高校生の物語3
さて、ケーキが来るまでの間に自己紹介を済ませてしまいましょう。
私は黒木赤音。高校二年生で来年は受験。しかし、頭は良くないし努力も嫌いなので名前さえ書けば受かる所を受けるつもりだ。父と母は私が物心つく前に他界しているが、顔も覚えていないので特に感傷はない。今は公営住宅で国からもらえる特別配給券を糧に生活している。
「オマタセイタシマシタ」無機質な声とともに給仕ロボットがケーキを運んでくる。
そしてアームでケーキを配ろうとするが、ジョイントの調子が悪いのか途中で止まってしまう。
「いーよ、自分出とるから。」詩織はそういうと馬鹿みたいにでかいパフェに手を伸ばす。
かれこれ勤続40年近いロボットである。不便なところもご愛嬌だ。私もケーキに手を伸ばす。
「いっただきまーす!」詩織がパフェにがっつこうとする。しかし、私は見てしまったのだ。その後ろから猛スピードで車が、完全に制御されたはずである無人の無人自動車がこちらに突っ込んでくることに。
音と衝撃と供に弾き飛ばされた。宙を舞う私の目には、首の付け根や胴の中央で千切れた友人だったもの、あちこちに散らかる赤い欠片、家具と調度品の残骸が映る。
えっ…何でこんなことに。
意味が分からないよ…。
遠くからサイレンの音と野次馬の騒ぎ声が聞こえる。
取り敢えず店から出よう、この惨状から逃げようと立ち上がろうとしたとき、私は自分の左足が付け根から無くなっていることに気付く。
「あぁぁぁっーーーー!」その途端に今までなんともなかった筈なのに、痛みが土石流の様に押し寄せる。
「大丈夫ですか!」いつの間にか到着していた救急隊員が私に気が付き声をかける。しかし片足を失って大丈夫なわけないし、話をする余裕もないので私は叫びつづけるしかない。
「生存者1名発見。」
「救助対象の意識ははっきりしています。」
「鎮痛剤を投与します!」
車輪付きの担架に載せられ、私は店の外に出た。
現場はブルーシートで完全に覆われ、野次馬どもは事故を目撃したショックの緩和とやらでカウンセリングのためにバスに集められている。人の不幸を喜んで見たがる奴等にそんな物が必要とは思えないが。
そんな事を考えているうちに鎮痛剤の副作用なのか。私は意識を手放した。