からこんなんじゃ、先が思いやられる…………。



切り替えて、進まなくちゃいけないのは分かっているけど、心は中々思い通りにならない。

しかし、当然出発の日は黙っていても粛々と迫ってきているのだった。





あの後は、そのまま出発の相談も兼ねてウイントフークの所にベイルートを連れて行った。

カエル長老は「普通の虫とは違う」と言っていたけど、私はやっぱり心配だったし、一度見てもらいたかったのだ。


でも連れては行ったものの、ウイントフークに見せるのは、やっぱりちょっと躊躇した。

だって………なんか、同じ生き物でも虫だと容赦なく弄られそう?分解、されそう…?朝が喋った時も思ったけど、何だかとても危険な予感がしたからだ。

私は警戒して、いつもの部屋に入ってもウイントフークにくどくどと注意する迄は、ベイルートを置こうとしなかった。




「気をつけて下さいよ?絶対、ぜーーーったいギュッとしたりしないで下さいね??」

「しつこい。」


思った通り、私が肩から手のひらへ玉虫色のまあるいベイルートを乗せると、喰い入るように見つめるウイントフーク。見ただけで、普通の虫とは違う事がが分かるのだろうか。それともラピスには黄金虫はいないのかな?

その目が怖くて、ちょっと手を引っ込めてまた、くどくど注意してからテーブルに乗せる。

ベイルートはまだ喋らずに、黙っている。



「ふぅん?」


長い身体を縮めながら、顔をテーブルに近づけて凝視しているウイントフーク。

少しの間様子を見て、一応彼が言いつけを守っていると判断したので、屑石の箱を探りに行った。たまに少しだけ、癒し石にするのに丁度いい石が混ざっているからだ。


どれどれ………今日はいいのがあるかな?あ、ちょっと色が綺麗…。でも透明度が全然だな?でもこれだけ綺麗なら、何か別のものになったりしないかな?ん?あれは…………


「おい。あれはいいのか?」


勿論一緒に来ていた気焔に呼ばれて、振り向いた。

すると丁度、ウイントフークがベイルートを「ポチャン」とコップの水に入れた所だったのだ。


「ちょ!駄目ですよ!!」


何やってんのぉ~!ベイルートさんが死んじゃうじゃん!!

すぐさま叫んでコップを引ったくり、小部屋の流しに駆け込んだ。ザッと水を捨て、手のひらの玉虫色に話し掛ける。


「ああ~、可哀想に…。大丈夫ですか?生きてる?ベイルートさん???」

「は?ベイルート?」

「もう!…………そういえば言ってなかった…。」


「まぁそんな事は今はいいんです」とブツブツ言いながら、気焔が差し出してくれたハンカチでベイルートを包む。

そう、いつも私の涙腺君がアレの時に出してくるやつね。


「大丈夫かな…。」

「おそらく半分石のようなものだから、大丈夫だろう。」

「え?」


気焔にそう言われて、私が固まった。

石?この、虫が?まぁベイルートさんの石に色はそっくりだけど………。そんな事あるの?でもシンも石だしな………。でもそれはまた、別……?


「これは…。もしかしてあれか?」

「おそらく。詳細は分からんが、それに近いものだろうな。」



二人が何やら難しい話を始めたので、私はもうベイルートを拭き拭きするのに専念する。しかし何しろ小さいので、そう拭く所も無い。

すぐにハンカチの上を、よじよじ移動し始めた。


「良かった…………。」

「ウイントフークが試した通り、俺は大概の事は大丈夫だぞ?多分、分かっていたから水に入れたのだろう。あいつの言う通り俺はほぼ石みたいなものだからな。」


よじ登ったベイルートは私に向き直ると、徐ろに喋り出した。


「え?そうなんですか?石みたい、って…?」

「ああ。虫になるには殆ど力を使わないんだ。だから、色々出来るのもある。人なら石を持つが虫に石は持てないだろう?だから虫の形をした石、みたいなもんだ。」


え。全然分からない。

あの二人は分かったのかな?

チラリと小部屋から顔を出して、ソファーに戻っている二人を見る。

気焔から説明を聞いたのだろうか。もう追求は終わったらしく、二人は何か違う話をしているようだ。

とりあえず、ベイルートをまた肩に乗せ私も気焔の隣に戻り、座る。ちゃっかり、お茶の支度をするのも、忘れない。


そのままお茶を入れつつ二人の話が終わるのを待っていた。

私はウイントフークにお願いが、ある。その話をしようと、話の切れ目を待っていると肩からブン、と飛び立った音がした。


え!飛んだ!いや、飛べるって言ってたけど?


ベイルートは私が届かない上の棚に飛んで行ってしまい、キラリと光るお尻が見えた後、姿が見えない。


「え?ベイルートさん?!」


私が一人で騒いでいると、ベイルートはひょっこり顔を出し、「これがいいんじゃないか」と言っている。


「これ?でも………見えない…。」

「ああ。しかし、本当にベイルートか?」


そう言いながら立ち上がり、棚の物を取ってくれたのはウイントフークだ。

もう片方の手でベイルートさんをヒョイと掴むと、一緒にテーブルに下ろす。どうやらベイルートが言っていたのは、中々いい大きさの水晶の原石だった。

そう、実は私がウイントフークにお願いしたかった物は石だった。石と言えばウイントフーク。すっかり忘れていたが、そういえばウイントフークは石屋なのだ。


「よりにもよってこれか?高いんだぞ?いや、金は取らんが。」


確かにベイルートお勧めの石は、中々の透明度で綺麗な石。全体に白っぽいが半透明くらいで、大きさもそこそこ大きい。この世界ではいいお値段がしそうなものである。


実は私が欲しい石というのは、また出発の時にみんなに渡す、癒し石を作る為の石だ。

ティラナやリールには、身に付けられるように小袋に紐を付けてあげたいので、小さいもの。

ルシアにはお部屋に飾れるよう、何か綺麗な原石がいいなぁと思っていた。そう、丁度こんな感じの…。

ベイルートさん、流石、センスいいな?

丁度ルシアの家に合いそうな、そのベイルートの隣に置かれた石を見ながらもう一つ大きめの石をキョロキョロ探す。ハーシェルにも、大きい物が欲しかったからだ。

実は教会に置けるよう、その石でちょっとした像を作ろうと思ったのだ。

勿論、一人じゃ無理なのでヨークには話を通してある。ロランにまた会う事になるがやはりあのまま、また居なくなるのも今回は気が引けた。シャットに行くかもしれない事も聞いたし、きちんとまた話しておこうと思ったのだ。きっと、ロランとも長い付き合いになりそうだし?

前回も挨拶せずに居なくなった事を、やっぱり少し気にしていた私。今回きちんと話そうと思えたのは、気焔のおかげもあるかもしれない。

だって、きっと、いや絶対、工房に行く時はついて来てくれるだろうしね?

きちんと話す、と言うよりはなんとなくの蟠りを取り除いておきたかったのかもしれない。一応、きちんとお付き合いの断り自体は入れたので再度その話をする、と言うよりは職人としてのロランと、友達に戻りたかったのだ。

毎日、カップを使う度にそう思っていたから。


「ウイントフークさん、大きめの石って他にありますか?」

「これよりか?…………ちょっと待ってろ。」


「高いんだぞ…………」とブツブツ言いながら小部屋に入って行ったので、なんだかんだで用意してくれるらしい。


そのまま待っていると、薄いグレーのような、茶のような色の大きな石を持ってきてくれた。これもまた、ルシアに選んだ原石に似て、半透明の綺麗なグレーというか薄いコーヒーの様な、色。中々、いい感じの像になりそうじゃない?

私が何に使うのか、説明を始めると「それならいいな。出来たら見に行こう。」と乗り気だったので、心置きなくもらう事にした。

あとはイオスのお店に置く用と、ウイントフークはどうするか聞いたら「試作で余ったのがあるからいい」と言うので甘える事にした。

何だか沢山お世話になっているので、いつか物凄く良いものをプレゼントしなくてはいけない気がしてきた。うーん。あ。でも。お母さんで、いいんじゃない?

うん、名案。


私が一人でドヤっていると、集めた石をまとめながらウイントフークが座るように言う。

「グロッシュラーに行く時な…。」と言っているので、聞かねばならないだろう。また、胸焼けのする話か………。

ハァ。何かいい話、ないかな?



「お前、あの娘とは別の移動だ。」


?あの娘ってレナ………だよね?別?

パチクリしながら聞き返す。


「別…って?っていうか、名前覚えて下さいよ!レナですよ、レ、ナ。」

「ああ、そのレナだが。レシフェと一緒に先に行かせる。お前とは身分が違うから、一緒にはどの道無理だからな。」

「え?移動もですか?……大丈夫ですよね?レシフェが一緒なら。」


少し考えて、レナの安全を確認する。別なのは心配だけれど、レシフェがいるなら大丈夫な筈。


その時丁度、何処にいたのか全く気が付かなかったが、レシフェがやってきてウイントフークの隣に座った。寝ていたのか、欠伸をしながら変えたままの黒に近い濃いグレーの髪を、束ね始めた。ウイントフークと同じくらい、背中の中程までの、でも変わらずふわっとした髪。前髪が長くて、ちょっと邪魔そうだ。


「なるべく早目に会えるようにはするが、振る舞いには気を付けろよ?お前は向こうでは見習いの中では最上級のレベルだ。かたやレナは貴石の見習い。普通なら言葉も交わす事は、ない。」


そのレシフェの言葉に物凄く、現実感と寂しさがぐっと込み上げて、つい隣の気焔の服を握る。それを目の端に捉えているであろう、レシフェが気焔にも声を掛ける。


「お前も普段よりもよ~く、気を配ってやれ。何とかこいつの元に送り込めるようにするつもりだが、慣れる迄はキツいだろう。レナの方は解っているから大丈夫だと思うが。」


「レナは、解っている」。

そう、きっと元々グロッシュラーから来ているレナにとっては、もしかしたら普通のことなのかもしれない。

でも。私達は友達だし、勿論どっちが上下とか、無い。でもグロッシュラーでは今迄のようには、会話も出来ない。そんなの、辛くない訳、ないよね………。


「あいつは、解ってるよ。あの中から選ばれてシャットまで来てる。お前が思うより、よっぽどタフだ。お前はなぁ…………。うーん。」

「な、なに………?」

「ちょっとな。まあ、でも、それがお前のいい所だからな…。いいんじゃないか。悩めば。」


え。完全に、他人事。

まあ、そうなんだけど。


レシフェにもポイと投げられて、ちょっと凹む。

…………でもなんかな?こうして、ちゃんと「悩んでいい」って言ってもらえるだけでも、楽かも。

病んでるな………。

基本、楽天的で、そうモヤモヤする事がない私。

この、ぐるぐると暗い所で悩んでいる状態に慣れていないのだ。だから、なーんか嫌な感じがしちゃうんだよね…。


「ま、でも良かったじゃないか。とりあえずはベイルートもお前と一緒に行けるんだし、気焔、朝もいれば大分心強いだろう?」


そう、ウイントフークが言う。

確かに、ここにベイルートがいるのは大きい。一人、大人の人が増えるだけで(虫だけど!)大分心強さが違う。

「ベイルートさーん…」と指でツルツルした背中を撫でながら、情けない声を出す私にベイルートが言った。

いつもの、キッパリとした口調で。


「お前、あっちで店をやるんだろう?俺がいるからその辺は任せろ。嫌な部分がデカいから仕方が無いが、それは、それ。逆に言えば、身分を用意してもらってるからお前が好きなように店自体は作れるぞ?どんな風にしたいんだ?考えてるか?」


あ。

そうだった。確かに。


ベイルートに言われて、自分がすっかり店について何も考えていない事に気が付く。

マズくない?これ。レナと、ちゃんともっと詰めとかなきゃ!

ハラリと重い幕が一枚、捲れた気がした。


「そうだ。フェアバンクスがお前の為に、中々のポジションを用意したようだぞ?元々あそこは銀の家だからな。」

「銀の家?」


どっかで聞いたな…………?んん?

あ、ベオ様か。


私がポン、と手を打っている前でウイントフークが説明してくれる。この前殆ど聞いていなかったのが、バレているようだ。


「デヴァイでの家格がグロッシュラーでも共通して使われる。まあ元々同じだからな、あそこは。上から金の家、銀の家、白、黄、赤、茶、青はもう分かるだろう?その中でまた力の強さで割り振られる。勿論、お前は力もあるから結局最上級なんだけどな。」

「レナは?貴石ってどうなるんですか?」

「そっちはまた管轄が別になるが、あいつは力が強いからシャット行きに許可が出た筈だ。貴石では紫か白に割り振られると思うが、その前にお前が引き抜けるようにレシフェに頼んでは、ある。」


ん?紫?白?引き抜き?

レシフェに、視線を移す。瞳の色は、同じ茶色。やっぱりティラナに似てるな…。


「頃合いを見て連れて行く。お前の店の下働きの様な形にはなると思うが、店に入っちまえば客がいなきゃ大丈夫だ。何人か連れて行く中から選ぶ形になると思うから、そう思っておけ。あとは……部屋付きも要るからな。しかし多分、レナとは別で取らなければならない筈だ。貴石見習いではなく、下級の中から選ぶ事になるだろう。信用出来るやつがいれば良いが。その辺は朝とベイルートの仕事だな。向こうに行ったら早めに探っておくように。」

「分かった。」


なんか…………面白い。

何処から見ても、小さな虫と真剣な話をしているレシフェ。いや、笑うとこじゃないんだけど。

ちょこっと、ベイルートが頷いてる所が最高に、可愛い。


あ。…………そういえば。

一応、私としてはやっぱり、気になる。まだ、謝って無いよね?


「ねえ。」


ちょっと、冷たい声でレシフェにそう言う。


その瞬間、少し、部屋の空気が緊張したのが分かった。きっと、私がこうなる事は予想していたのだろう。ベイルート以外の、みんなは。

この二人は……大丈夫なのか、と私が心配する事。

そう、シンと同じくベイルートも、レシフェのあの黒い光に消されたから。その後の私の様子を、ここにいる三人はずっと、見てきたから。


あの、目を開けた時にはもう、石だけしか残っていなかったベイルート。草の上に転がる綺麗な玉虫色の、石。涙が溢れてくるその瞬間の霞む視界までもが、今でもハッキリと思い出せるのだ。


そうして消えて、何故か今は虫を選んだベイルート。彼は今、どう思っているのだろうか。カンナビーを使われた事も、覚えているのだろうか。それが、全てレシフェの計画だった事も。

知って、いるのだろうか…?



きっと予想していたのだろう、レシフェがきちんとソファーから下り、テーブルの横に座る。

ベイルートと目線を合わせると、少し頭を下げてこう言った。


「謝って済む事じゃ、無い。が、悪かった。今はこいつの為に働いてる。」

「ああ。ま、いいさ。俺もこのままラピスで一生商売してるよりは、面白く暮らせそうだしな?」

「ベイルートさん………。」


そんな、軽く?………それで、いいの?


でもそれは、私が決める事ではないのだ。

そして、そんな返答をするベイルートを心底凄いと思った。


だって、虫よ?

一度死んで、それで虫になって、こんな風に言えるのって、凄くない?

なんで?なんでそんな、割り切れるの……?


手のひらに玉虫色の彼を乗せる。

目が合うように、腕を上げじいっと見つめる。


「なんで…………。」

「お前も、大人になれば分かるかもな?」


あれ。また口に出てた。


「ホントに大人になれば分かりますかね………。」

「どうだかな?」

「ちょ、酷くないですか?!」

「ハハッ!まぁでもそのまま、大人になって欲しいけどな?」

「無理じゃないか?」

「ちょ、酷っ!」


何だかワヤワヤした所で、私のお腹が鳴った。

何この、間抜け具合…。

そうして、笑われながらもまた少し色々な注意を聞いて、お昼を食べに帰る事にした。

出来るだけ、出発までは家で食べるようにしているから。


「とりあえず後は、多分出発の日だけだ。何かあれば話石を。準備は大体、揃ってる。」

「はい。ありがとうございます。コレも。」


貰った石をヒョイと上げてお礼を言う。


「ちなみにレナ達も、中央屋敷から移動ですよね?」

「いや。あいつらは森だ。」

「え?なんで??」

「そもそも、ラピスからグロッシュラーへ行く事は通常一族以外はあり得ない。今回特別措置でフェアバンクスがお前の為に許可したんだ。ここに来るのはな。だからあいつらだけ戻るとなると、屋敷は使えん。まあ大丈夫だ。俺が送るからな。」

「………そうですか。」


なんか………寂しいな。

でも、良い方に考えれば見送りが出来る、って事じゃない?森なら、多少ワヤワヤしても大丈夫だし?

そう、そういう利点も、ある。


さっきのベイルートの話を聞いて、私も何でもプラスに考えてみようと、思ったのだ。

これからは特に、そうだろう。

そうそう、考え方考え方。私はすぐ顔に出るから、コントロール出来る様になれって、それもレナに言われている。上手くやらないと、レナにも迷惑がかかるかもしれない。そう、これからは。

庇ってもらっていた、その世界は終わった。

これからは私がしっかり、レナを守るんだ。


「お前、気張り過ぎるなよ?」

「!」


早速レシフェに突っ込まれて、全然取り繕えていない事を自覚する。うん、でも何事も自覚から。プラス思考、プラス思考。

なんだか自分でやってて可笑しくなってきた。


「フフッ。」




とりあえず、レシフェ達の出発は二日後になった。それまでに癒し石を作らなきゃ。

少し、気分が上向きになってきたのが自分でも分かる。

やっぱり、ベイルートさんがいて良かった。

再確認して、手のひらの彼をまた肩に乗せると気焔と顔を見合わせ二人に挨拶をする。


「じゃ、地の日の朝。」

「森で?」

「そうだな。その方がいい。」

「私はレナを送って行きますね?」

「そうだな。水の時間に。」

「「水の時間に。」」


みんなで顔を見合わせ、頷くと部屋を後にする。


狭い通路を抜け扉を開けると、外が眩しくて顔を顰めるのは、何時もの事。

でもそれもまた暫くお預けだ。次にウイントフークに会うのは荷物を渡すお屋敷でだろうし、レシフェには見送りの森。ま、ここには時間があったら来ればいい。


わざと何も考えないようにまた狭い庭を抜けると、青の街並みをのんびりと二人で帰る。


あ、三人だった!

ボーッと歩いていた私は途中で肩のベイルートに気が付いて久しぶりの青の街を、ベイルートにくるくる回って見せながら三人で、帰ったのだった。


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