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4 1日目-3 森との出会い

お姉ちゃんと手を繋いで森に入る。

なぜ手を繋いでいるのか、それはお姉ちゃんが「はぐれると危ないから」と言って凄く心配しているからだ。

多分お姉ちゃんは私の事を子供だと思っている。いや、確かにお姉ちゃんからしたら私は子供だろうけどこれでも前世は21歳だよ?この世界では分からないけど地球では成人だからね?

まぁお姉ちゃんが楽しそうだからいっか。


「それにしても静かだねー、動物が全然いないや」


とお姉ちゃんが周りを見ながら言う。


「そりゃあんな大きな爆発があったら皆逃げるでしょ…居るとしたらこの世界だと…強い魔物とかじゃないかしら?逆に居ない方が安全よ」


「それもそうだね。あ、あの木に成ってるやつ食べれそうじゃない?」


そう言ってお姉ちゃんは木に成ってる赤い木の実を指差す。

あれは何だろう、小さいリンゴ?さくらんぼにしては大きいな…よく分からないが食べれそうではある。


「でもどうやって採る?私達じゃ届かないわよ」


赤い木の実は低い場所にあるものでも私達の身長の倍の高さにある。ジャンプしても届くはずもないし、木登りなんてしたことない。

採り方を考えていると周りの魔力がお姉ちゃんに集まっていく。


「ダメダメ!お姉ちゃんストップ!」


私は慌ててお姉ちゃんを止める。お姉ちゃんは凄い不満な顔をしているが下手に魔法を使って事故とか勘弁だ。


「お姉ちゃん、魔法は上手く使えるようになるまで無しで。それに私達って魔物みたいなものなんでしょ?だったら身体能力が高い可能性もあるし頑張ってジャンプすれば…」


私は木の実の下でしゃがみ、足に力を込める。

そして一気に足を伸ばし地面を蹴る。


お、案外とべ…え?


ベキッ!


「っーーー!」


木の実の高さまでは簡単に飛べた。だが想像より飛んでしまい木の枝に顔をぶつける。

その衝撃で木の実が幾つか落ちてきた。どれだけ勢いがあったらこんなことになるのか。

それより…


「お姉ちゃん!私の顔どうなってる?!ぐちゃぐちゃになってない?!」


そう、顔をおもいっきりぶつけたのだ。血が出ている感じはしないが物凄く痛い。


「だ、大丈夫だよ!鼻が赤くなってるけど血は出てないし潰れてもないよ!」


それを聞いて安心する。良かった、私の可愛い顔に傷が付かなくて。

私が顔をぶつけた木の枝を見てみると少し凹んでいる。おかしいな、私の体と同じくらいの太さがあるのに折れ曲がるなんて…きっとこの木は柔らかい材質なのだろう。


「でもこれで食料ゲットだね!」


お姉ちゃんがワンピースのスカートを籠代わりにして落ちてる木の実を拾う。あれでは中が丸見えだ、ドロワーズではあるが少しは恥じらえ。


「まぁまぁ量があるわね、試しにお姉ちゃん食べてよ。はい、あーん」


お姉ちゃんが拾ってきた木の実を一個掴んで自分のワンピースのスカートで軽く拭きお姉ちゃんの口に近づける。

お姉ちゃんは嬉しそうに木の実をかじる。


カリッ…もぐもぐ。

「おお、美味しい!甘酸っぱいカリカリ梅って感じ!詩音も食べてみなよ!」


そう言われたので私も食べてみる。

カリッ、うん!確かに美味しい!味は梅のジュースの様な味でお姉ちゃんがいった通り甘酸っぱいカリカリ梅だ。


「凄い美味しい!じゃあ残りはポーチに入れるわね」


私はお姉ちゃんの持ってる木の実…梅もどきをポーチに入れていく。

そして一個お姉ちゃんに梅もどきを渡して私は食べかけのを食べる。


「じゃあ探索の続きね、取り敢えず大きめの木の枝と大きい葉っぱを探しましょ、それでテントみたいな物を作れれば…」


「え?湖の隣の岩壁に洞窟あったよ?そこを家にすればいいのに」


「え…気付かなかった…お姉ちゃんよく気付いたね」


「ふふふ、流石でしょ?」


「ええ、流石ね!じゃあ焚き火用の木の枝と食べ物を探すだけでいいわね」


そうして私達は梅もどきをかじりながら歩き始める。



~~~~~



「こんなものかしらね」


日も傾き暗くなりそうなのでお姉ちゃんに声をかける。


ちなみに集めたものはこんな感じ


梅もどき約20個、ひらたけの見た目をしたキノコ両手いっぱい、魔力を帯びたキノコを2個、同じく魔力を帯びた草を3個。

梅もどきが結構手に入ったのは嬉しい。キノコは食べれるか分からないけど一応、後は魔力を帯びたキノコや草は使い道がありそうなので採っておいた。


「結構採れたけど種類が少ないね。もっと色々食べたいのに」


とお姉ちゃんが言う。


「そうねー、色々植物は生えてるけど何が何だか分からないし…」


当たり前だけど、採ったもの以外にも色々生えてはいた。

渦を巻いた植物やギザギザの葉っぱの草、紫色のキノコや他にも様々な物が生えていた。

だが、野草なんて詳しくないし、知ってたとしてもここは異世界。

無闇に食べて状態異常になるのは御免である。


「でもお腹壊すよりマシでしょ、そろそろ戻りましょ」


足元に落ちてる木の枝を拾い終わり湖の方に歩き出す。


そう言えばあの湖って湖じゃなくて池なのでは?でも池と湖の違いって何だろう、そう考えると沼も選択肢に入るのか?池か沼か湖か、うーん湖でいっか。あ、探索した場所に川があったから繋げても良いかも!いや、流石に駄目だね。


等とどうでもいい事を考えていると隣を歩くお姉ちゃんが私の手を引く。


「お姉ちゃんどうしたの?」


「詩音、あれ見て」


そう言ってお姉ちゃんは私達から離れている少し開けた場所を指差す。

因みにお姉ちゃんは移動するとき毎回私の左手を握っている。なので基本お姉ちゃんが左側を、私が右側を探索している。

そして今お姉ちゃんが指を指した方は左、私があまり確認しない方だ。


お姉ちゃんが指を指した場所をを見る。少し開けてはいるが特に目ぼしいものはない。

そう思っていたが次の瞬間、大きな影が姿を表した。


「…蛇?」


そこには真っ白の体に赤い目をした蛇がいた。…大きくない?


「うん、しかも凄い大きいよ」


お姉ちゃんが大きいと言っている通り、凄い大きい。いや、異常な大きさだ。

テレビで世界一大きいアナコンダを見たことがあるがあんなのの比じゃない。

顔だけでも私が両手を広げた位の大きさはある。体?知らないよそんなの。

この森の主なのかな?あ、こっち見た。


「これって大丈夫かしら、私達食べられたりしないわよね?」


「変なこと言わないでよ詩音。でも何かこっち来てない?」


お姉ちゃんの言う通り、巨大蛇はゆっくりとこちらに向かってくる。

こちらを警戒しているのか、もしくは獲物を狙っているのか。


こうなったら女は度胸!どうせ逃げてもこの森にいる限りまた会うだろうしこっちから近づいてやろう。


私は蛇に向かって歩き出す、釣られてお姉ちゃんも歩き出す。

蛇も私達の行動に気づいているが反応はない。


そしてすぐに両者は対面する。


蛇は私達が近くで止まるのを見るとこちらに頭を近づけ臭いを嗅いできた。

私達はそれが終わるまで動かずに蛇を見つめる。


満足したのか蛇は頭を離して私達を見つめる。

そしてゆっくりと蛇の口が開いた。ヤバイ!食べられるかも!と思った瞬間


「妾の塒を壊したのはお主らじゃな」


どこからか声が聞こえた。

え?誰?お姉ちゃんを見るがお姉ちゃんも誰の声か分かってない様だ。

私達が周りを見渡していると


「塒を移動させた後じゃったから良いんじゃが何故あの様な事をした?」


また声がした。しかも蛇の方から。

蛇を見る。蛇は首を傾げてこちらを見る。

そして口が動き


「言葉は通じているのであろう?なぜ無視をするのじゃ?少し悲しいぞ」


蛇の口の動きに合わせて声が聞こえる。

これって…蛇が喋ってるよね?


「ねぇお姉ちゃん、私には蛇が喋ってるように聞こえるのだけど」


「奇遇だね詩音、私にもそう聞こえるよ。しかものじゃ口調で」


「聞こえるもなにも妾が喋っているから当たり前じゃろ。それに狐の、お主妾の事を馬鹿にしておらんか?」


「「しゃ…」」


「しゃ?」


「「しゃべったぁぁぁ!!!」」


驚いて大きな声を出す私達を見て、蛇は呆れた顔をしながらため息を吐いた。



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