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6 2日目-1 喧嘩別れ

「あ、起きた?」


目を覚ますとケモ耳の女の子が顔を覗いてくる。

心配する女の子を眺めていると慌て始め隣にいる何故か裸の女性と話始める。


「ねぇ!蛇が変なことしたから詩音が馬鹿になっちゃったじゃん!どうしてくれるの!」


なんだこいつ失礼な。


「な、なんじゃと!お主が側に居るせいでシオンに馬鹿が移っただけじゃろ!」


いや全裸の人にそんなこと言われたくないわ。


ガミガミ言い合う二人を見つめているとケモ耳っ娘が話し掛けてきた。


「詩音大丈夫?お姉ちゃんの事分かる?」


ん?お姉ちゃん?ああそうか、私死んでお姉ちゃんと転生したんだった。

じゃあ隣にいるのは白蛇の繭さんか。うーん、上手く頭が回らないや。


「おはようお姉ちゃん、繭さん。ここはどこ?」


お姉ちゃんが答える。


「ここはこの蛇の塒だよ。ほら、拠点にしようって言ってた湖の隣にある岩壁の穴」


繭さんが頷く、どうやらあの後気絶した私をお姉ちゃんが抱えてここまで運んだ様だ。

最初は繭さんが運ぼうとしたらしいがお姉ちゃんが攻撃してこようとしたので諦めたそうだ。


「それにしてもびっくりしたよ、いきなり倒れるんだから」


「そうじゃよ、シオンが倒れた後この狐が狼狽して妾に敵意を向けて攻撃しようとしてきて危ない所じゃった」


繭さんはやれやれといった感じでお姉ちゃんを見る。

お姉ちゃんは繭さんを凄い顔で睨む。


「まぁまぁ、繭さんが悪い訳じゃないから。一日も立たずに色々ありすぎて脳が情報を遮断した結果だと思うし、まぁ気絶した切っ掛けは繭さんだけど…」


「ほら!やっぱり蛇の仕業じゃん!あっちいけこの痴女!」


お姉ちゃんは私に抱きつき繭さんに怒鳴る。

違うからと言いながらお姉ちゃんの頭を撫でる。


「ちっ、痴女じゃと!言ったなこの狐!先までは我慢しておったがシオンが起きたならもうよい!お主のその腐った脳みそお主の体ごと食ってやる!」


どうやら私が気絶してる間にも何か言い合っていたらしい。


そう言って周りの魔力を吸い白蛇の姿に戻る。

ソレを見たお姉ちゃんも周りの魔力を集め大量の火の玉を作り中に浮かべて言う。


「やっと本性を現したなこの蛇め!お前なんか蒲焼きにしてこっちが食ってやる!」


睨み合う二人。お互いが物凄い殺気を放ち何時攻めようかとタイミングを図っている。


はぁ、なんでこんなに仲が悪いのか。そう言えば狐って蛇の天敵だったっけ?でも繭さんは魔物だし、お姉ちゃんはお姉ちゃんだしなぁ。


呑気に考えているとお姉ちゃんが火の玉を1つ繭さんに放つ。

それは繭さんに当たる前に何かに当たりはぜる。

繭さんに動く様子はなく、お姉ちゃんもそれ以降動かずまた最初のように睨み合う。


繭さんが攻撃しない理由はお姉ちゃんの隣に私が居るからだろう。攻撃対象はお姉ちゃんだけと言うことだ。

これは私がお姉ちゃんを止めないと駄目だよね。


「お姉ちゃん」


「ごめんね詩音、すこしまっ」ベゴッ


思い切りお姉ちゃんの頭を殴る。

お姉ちゃんは目を白黒させながら踞る。


それを見て繭さんがざまあみろと嗤う。

私は嗤ってる繭さんの顔の前にいく


「そうじゃろう!あんな馬鹿狐は嫌じゃろぅ!クックック…おい狐、なにか言い残」ボゴッ


私は繭さんの鼻を思い切り殴る。

繭さんは一瞬目を白黒させたが直ぐに立ち直り驚愕の表情で私を見つめる。


私は一度ため息を吐き、息を大きく吸って叫ぶ。


「二人共嫌い!」


そう言うとお姉ちゃんは涙目になり、繭さんは絶望した顔をする。


「なっ!ねえ詩音、嘘だよね?その蛇に何か言われたんだよね?お姉ちゃんがそれ倒してあげるからそんなこと言わないでよぅ…うぅぅ」


「シオン!それは無いじゃろ!折角仲良くなれたと思ったのに…。狐か?狐に何か吹き込まれたのじゃな?安心せい、妾がそこの狐を食い殺してやる」


二人が私に抱きついてくる。繭さんいつの間に人になってたの。


抱きつく二人を引き剥がし話を続ける。


「そう言う所が嫌いなのよ!何で二人共喧嘩するのよ!」


「「だってこいつが…」」


「だってもなにもない!繭さんはお姉ちゃんに冷たすぎよ、流石にお姉ちゃんが可哀想。そしてお姉ちゃん!子供じゃ無いんだから悪口ばっか言わない!繭さんに失礼でしょ」


二人を見る。繭さんは私の言った事を理解はしているが納得していない様子。

お姉ちゃんは思うところがあったのか俯いている。


てか転生してから怒ってばかりだな…、こんな自分が嫌で悲しくなってきた。


「繭さんごめん、私達行くね。お姉ちゃんはこんなんだけど私の大切な人だから、これ以上怒りたくないの。少しの間だったけど繭さんに会えて楽しかったわ」


繭さんの事は好きだけどそれ以上にお姉ちゃんが大切。血は繋がってないけど家族だと思ってるから。

繭さんには嫌な思いをさせてしまったな、だけど一緒にいるとまた嫌な思いをさせてしまう。


繭さんは何か言いかけたが止め、その場に座り込む。


「ありがとう、さよなら」


そう言い残し私達は洞窟を出る。



ーーーーー



洞窟を出たときには辺りは真っ暗になっていたがはっきりと物が見えるので問題なかった。


あれからかなりの時間を歩いた。

お姉ちゃんは怒ったり泣いたりして疲れていたのだろう、開けていて休憩できそうな場所を見つけた頃には私の背中で寝息をたてていた。

本当に魔物の体は有難い。暗闇でも問題なく活動できて力も体力もある。


お姉ちゃんを背中から下ろし木にもたれさせる。

その隣に座り、ポーチの中から梅もどきを出して食べる。


私も少し寝るかな。


空は少し明るくなってきている。このまま起き続けるとお姉ちゃんが起きてからの活動に支障が出るかもしれない。


梅もどきを食べ終え、種を地面に植える。土で手が汚れたが練習がてらに水魔法を使い洗い流す。


そして目を閉じて意識を手放す。



ーーーーー



「ふぁぁ、お姉ちゃんはまだ寝てるのか」


目を覚ましお姉ちゃんを見るが熟睡している。


日は高く上っている。丁度お昼くらいかな?


喉が渇いたので魔法で水球を作る。

そこに唇をあて、吸うようにして水を飲む。ついでに余った水で顔を洗う。


風魔法が使えたら乾かすのが楽なのに。

風魔法は使いたいが風は目に見えない分イメージがしにくい。

ちゃんとイメージしないと湖を作った時の様に暴走しかねないから無闇に使いたくはない。

だけど練習はしないとな、よし!試しにやってみよう!


私は風をイメージしながら魔力を集める。


「風…、うーん。ふわー、ふぁささー。うーん…。突風とか竜巻なら簡単にイメー」ゴウッ!ドカッ!


突風をイメージした瞬間、私は勢いよく飛ばされ木に叩きつけられる。


「うっ、痛ったー…」


背中を強打したが怪我はせず無事だった。

危なかった…。やっぱりイメージは大切だな、魔法の練習よりもまずがイメトレをした方が良いかもしれない。


「うぅん、今の音はなに」


今の音でお姉ちゃんが起きてしまった様だ。


「何でもないわ、おはようお姉ちゃん」


「おはよう詩音」


お姉ちゃんは目を擦りながら立ち上がり、大きく伸びをした。

まだ眠そうだな…そうだ


「お姉ちゃん水飲む?」


と言って水球を作る。お姉ちゃんは頷いて水球に顔を近づける。


「えいっ」


水球を移動させてお姉ちゃんの頭を包む。


ふっふっふ、これで目が一気に覚めるはず…?


おかしい。お姉ちゃんは何の反応も見せずそのまま水を飲み始めた。

しかも水球に手を入れ顔を洗い始めた。


思っていた反応と違いつまらないので水球を移動させて水を捨てる。


「ありがと詩音」


お礼を言われた。


「どういたしまして」


そして、何かごめん。


そしてその後、風魔法を使って頭を渇かそうとしたお姉ちゃんが私と同じ様に突風で飛ばされ、木に叩きつけられる。


この音だったのかとお姉ちゃんは笑う。つられて私も笑ってしまう。

笑いあった後にお姉ちゃんは思い出したかのように言う。


「あの蛇には悪いことをしたね…次会えたら謝ろう」


「そうだね、謝れば許してくれると思うよ」


お姉ちゃんを励ます。お姉ちゃんは笑いながらそうだといいなと言う。


繭さんはあの喋り方でお姉ちゃんにあんな態度をとってはいたが、塒を壊してしまった私達を許してくれて、私が倒れたときに塒を使わせてくるような優しい方だ、謝れば許してくれるだろう。

後、私も怒って飛び出した感じになってしまったのでそのことは謝りたい。


私がお姉ちゃんを撫でてると離れた場所から声が聞こえる。


「また同じ方角から大きな音がしたぞ…」


「ちっ、嫌になるぜ。蛇神がご乱心だから様子を見てこいって言われて来たら魔物共が暴れてるんだからよ」


「仕方ないよ…凄い殺気だったそうだし、魔物はおろか偶々いた人でさえ怯えておかしくなったそうだし」


「そうみたいねー。しかも同じ様な殺気がもう1つあったらしいわよ?」


「まじかよ…そりゃそういうのに敏感な魔物は発狂するわな。蛇神以外ここの魔物は小物ばかりだしな」


声は段々近づいてくる。


そして私達の目の前に声の主達が姿を現す。



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