高校生の物語2
午後の授業を上の空でやり過ごした後、私達はだべりながらまっすぐな道を歩いている。平日だということもあり、通りには人よりロボット掃除機の方が多い。
「ピース、ピース、イェーイ!」
「…何やってんの、詩織。とうとう頭がおかしくなった?大丈夫、私はいつでも詩織の味方だからね。」私は監視カメラにVサインする痛い友人に言う。
「本当にカメラにピースする人っていたんだ…。」真帆がポカンと口を開けて驚く。
「いやいやいや、ちょっと待ってよ。そりゃないよ。」詩織が頭を書きながら言う。
「いい病院紹介しようか?」私がおどけるように言う。
「大丈夫、恥ずかしいことじゃないよ。」真帆も続ける。
「真帆まで。ひどいよ二人とも。」三人のからからした笑い声が重なる。
そのすぐ後ろを、完全制御された無人の自動車が走り去っていった。
この国には「カフェ」や「レストラン」という飲食店は非常に少ない。最低限の衣食住は補償されているこの国だが、嗜好品や娯楽物品の購入などには配給券が必要となる。日々の贅沢を少しずつ我慢して大きく高価な物を購入することが美徳とされており、これらのような場所で食事をする人間は勤勉さや忍耐が欠如しているとして偏見を被ることとなる。しかし、そんな目線を一切無視し堂々と店に入ってこられるのは若さゆえだろう。
「何たのむ?」真帆が聞く。
「苺ケーキ。それと紅茶。」私は答える。
「マンゴーパフェ。」詩織も答える。ちなみに、パフェはケーキの3倍の値段だ。
「真帆は何食べんの?」私が聞く。
「ブラックコーヒーとコーヒーのムース。」
「えっ?真帆ブラック飲めるの。」詩織が言う。
「本当イメージないよね。オレンジジュースしか飲めなさそうな顔なのに。」私も言う。
「えっ?じゃあオレンジジュースにする。」真帆はキョトンとした顔で言う。
「「いや、変えなくていいから。」」不本意にも詩織とタイミングとセリフが被ってしまった。本当に不本意だ。タブレットで注文を確定させ、送信する。私達は久しぶりのカフェライフ(そんな言葉があるのか不明だが)を満喫するつもりだった。