卒業パーティー
十八世紀、とある王国・エヴェーレン。
先代の国王が亡くなり十三代目国王・ザフィロが王座に就くと、飢饉や他国との戦争で崩壊寸前であったエヴェーレンを自らの政策により、もとの豊かな王国へと回復させた。そのため、ザフィロ国王は多くの民から慕われていた。
時は流れ、現在に至る。
春の時期に差し掛かった頃、名門校のエヴェーレン学園では卒業パーティーが開かれていた。
ザフィロ国王の御子息であり十四代目国王になる第二王子・アレクシスも、卒業生の一人だった。
エヴェーレンの規律で、次期国王は二十歳で王妃と結ばれなければならない。十八歳のアレクシスには、再来年にも結婚が控えている。
今年の卒業パーティーは、アレクシスの婚約者を決める特別なものでもあった。
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豪華絢爛なダンスホールは、多くの人で溢れていた。この会場にいる全員が、豪華な衣装に身を包んでいる。
豪華なシャンデリアの下で、グラスを片手に会話に花を咲かす者やたくさんのごちそうに目を輝かせる者、いろんな人で賑わっていた。
ここは王立・エヴェーレン学園。世界有数の名門校で、十五歳を迎える貴族あるいは名家の令嬢や子息は、三年間ここで学問に励む。立派な紳士淑女になるために、エヴェーレン学園は存在する。
今日は特別な日で、エヴェーレン学園の三年生が卒業し、それを祝うための卒業パーティーが行われている。
その大人数の中でひとり、ひときわ目立つ人物がいた。
シャンデリアの光を浴びて輝く銀色の髪。エメラルドを嵌め込んだような美しい碧眼。背が高く華奢な白い身体のラインを、より引き立てる夜空のようなドレス。
他の人とは違った雰囲気を纏っているが、それは多くの目線を惹き付けるものだった。
名前はメルディア・ジゼル・ブロッサム。
ブロッサム公爵家の令嬢で、学園の中でも優等生だった。
つまらなそうにしている彼女も、卒業生のひとりだ。




