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セラミックの激うま恐竜レシピ  作者: 印朱 凜
エピソード3 恐竜ずし
33/74

恐竜ずし 6貫目


 アメリカ調査隊のレーダー付きRHIB(硬式ゴムボート)が沖に出ると、α・βチーム共に暇になってしまった。

 コバルトブルーの海を眺めていると、セラミックは何だか南国へバカンスに来たみたいに錯覚してしまう。波打ち際に近寄ってみると、浅い海には見慣れないピンクのウミユリが……まるで花畑のように群生しているのが見えた。ブーツを脱いで潮干狩りのように足だけで砂浜を少し掘ると、三角形の二枚貝(トリゴニア)がゴロゴロと湧き出てくるように捕れた。


(ハマグリ)みたいに味噌汁に入れたらメッチャ美味しそう」


 彼女がバケツ一杯、三角貝を掘って帰ってくると、松上はサマーベッドにサングラスをかけて寝っ転がっていた。


「セラミックさん、ちょっと泳がない?」


 森岡世志乃が、なぜか大胆なビキニ姿で松上の前に姿を現したのだ。これ見よがしのマイクロビキニで、ブルーの海に映えるオフホワイトの上下であった。


「わお! 世志乃ちゃん、中生代に紐ビキニは色んな意味で無防備すぎるよ!」


 エロ青年に変貌している松上は、ベッドから飛び起きると同時にサングラスを下げて、森岡世志乃が誇る丁度いい大きさの美尻を目で追った。


『フフフ、見てる見てる……』


 熱視線のむず痒さを背に感じながら、森岡世志乃は黒髪をなびかせ、セラミックと吉田真美に向き合った。2人はしばし、ぽかんと口を開けたままだ。


「よし、私達もチャレンジしよう。セラミック、脱いでみな。今なら誰も見てないよ」


「ええ~!? 松上さんと松野下さんがいますよ」


「逆に全く誰からも見られていないと気分が萎えるから、いいんだよ2人には」


「マジですか……」


「マジマジ、ひょっとしたら我々が人類最初の『ジュラ紀でビキニ』のパイオニアになれるかも。SNSに投稿してみようか? もの凄い反響が今から目に浮かぶ。う~ん、こんなチャンス滅多にないよ」


「ひえ~!」


 ウエットスーツだった吉田真美は、背のファスナーを下ろし今年買ったボーダー柄のセパレート水着姿となった。グラマーで腰のくびれがハッキリした真美さんは、大人びてスタイル抜群であった。

 セラミックも一応水着を用意していたので、真美さんに手伝ってもらいながらバスタオルで隠しつつ、物陰にて着替えに移ったようだ。

 誰かが接近してくる……目ざとく状況を察知した男性陣だ。悪戯っぽく様子を見に来た松上と松野下に向かって真美さんは顔をしかめると、素早く何かを投げつけた。


「ほら! 女子高生の脱ぎたてパンツだよ!」


「!!!」


 思わず松上が眼前で摑み取った白い布製品は、先ほど松野下が履き古し、その辺に干してあった臭い靴下の片方であった。


「ぐえええ!!」




 セラミックはフレアバンドゥのセパレート水着に着替えると、3人で静かな入り江に向かった。遠浅なので巨大捕食生物は入ってこれないだろうが、各々ビキニ姿に不釣り合いな自動小銃を背負って歩く。


「わあ、今までに見た、どんな南国ビーチより綺麗だわ。ハワイやグアムなんて目じゃないよ」


 眩しそうに目を細める真美さんの言葉に森岡世志乃は、いてもたってもいられなくなった。


「短時間だけ泳いでみましょうよ。ね、折角なんだし」


「え~、ちょっと怖いな」


 セラミックの躊躇は無理もない。海底まで広く見渡せるとはいえ未知の海へ、ほぼ裸同然で飛び込むには、かなりの勇気が必要だ。


「鯛のお化けみたいな魚も、いっぱい泳いでるし~」


「ダペディウムとかいうゴツい鎧を着たような魚ですわね!」


「セラミック、刺身にでもしたら意外とイケるんじゃないの? エナメル質の四角い鱗は包丁が通らないだろうけど」


 


 

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