表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セラミックの激うま恐竜レシピ  作者: 印朱 凜
エピソード2 恐竜ラーメン
15/74

恐竜ラーメン 1杯目


  第2話 恐竜ラーメン


「ジュラ紀に行くことは許さん! 今後一切、ジュラアナ長野へは出入り禁止だ!」


 セラミックの父親は頑固親父の本領を発揮して、ジュラ紀へのダイブを全面禁止したのだ。


「大きく中生代と言った方がいいかも。実際はジュラ紀と白亜紀のちょうど中間らしいから」


「どっちでも一緒だ! おんなじこっちゃ! 未成年の世間知らずな娘のくせに、大人に混じって危険なマネをするのは止めろ!」


 ますます顔を真っ赤にして憤慨する父親を前にして、セラミックは話し合う交渉の余地がないことを悟った。


「そんな~! 酷すぎるよ! 私がどんなに苦労して恐竜ハントまで漕ぎ着けたのか、パパは知っていると言うの?!」


「そんなの知るか! 大事な娘の身の安全を願っての事じゃないか。お前こそ、どうして両親の思いが分からないんだ?」


「わぁああん!」


 セラミックは階段を駆け登って自分の部屋に閉じ籠もった。自分のベッドに俯せになると、頭からブランケットを被って枕を涙で濡らしたのだ。


「本当に酷い。……今までの努力を、私の気持ちを、それに将来、恐竜狩猟調理師になりたいという夢を全く理解してくれないなんて!」


 先日のジュラアナ長野へのダイブ中に起こった事件。……不測の事態に遭遇した事が、落ち着いた時分になってから親バレしてしまった。

 仲間の裏切りで拘束された挙げ句、太古の世界へ置き去りにされかけた事。更にもっと言うと凶暴な肉食恐竜にチームが襲われてしまった事実が、赤裸々に裏表なく保護者に報告されたのだ。

 その時に父親が見せた怒りの表情をセラミックは忘れられない。失態の説明と責任者としてのお詫びに来た松上に、殴りかからんばかりの勢いだった。これにはさすがの松上も平身低頭――いわゆる平謝りで、いつもの飄々とした態度ではいられなかったようだ。

 セラミックの親友の兄でなかったら、どうなっていたのか分からない。一緒に来ていた吉田真美は終始冷静だったが、母親は泣き出してしまった程である。呑気にディノニクス・カレーなど作っている場合ではなかったのだ。


「姉ちゃん! どうしたんや、大丈夫か?」


 ただならぬ雰囲気を察知したのか、弟の公則が心配して部屋の外から声をかけてきた。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ