第19話「フックにかけろ!」
細かいセットプレイの説明って必要ないですかね?
もし、読みにくいと思われたら、ご意見を頂ければと思います。
実体験を元にしていて、僕が感動したから書いているのですが、読み返すとなんだか重たくて…
5月25日土曜日。
今日の新戦術は、2-2-1作戦の変化系だ。
作戦名は「バックドア」。
2-2-1作戦では、FWとMFが時計回り、または反対周りをしながらパスを2回だして、FWが2ステップドリブルをしてシュートをするシステムだ。
だけど、このバックドアは初めに、MFがもう一人のMFにパスを出した後、FWの二人は突然逆回転をする。すると、相手DFは回転の流れに乗ってしまい、折り返して来たFWがフリーになる。そこでシュートをするという作戦だ。
これも、試してみると、何故か相手DFが反応できずにFWがフリーになる。
バックドアは「知ってるから出来ること」らしい。
サッカーはコーナーキックくらいしか、セットプレーがない。
なので、通常のプレー中に、セットプレイ、特に「バックドア」のような急遽折り返すような動きを組み込まれると、ディフェンスは反応出来ないらしい。
たしかにそうかもしれない。
上手いから、抜ける、とか、息が合っているから、抜ける、とかではない。
これは、知ってるから、抜ける、という新しい概念なのかもしれない。
と、僕は思った。
この「バックドア」も他の競技から輸入したものらしい。
たんぽぽちゃんのお父さん曰く、2-2-1作戦の慣れれば慣れるほど、「バックドア」は有効だから、後半1発目に使ってみる、ようだ。
☆☆☆
5月26日日曜日。
今日の新戦術は、コーナーキックからのセットプレイだ。
作戦名は「フック」。
まあ、ぶっちゃけコーナーキックからの「バックドア」だ。
コーナーキックに近い方のFWが逆のサイドラインに全力で走る。そして、中間地点でいきなり方向転換し、コーナーキック目掛けて戻って来る。
すると、ディフェンダーは方向転換についていけずに、FWがフリーになる。
そこから、パスを出したんじゃ、遅い。キーパーもDFも反応してしまう。
だから、FWが方向転換をするくらいで、もうコーナーキックは決め打ちでパスを出してしまう。
他の人たちも含めて、奥に行くので、みんな騙されて、手前の人数が減る。
Hookには「罠にかける」という意味があるらしく、まさに相手ディフェンダーは罠にかかってしまう。
これも、知っているから出来るプレーだ。
テクニックでも、スピードでも、根性でもない。
作戦を知っているか、知らないのか、だけ。
他の人の練習を見ていると、おおよそ、サッカーでは見ない動きだってわかる。
みんなが奥に走りだしてるのに、コーナーキックを蹴った瞬間、一人だけ戻って来るんだもん。
作戦って面白いかも。
☆☆☆
この日、事件が起きていたらしい。
家で、引きこもっている萌ちゃんの家に、前川先生が訪問した際、萌ちゃんが泣き叫んだらしい。
その泣き叫ぶ声があまりにも異常で、近所に住む人たちから、噂として広まり、僕のお母さんも知ることとなったらしい。
事件は、色んなところで起こってるんですね…
【作戦】
全ての作戦で、死神がボールを奪ったら、逆サイド死神の遥か前方へ緩いパスを出し、追いついた死神がシュート。
・2-2-1
FWとMFのパス回しからのドリブルシュート
・1-2-1-1
FWとMFのパス回しからサイドへパスを出し、さらに中央にパスを戻しシュート
一人目のFWを囮に使ったパターン2と、囮にしないパターン1に変化できる。
・180度バズーカ
2-2-1変化系
FWが中央でボールをもらってキープ。開いているスペースに走り込んだMFにボールを転がしシュート。
・バックドア
2-2-1の変化系
パスを出して、くるくる回転する動きから、FWが突如逆観点をする。そこにパスをだしてシュート。
【コーナーキック】
・2-2-1
コーナーキックの位置から、2-2-1と同じことをするだけ。
・1-2-1-1
コーナーキックの位置から、1-2-1-1と同じことをするだけ。
・リップ
MFとFWに一瞬スタックさせる。その位置ギリギリにFWを走り込ませると、そのFWがフリーとなる。そこへパスをだしてシュートをする。
・フック
バックドアの変化系。
全員がコーナーキックとは逆方向へ走る。がコーナーキックを打つ瞬間、FWが一人、折り返す。そこへパスをだしてシュート。