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第6話「地獄の死神」

 5月4日。

 今日は月に1回の練習試合の日だ。

 午前、午後に1試合ずつ試合行う。


 試合は、前半15分後半15分でハーフタイムは10分だ。

 同点になっても、延長戦やPKは行わない。



「では、第1試合は、西戸山小との対戦ですね。スタートはこれで行きましょう」

 FW:こじろう ジャエル

 MF:剛 拓海

 DF:達也

 死神:雄二 たんぽぽ

 GK:豪


「いいですか。FWとMFの4人は3分毎に交代します。パス回しをし続けるので、止まらないで下さい!」

「「「「はい!」」」」


「そして、死神ポジションの人たちは、ボールが出る度に交代します!フィールドにいる間は常に全力ダッシュし続けて下さい!」

「「「「はい!」」」」


「DFも5分で交代します!作戦通り、死神からのパスは逆の死神へロングパスをしてください!」

「「はい!」」


 そう、僕たちの2-2-1アライメントは、通常、ボールを持っているときは、FWとMFが時計周りか、反時計回りにボールを回して、DFのスキを作り、シュートを打つと決めている。


 ただし、死神ポジションがボールをインターセプトした時だけは例外で、逆側の死神はゴールに向かって何も考えずに、走って、そこにパスをするという、特例を作っている。

 ディフェンスがいようが、逆サイドの死神が間に合わないとかは関係ない。とにかくボールを奪ったら、逆サイドの死神にロングパスをする約束なのだ。

 こんな作戦聞いたことがないので、本当に上手くいくのか、怪しいもんだ…



☆☆☆



 試合開始。僕たちからのボールだ。

 FWとMFの4人は時計周りにパスを回しながら、相手DWがズレるのを待つ。


 でも、拓海君が蹴りミスって、敵にパスしてしまい、簡単にボールが奪われた。

 ボールが奪われたら、FWもMFもハーフライン以下まで、下がるのだが、死神だけは、猪突猛進でボールを追い続ける。

 雄二が前線でボールを追いかけ、相手チームの選手はDFにパスを出した。そこへ、もう一人の死神役のたんぽぽちゃんがボールを追いかける。

 追い詰められた相手チームの選手はまた、他の人にパスを出すのだが、たんぽぽちゃんのプレッシャーがきつくて、ボールを外に出してしまった。


 ここまで試合開始1分くらいだと思うんだけど、「選手交代!」と言って、たんぽぽちゃんと雄二君は交代ゾーンから外に出ていき、由香里と大樹君がフィールドに入ってきた。


 この交代に意味あるの??


☆☆☆

 

 サイドライン側。


「はぁーはぁー」

「はーはー死にそう」

 

「はっはっはー。雄二君、たんぽぽ。どうだった?死神になった気分は?」

「きついです…」

「うー。吐きそう…」


「ははー。でも見て下さい。あれ。西戸山の子たちは、由香里ちゃんと大樹君の二人に守られてハーフラインからこっちに来れません!」

「本当だ…」

「うん。死神ってフレックスだよね?」


「おしい!半分正解だよ。フレックスとストロングセーフティだね」

「あー。なるほど。それをちゃんと説明した方がいいけど、日本だと、フットボールを知らないもんね」

「そうなんだよね。例えがないから難しいね。死神でいいんじゃないかな。たんぽぽとの話は後でゆっくりするとして、健介君!正人君!」

「「はい」」


「いいかい?サッカーにおいて、サイドラインはディフェンスの仲間なんだ。1対1で戦うより、2対1で戦う方が有利だよね?」

「「はい」」


「だから、ディフェンスをするときは、相手と真正面を向くんじゃなくて、若干内っ側に寄せるように動いてもらっていいかい?そうすると、相手は外へ外へ進むことになるだろ?外へ行くと、もう一人のチームメイト、サイドラインが近付いてくる。そうなると1対1じゃなくて、2対1になる。それを意識して、フィールドに向かってほしいんだ!」

「はい!」


「お。大樹君が良いプレッシャーをかけたね。よしっ!健介君!正人君!GOだ!」

「はい!」



「ひゅーひゅー」

「はーはー」

「ははっ。二人とも限界っぽいね」


「ひゅーひゅー…死ぬそうです…」

「はーはー。今は…はーはー…しゃべれません…はーはー」


「はっはっはっ。しゃべらなくていいから見てごらん。西戸山小の子たちももう限界が来てるね。ほらっ。こじろう君たちのパス回しについていくのがやっとになっているよ。さあ、雄二君、たんぽぽ、そろそろ出番だぞ」


「ええ…もう」

「まだ息が…」


「真子ちゃん、希ちゃん。そろそろ3分だね、次にボールが出たら、ジャエル君、拓海君と交代だ!」

「「はい!」」



☆☆☆





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